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俳句で一息 Haiku Time

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このコーナーでは俳人 灯声こと中村忠男さんに、世界で最も短い詩の形といわれる「俳句」について、日本語・英語のバイリンガルで俳句の魅力・楽しさを解説いただきます。
中村さんは、世界に発信する文化として日本語・英語両方での俳句作りに取り組まれています。季節感あふれる一句と、季語や句への思いがどう英語になっていくのかを是非お楽しみください。

中村 忠男氏

灯声(中村 忠男氏)プロフィール
1950年生 東京大学法学部卒
1972年 日本航空入社
1978年 ジョージタウン大学大学院国際関係修士
2006年~2010年 日航財団常務理事として俳句事業などに携わる
俳誌「春月」同人
国際俳句交流協会(Haiku International Association)会員

★ GW直前スペシャル ★

今回は特別に行楽シーズンに合う2句をご紹介いただきました。


谷あひのバスの終点藤の花

The final bus stop
in a small valley
Wisteria blossoming

(解説)

藤は晩春の季語です。ゴールデンウィークの頃には足利フラワーパークのゴージャスな藤がよくニュースに出てきますが、芭蕉の有名な句で「くたびれて宿かる頃や藤の花」があり、一抹の寂しさを感じさせる花です。この句もそうした気分の句で、あまり説明は要らないと思います。英訳も字句をいじらずそのままにしました。


新緑の奥へ奥へとトロッコ号

The mountain tram
edging up along the ravine
deeper into fresh green

(解説)

今年は五月五日が立夏。新緑は初夏の季語です。トロッコ列車で有名なのは、黒部渓谷と嵯峨野の保津川ですが、それぞれKurobe Gorge Train、Sagano Torokko Tramと訳されていて、もともとのtruck運搬車という言葉は使われていません。実物からはtramが一番合っているように思います。この句の英訳は動詞がポイントですが、ただのgoでなく訳のように工夫してみました。ただ全体の訳は少し散文的になりました。


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