外国に留学すると、学校では習わなかったフレーズや単語を頻繁に耳にすることがあります。最初はわからなくても、日常の会話でその国の人がよく口にするフレーズや単語は、すぐに使い方を覚えられるので、身につくのも早いようです。このコーナーではそんなフレーズや単語を、留学経験者に紹介していただきます。
清水 郁夫さん
私は内科医なのですが、昨冬に米ハワイ州の、ある総合病院で一ヶ月研修する機会を得ました。
臨床面でも大変勉強になったのですが、医療以外の面でも有意義な機会となりました。
このフレーズはその象徴の一つです。研修医向けのカンファレンスの中で、出席している研修医や医学生が患者さんの鑑別診断を挙げていきます。中には正解ではないけれど全く見当違いとまでは言えない回答もあり、しかし指導医はあえて否定せず、“It may happen.”と返すわけです。
成人教育においては相手を尊重するのが大事、とよく言われますが、成熟した教育環境のあり方が、何気ないこの一言につまっているように思われました。日本に帰って研修医教育に携わるにあたり、一つのスタンスとして参考にしています。
*寄稿者の主観によるものですのであらかじめご了承ください。