インタビュー
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昨年の「TOEFL®メールマガジン」10周年100号記念アンケートで、「英語を使う企業へのインタビュー」のご要望をいただき、企業における「グローバル人材育成のための英語への取組」や「英語力の重要性」、「英語の利用状況」についてのインタビューをお届けします。
今回は、NEC 人事部の森本雅之さん、小野田千紗さん、伊藤賢さんにお話を伺いました。将来、グローバルな舞台で活躍したい方必見です。

日本電気株式会社 (NEC)
左:人事部 採用グループ 主任 森本 雅之さん
中央:人事部 人材開発グループ 小野田 千紗さん
右:人事部 国際人事企画グループ 伊藤 賢さん
貴社について及び業務内容についてお聞かせください。
- 小野田さん:
- システムによるサービスやネットワークの製品・サービスから、「はやぶさ」などの宇宙事業サービスまで事業範囲は広範囲に及びます。中期計画では海外売上比率を高めていくこととしています。そういった中においてはグローバル人材の育成は急務かつ重大な課題です。
業務における英語の使用頻度はどの程度でしょうか。
- 小野田さん:
- 英語の使用頻度については職種や部門、担当する製品・サービスなどにより異なります。非常に英語の使用頻度が高い部門・業務もありますし、さほど頻度は高くないところもあります。
- 森本さん:
- 現在は日本企業のグローバル展開が活発で、国内企業をお客様とする営業であってもお客様と一緒に海外に行って英語でビジネスをするといった機会が増えてきています。
- 編集部:
- 社員の方に共通して求める英語力というのはあるのでしょうか。
- 小野田さん:
- 弊社では、社員一人一人に求める能力や知識、スキル等を規定しており、その中で語学についても求めるレベルを示しています。部門や業務によって英語の使用頻度も違いますので、求める語学力のレベルは実態に基づいたものを設定しています。
- 編集部:
- 御社のホームページで拝見しましたが、注力領域の1つとして海外向け事業を拡大していこうという動きがあるようにお見受けしました。これからその目標に向けて、語学の強化などはお考えでしょうか。
- 小野田さん:
そうですね。全社向けの語学力強化やグローバルマインドの醸成といった気運を創り上げていくことを目的とした施策を昨年度から始めています。「特定の人だけがグローバルビジネスができればよい」という状況ではなくなってきているので、グローバルビジネスに取り組むことができる人材を多数育成していくことが必要となります。グローバル人材にとって語学力は欠かせません。
キャリアパスにおける英語の重要性についてお聞かせください。
- 小野田さん:
- グローバルビジネスに大きく舵を切っていく中においては、個々人がグローバルビジネスに取り組めるようになっていかなければ仕事の範囲が狭まってしまうという状況です。英語は重要というよりも、マストです。

社員教育について、特に英語教育への取り組みをお聞かせください。(英語研修)
- 小野田さん:
- 語学は特に自己研鑽の意識がなければ力が伸びないという側面がありますので、全てが会社主導ではなくて、本人の語学力強化の意識醸成、その意識醸成を後押しするような施策をとっています。自主研修(社員が自己研鑽のために受講できる研修)では、スピーキング、リスニング、ライティングなどのレベル別講座を必要なときに受講できるよう、年4回実施しています。英会話についても例えば8人1組のクラス、1対1のプライベートなクラスなど、本人の意欲、レベル、状況に合わせて学べるようカリキュラムを整備しています。また英語力以外にも、全社員向けの教育体系において異文化理解やグローバルコミュニケーションのスキルアップ研修などを用意しています。さらには職種別や階層別教育として新入社員から幹部育成まで色々なプログラムを行っています。
- 伊藤さん:
他にも、GTI(Global Track to Innovator)プログラムという新入社員を対象にした、語学というよりも実際のグローバルビジネスを身に付け、将来の幹部人材となりうる真のグローバルかつプロフェッショナルな人材を育てるプログラムがあります。内容は、新入社員の中から一定数、全体の10%程度を選抜して、まずは半年間しっかり国内において英語だけではなくグローバルビジネスに必要なプレゼン、E-mail、ミーティング、ロジカルシンキングなどの研修を受け、2年目3年目という早期の段階で海外に業務研修生として送り出し、実際にビジネスを行い、帰ってきてそのビジネスで身に付けた経験を当社のグローバルビジネス拡大に活かしてもらうというものです。
- 編集部:
- 早くからそういった人材を育てるということをやっておられるのですね。
- 伊藤さん:
