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イベントレポート

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このコーナーでは、教育関係の皆様に耳よりの、CIEE日本代表部が主催・参加したセミナーやイベント等についてレポートします。

今回は、9月に開催した教職員対象イベント「英語教員向けTOEFL iBT®テスト教授法ワークショップ(PropellTM Workshop for TOEFL iBT Test)」についてご報告します。

「英語教員向けTOEFL iBT®テスト教授法ワークショップ」
(PropellTM Workshop for TOEFL iBT Test)

国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
TOEFL事業部

2011年9月、TOEFL iBTテストの実施、運営団体であるETS(Educational Testing Service)から、テスト開発に携わるValerie Becker(ヴァレリー・ベッカー)氏を講師として招き、英語教員を対象としたTOEFL iBT教授法ワークショップを開催しました。

予てより実施要望が高かったこのワークショップは、9月17日(土)、19日(月・祝)、20日(火)の3日にわたり東京、京都、大阪の3会場に、高等学校、大学から大勢の英語教員にご参加いただき、おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。

■ 9月17日(土) 東京:こどもの城
■ 9月19日(月・祝) 京都:京都リサーチパーク

両日のワークショップは午前9時半から午後5時までの終日開催のタイプで、17日の東京会場には46名、19日の京都会場には38名にご参加いただきました。

今回のワークショップの特徴は、随所に参加者、講師全員参加のアクティビティが盛り込まれているところです。これらのアクティビティはもちろん、参加者(教員)向けではありません。英語学習者(生徒)が主体となり行動し、楽しみながら英語学習への意欲を高めるためのもので、教員に体験していただき、現場の教室で活用していただく目的で実施されました。

講師が自己紹介をした後、参加者全員に質問が記入された紙が配られ、早速「Find Someone Who~」という紙上の質問内容に該当する参加者を探すアクティビティが実施されました。参加者同士が顔を合わせ、会話をすることで、会場は自ずと和やかな雰囲気になりました。

続いて、TOEFL iBTに出題される問題の内容について、各セクション(Reading、Listening、Speaking、Writing)ごとに詳細で丁寧な説明が進められました。参加者には事前に会場の壁やホワイトボードに貼られた模造紙に、セクションごとの質問(Questions)やお勧めの勉強法(Tips)を記入していただきましたが、その内容へ適宜講師がコメントをしていくことで、参加者のTOEFL iBTへの理解が深まったように思われます。SpeakingおよびWritingセクションについては、採点方法についても触れられました。ここではETSが設定している採点基準(*1)を参加者に読んで把握してもらい、実際にサンプル回答の採点を行う、という非常に実践的な方法が用いられました。

これらの説明の合間にも、ペアを組んで会話を進めていくもの、1つのトピックに対して同じ考えを持つメンバーがグループを作り、考えを纏めて発表するもの、など様々なアクティビティが実施されました。普段の授業からこういった経験を徐々に積むことで、学習者の英語を書いたり、話したりする事、すなわち、英語を使う事への抵抗を少なくしていく事が効果的だそうです。

【東京会場の様子】            【京都会場の様子】

【京都会場でのWritingに関するQuestionsとTips】

【講師のヴァレリー・ベッカー氏】

■ 9月20日(火)大阪:常翔学園 大阪センター

皆様もご存じのとおり、大阪府では2011年度よりTOEFL iBTのチーム平均点が、基準点を上回る学校を3区分に分け、助成金(補助金)を交付する「実践的英語教育」強化事業(*2)を実施しております。CIEEはこの強化事業の支援活動としてTOEFL iBTに関する情報提供をさせていただいております。この活動の一環として、大阪会場では、特に日本人が苦手とされるSpeakingセクションに焦点を当てた3時間のワークショップを開催し、12名にご参加いただきました。TOEFL iBTの4セクションの概要の説明の後、Speakingセクションについて、東京および京都会場と同様に、サンプル回答の採点が実践されました。少人数での実施であったため、ワークショップの開始間もなくは静かな雰囲気でしたが、アクティビティを順次行うなかで、徐々に参加者同士、特に高等学校の教員の方より積極的に発言をしていただき、グループ内で活発な議論が展開されていきました。


各会場では参加者から質問が挙がりましたが、その中のいくつかをここで紹介いたします。

・Readingセクションに出題されるトピックにはどのようなものを使用しているのか。
⇒大学入学直後の学生向けのテキスト(生物、科学、歴史などの各教科)を使用している。
・Speakingセクションの回答はネイティブスピーカーのように流暢に話さなければいけないのか。
⇒その必要はない。設問に答える事、そしてその内容が採点者に伝わる事が重要。
・WritingセクションのIndependent taskは設問に対してどちらかの意見を支持し、文章を作成するものだが、設問に対する中立な回答については減点となる事はないか。
⇒減点される事はないが、どちらかの意見を指示した方が、エッセイが書きやすいし、構造がしっかりとしたものになる傾向がある。
・Writingセクションでのスペルや文法のミスは致命的になるか。
⇒正しいスペルや文法を用いる事はもちろん重要だが、完璧である必要はない。内容が採点者に伝わる事が重要。
・TOEFLテストの対策となる語彙を身に着けるには。
⇒Academic Word List(*3)を参照する事をおすすめ。
・テスト中に採点されない問題が存在するが、その理由は。
⇒Reading、ListeningセクションのどちらかにETSが今後のテスト問題を作成するための、研究用の問題が出題されている。

各会場でのアンケートには、「講師の説明はわかりやすく、質問にも明快に回答してくれた。テスト問題の作成者ならではだと思う。」、「教員同士でも意見を交換できて良かった。」、「本日経験したアクティビティを来週から学校で実践したい。」など、参加者の方からは好評な意見を多くいただきました。

*1.SpeakingおよびWritingセクションの採点基準についてはTOEFL iBT Tips (http://www.ets.org/Media/Tests/TOEFL/pdf/TOEFL_Tips.pdf)の44~47ページを参照

*2.大阪府の「実践的英語教育」強化事業についてはこちらよりご確認ください。(https://www.etsjapan.jp/toefl/osaka/osakafu.html)

*3.Academic Word List – most common 500 academic word families(http://www.victoria.ac.nz/lals/resources/academicwordlist/)
General Service List – 2000 most useful words in English(http://jbauman.com/aboutgsl.html)

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