TOEFL メールマガジン

留学経験者インタビュー

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留学経験者に留学のきっかけ、その国、その学校を選んだ理由、何を得てどう活かしているかなど実体験をご寄稿いただきました。今回は、アメリカのフィンドレー大学の大学院に留学し、教員免許を取得後アメリカの現地公立小学校で4年間教鞭を執られたれた久野愛子さんです。皆さんもぜひご参考にしてください。

また、TOEFLメールマガジンでは、体験談等のご寄稿を随時募集しています!

久野愛子さん

久野愛子さん
津田塾大学、学芸学部、国際関係学科(比較社会コース)を卒業し、アメリカのオハイオ州にあるフィンドレー大学の大学院に留学しました。最初の1年半で英語教授法の修士号を、続く1年半で教育学の修士号を取り、3年間で二つのマスターを取りました。またアメリカでの教員免許も取得し、卒業後はノースカロライナ州のシャーロット市にある現地の公立小学校で、日本語イマージョンの先生として4年間働いてきました。

なぜ留学し、なぜその国、その大学・その学部を選びましたか 。

高校1年生の時にオーストラリアでのホームステイをきっかけに、海外に興味を持ち始めました。その家族とは今でも手紙のやりとりをしています。本当にステキなホストファミリーに恵まれました。高校2年生の夏に、今度はアメリカに1ヶ月間のホームステイ。ホストファミリーはドイツ系アメリカ人でした。その時、色々な人達が暮らすアメリカという社会、自由でダイナミック、そしてたくさんの機会に恵まれている魅力を感じました。大学生になってから、ぜひ長期で留学したいと思っていました。でもESSサークルが楽しく、そこで会長という役もやっていたので、なかなかタイミングが合いませんでした。また学部留学すると、単位交換制度を利用して行くにしろ、休学して行くにしろ、手続きがややこしくなるのと、仲間と卒業学年がずれてしまうのが気になっていました。となれば、サークルも最後まで思い切り活動し、友達とも一緒に卒業できて、1年だけの交換留学とは違い、ちゃんと修士号を取るという目標があって留学するには、大学院が良いということになりました。また私は英語の先生になりたかったので、「英語教授法」を専攻することにしました。やはり高校生の時のイメージから、自由で、機会に恵まれ、若くて元気な国アメリカで学びたいという思いがあり、留学先はアメリカと決めていました。フィンドレー大学にしたのは、私の故郷の埼玉県とオハイオ州が姉妹州ということで、フィンドレー大学の先生が埼玉にいらっしゃった時に直接お会いでき、色々お話を聞くことができたからです。

他にもいくつかの大学院ともメールのやりとりをし、アプライしたりもしていましたが、最終的に顔と顔が分かり、インターナショナルオフィスとのやりとりもスムーズに行ったのが、このフィンドレー大学でした。また埼玉から同じ高校出身の先輩がすでに留学していることや、大学の先輩もフィンドレー大学に留学していることを知り、そのようなつながりもあって、フィンドレー大学にしました。

【卒業式、学長先生と共に】

TOEFLテストを利用した場合、何点必要で、どう勉強しましたか。

大学4年生の時にTOEFLテストの勉強をしながら、受験しました。当時、TOEFL PBTで525点必要だったので、何回か受験したと思います。大学主催の夏休みのTOEFLテスト講座も受講しましたが、基本的には自分で勉強していました。TOEFLテストの分厚い試験対策テキストを買って、それに付いているCD-ROMなどを使い、勉強していました。コンピューターに向かって練習問題を解く練習もしましたし、TOEFLテストでは専門用語とそれについての知識が必要なので、ボキャブラリーのテキストも買って勉強しました。ライティングなどは形式が決まっているので、自分で書く練習もしていたと思います。

留学中のエピソード

大学院の授業では、実際に教員をしながら夜に大学院へ来て勉強している社会人の学生もたくさんいて、そういう人たちと共に学べたことは本当に貴重でした。一つ教授が話していたことで、心に残っているセリフがあります。「あなた達(学生)は私(教授)の話を聞くことだけに授業料を払っているのではないのですよ。自分達で意見を出し合い学び合って行く、そのことにも授業料は払われているのだから、あなた達一人一人(学生)が、このクラスでの議論をしさらに活発にするためにcontributeしていって下さい。」というようなことでした。日本で受け身の授業を受けてきた私にとっては、ちょっとした新しい考え方でした。確かにその通りですが、私はnative speakerの中に一人non-nativeとして混じっていたので、授業中発言するのは大変勇気のいることでした。そんな中、「私がクラスのみんなのためにcontributeできることは何だろう」と考えました。そこで私は、授業中議論の中になかなか飛び込んでいくことはできないけれど、それでも私の考えを伝えたい、「例えば日本でのケースはこうなんだよ」ということをシェアしたいと思って、それを自分なりにクラスのみんなに伝えていく方法を見つけました。落ち着いてみんなの意見をゆっくり読み、それに対して考えたことを書くことなら私にもできる、ということで、クラスメイト同士ウェブ上でやりとりするBlackboardでの意見交換のやりとりやフィードバックに、誰よりも書き込みをすることにしました。クラスメイト一人一人の発言を読み、それに対する自分の考えやフィードバックを丁寧に書き込んでいきました。また疑問に思うことや、そこから議論が発展していくようなことを投げかけたり、自分なりにできるクラスへのcontributionをしました。そうしたら自然とクラス内での発言もできるようになりました。また授業中のプレゼンテーションも緊張はしますが、自分の主張をしっかり聞いてもらえる貴重な機会です。そのような場を利用して、私はクラスにcontributeできたと思っています。

