達セミに学ぶ 英語学習のヒント
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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

新潟県立燕中等教育学校
須貝文弘 先生
中学から始めた英語を好きになり、大学は英米文学科に進学。しかし2年次夏に英検2級の二次試験で不合格し、奮起!ついには交換留学を果たし、現在は公立中高一貫校の教壇に立っています。第2回目の今回は教師になってから現在までどのような英語学習をしてきたか、できるだけ多くをご紹介します。
キーワードは「ICT」。
教職に就いてから今まで「教えることは学ぶこと」
- 勉強法1 松本茂先生監修「速読速聴英単語」ADVANCEDのCD
- TOEFLやTOEICで突き抜けたスコアを出すには、まとまりのある英文を正確に聞き取って脳内で要約する力と、圧倒的な語彙力が必要と考えて、通勤の車内で30回は聴いた。 ひたすらリスニング・シャドーイング・オーバーラッピング・サマリー・パラフレーズなどを繰り返した。大学受験時代から確信していたことだが、バラバラに単語を覚えるよりもまとまりのあるパッセージと共に語彙を強化する方が記憶への歩留まりが良い。例えばobese, diabetic, chronic illness等の語彙はアメリカの食生活について述べた文章を繰り返し読み聞きする過程で関連づけて覚えることができた。
- 勉強法2 近江誠先生の「感動する英語!」CD
- キング牧師I have a dreamは生徒と一緒にレシテーションに挑戦。CDは30回以上聴いた。
- 勉強法3 CNN English Expressや自分が教える教科書CDをシャドーイング。
- 「聞き流し」だけではダメ、後でスクリプトにも目を通し、ちゃんと文字情報を頭に入れる。CDは10回以上聴く。検定教科書は学習者のレベルに合わせて磨き抜かれた英語の宝庫であるし、CDの速度も易しい。
- 勉強法4 TED.comを活用。
- Al GoreやSteve Jobsなど各界の著名人やトップランナーの講演を、豊富な字幕オプションと共に聴講でき、無料。検定教科書の題材と関連したものも多い(例:高校教科書CrownならJane Goodall, seed bankなど)。
- 勉強法5 電子辞書のテキストローディング機能を活用。
- CASIOの電子辞書に様々な英文テキストファイルをアップロードし、電子ブックとして活用。こうすると「ミニ辞書」機能を使えば、確認したい単語にタッチするだけで瞬時にジーニアス英和で意味がわかる。自分が高校生の頃にこんなツールがあったら、英語のノート作りという概念が一変していたはず!
- 勉強法6 Longman Dictionary of Contemporary English付属DVD-ROMを活用。
- 文法・語彙トレーニング、必須語彙リストなど学習者として「使える」コンテンツが満載。教師用のリソースもあり、紙辞書だが買わない手はない。
- 勉強法7 ホームステイ引率に立候補。
- Inputは国内でいくらでもできるが、Outputの機会を増やすには英語圏での生活が最も手っ取り早い。これまで5回チャンスをいただいた。
- 勉強法8 検定試験で自分にプレッシャー。
- TOEFLテストに向けて勉強することが、学問分野で必須語彙の強化になる。また、社会科の先生と一緒にTOEICに挑戦。意地もあるので直前期は猛烈に勉強する原動力となった。
- 勉強法9 カラオケは洋楽縛り。
- 誰と一緒かによってかなり勇気がいることもあるが、発音のトレーニングになるし、画面の歌詞についていこうとすると速読力が鍛えられる。字幕の間違いを発見できる頃にはそこそこ歌えるようになっている(音痴だけど)。
- 勉強法10 生徒の英作文添削をALTと一緒に。
- 日本人教師の視点と、ネイティブスピーカーの視点は違う。自分は「この生徒はここでこういうことを表現したいらしい」ということを察しつつ、「学校の英語」ならこれが定番という添削を加え、ネイティブスピーカーから「それなら、こっちの方が自然な英語だよ」という示唆をもらう。Writingの授業はホワイトボードに生徒の英作文をプロジェクタで投影し、ALTと二人がかりで添削。意見の食い違いが面白く、勉強になる。
- 勉強法11 「教えること」。
- 自分ではなんとなく流してきた項目も、教えようとすると本質が理解できる。例えば recentlyとnowadaysの違い、発音の規則と例外、接頭辞や接尾辞の働き、discourse markersへの気付き。
振り返ってみると「反復練習に勝るものなし」と思います。 素晴らしい生徒に恵まれて日々を過ごしていますが、teenagerと共にいることで、若々しいエネルギーを吸収させてもらえるのは最高の幸せのひとつと思います。また、「先生がまだ英語を頑張っているのだから、私たちも」と思ってもらいたいし、その逆もあって学び続けられるのだと思います。共に学ぶことで、いつの間にか、TOEFL PBTは650,TOEICは975まで伸びました。
日々、授業の準備や生徒からの質問に(冷や汗をかきながら)答えるうちに、新しい英語の発見があります。英語に終わりはない、だから面白い。私は趣味で熱帯魚を飼っていますが、よく「難しいんでしょう、大変なんでしょう」と言われます。決まってこう返答します。「難しいし、大変だから、うまくできたときに面白いんですよ。」
須貝文弘先生によるTOEFLメールマガジン98号「私の英語勉強法 ~生徒として11の取り組み~」の寄稿文についてはこちら

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