【小学校で、夏の日本語教室。生徒とアシスタントの先生達と共に】

また実際にアメリカの教育現場に出る機会がたくさんあったことも良かったです。現地の色々な小、中、高校に、外国語の授業見学に行き、ESLのアシスタントとして、各学校の生徒のチューターをやりました。教育実習では半年近くESLクラスの先生にお世話になりました。高校でも教育実習をさせてもらい、数ヶ月お世話になりました。また色々な学校で日本語の授業や、日本のことを知らせる出張授業に行ったり、放課後プログラムで日本語の授業もしました。地域センターのようなところで社会人向けの日本語クラスの担当もしましたし、大学での日本語プログラムの学生のチューターやTA、日本語補習校の先生、さらには個人でのチューターや家庭教師もたくさんやりました。留学生でも、こんなにたくさんのteachingの機会に恵まれ、本当に幸せなことです。このように教育現場に入って、実際にやりながら学んでいくことがとても多く、本当に色々な機会をもらいました。

【高校での教育実習。日本語クラスの生徒達と共に】

留学したことによって、どのような影響を受けましたか。

予定通り、計画通りに行かないこと、自分がそうなって当然だろう(例えば日本では当然なこと)と思っていることが、その通りには行かないことがたくさんあることに気が付きました。そんな時に、いかにそこから柔軟に対応していくか、という力が日々鍛えられました。おかげで今は、「絶対にああしよう、こうしよう、こうあるべきだ、こうしなくてはいけない」という考えがなくなり、あまり焦ることなく、大きな流れの中でその時々に柔軟に対応しながら生きていける、自信がつきました。

自分の思っている前提や、自分が当然だと思っていることが、実はそうではない、まかり通らない、ということをたくさん経験しました。むしろそのこと自体に疑問を持って、当然のものも疑ってみる視点や、「その人(他者)の視点に立って物事を考える」という感覚も磨かれたと思います。

また、何があっても動じない自分というものも発見しました。本当にいろいろな人がいて、いろいろな考え方があって、そういう生き方をしている人たちが共に生きる社会の中で、私も7年間生きてきました。アメリカでは、一人一人がスペシャルでユニークです。「自分も自分、世界にたった一人しかいない貴重な存在」と思えることも、アメリカ社会で生きてきて影響を受けた結果でしょうか。

卒業後、帰国後について、今後の展望

大学院卒業後、私は4年間アメリカの公立小学校で働きました。現地校の先生として、アメリカの学校文化を学びながらの、教員生活でした。日本語、中国語、フランス語、ドイツ語という外国語を使って、教科内容を教える、イマージョンという言語プログラムのある小学校です。私は日本語プログラムの小学校4年生の担任として、アメリカ人の生徒に日本語を使って算数や理科や社会を教えていました。アメリカの教育制度の中で働くこと、世界中から来ている同僚の先生達、親とのやりとりなど色々な経験を通して、本当にたくさんのことを学びました。Learning by Teachingまさに「学びながらやっていく」とは、このことでした。

これからも私は、「先生」をしていきたいです。場所はアメリカか日本か、また他の国かもしれないし、教えるものも英語か日本語か数学かもしれません。生徒も日本にいる日本人か、日本にいる外国人か、外国にいる日本人か、外国で日本語を学ぶ外国人かもしれません。年齢も赤ちゃんから年配の方までいると思います。どこででも、誰にでも、何でも教えることができる、こんな自信を持てるようになったのは、アメリカでの教授経験のおかげです。あとは謙虚な気持ちを持って、どこでも自分の縁のあったところで、またそこに生きる人たちと共にやっていきたいです。

これから留学を考えている読者へのメッセージ

留学に限らず、日本や世界のどこの国にいても、私達は日々「自分だけのストーリー」をつむぎだしていると思います。そこにさらに「留学」というスペシャルなものを加えてみたら、きっとさらにおもしろい魅力的な世界が広がるかもしれませんね。私はそうでした。だけど私のストーリーはこれからもまだまだ続いていくので、留学も一つのきっかけに過ぎません。何を学ぶかは、自分次第。世界はたくさんの機会に溢れています。ぜひそれを積極的につかみに行ってください。

【バイブル・スタディーの仲間達と共に】

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