- こちらの研修は、日本のビジネスの考え方や進め方に染まってしまう前に、海外のビジネスの感覚を吸収してきてもらうという目的で実施しています。
- 編集部:
- こちらの研修は希望者が参加されるのでしょうか。
- 伊藤さん:
- 現状は自薦制ではなく、海外に関する意欲や適性などの観点から有望な人材を職場で選出してもらう形になっています。入社1年目2年目という、国内のビジネス経験もあまりない状態で行くので、やはりかなり苦労はするんですね。派遣先も日本人を受け入れたことがないような現地法人などを中心としていますので、死に物狂いになって取り組んでもらっています。
- 編集部:
- 実際に研修を終えて帰ってこられた方もいらっしゃいますよね。
- 伊藤さん:
- はい。日本のスピード感の遅さや、現地とのコミュニケーション不足など現実にビジネスを行う上で、各々が様々な課題を発見して帰ってきます。また、帰国後も研修先でのビジネスを引き続き行うこともあります。かなり成長して帰ってきますね。
- 編集部:
- こういった制度は新入社員の方にとってはかなりモチベーションが上がるものではないかと思います。では、新入社員以外の方にはどのような取組があるのでしょうか。
- 伊藤さん:
- 語学だけではなく、グローバルなビジネススキル、実際の国際実務や異文化理解などの研修は全社員にオープンな形で提供しています。
貴社の採用制度(特に新卒採用)についてお聞かせください。
- 森本さん:
- グローバルビジネスを拡大していくために、外国人の採用は伸ばしていきたいと考えています。全体の1割以上は外国人を採用するつもりです。日本人についても、グローバルな舞台で活躍したいという意欲のある方は積極的に採用していきます。英語力については基本はあくまでビジネスですので、それを進めていく上での武器としての英語と考えています。英語ができれば必ずビジネスができるという訳ではありませんから。
- 編集部:
- 採用の時点で英語のスコアや基準などは特に設けていないということでしょうか。
- 森本さん:
- はい、しかし海外のビジネスに携わる機会は必ずあります。「覚悟はしておいてください」ということは言えますね。
貴社で働くことの魅力は何でしょうか。
- 森本さん:
- ITはまだまだ発展する可能性があります。また、ソーシャルセキュリティーなど社会性が極めて高い分野においてシステムなりサービスを提供し、世界を舞台に活躍できることがやりがいであると言えます。反面、プレッシャーもかかりますが。
採用にあたり、学生に期待することは何でしょうか。
- 森本さん:
こういうことがしたいという思いがきっちりあって、働くということについて地に足着けてしっかりと考えられているかということです。そして、考えるだけでなく、実際に自分の殻を破り新しいことに挑戦していく行動力があるかということです。オープンマインドといいますか、そういう気持ちと行動力を期待しています。
- 編集部:
- 最近の学生さんや大学をみて感じることはありますでしょうか。
- 森本さん:
- NECではグローバルということを会社として打ち出しているので「どこでもいいので海外に行きたい」と言う方からの応募が大変増えてきています。内向きという声もありますが、私はそうは感じていません。
秋入学を検討する大学がでてきましたが、そのことについてはどう思われますか。
- 森本さん:
- そうですね、留学生が増えて大学の国際競争力が伸びていくことはとてもいいことだと思います。企業としては、その先の「働く」ということとの接続をきっちり作っていく必要があると思っています。例えば、ギャップイヤーについても、入学までの期間を学生にどう活用してもらうか、いかに働くことをイメージしてもらい、それを学業につなげてもらうかを考えることがとても重要です。
最後にTOEFLメールマガジンの読者にメッセージをお願いします。
- 伊藤さん:
- 英語を何に使うか将来的にそれで何をしたいのかという目的を持って勉強されることが必要だと思います。
- 小野田さん:
- 英語さえ出来ればグローバルビジネスができるわけでも、他国の方と円滑にコミュニケーションがとれるわけでもありません。いかに異文化を理解しているか、理解しようとしているかなども非常に重要だと思います。英語だけではない力、グローバルに活躍していくための総合力をいかに身に付けていくかということですね。弊社では内定式でも『まだ海外に行ったことのない方は、時間や機会があったら入社までに1回でもいいので、ぜひ海外に行ってきてください。』という話をするんです。テレビや本だけではわからない、現地に行って海外を肌で感じる、現地の方と話すという機会があると、社会人になる前にグローバルに対する意識が変わってくると思いますし、そういった機会、経験をぜひ自ら作って欲しいと思っています。
以上
インタビュー:2012年3月7日
国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
管理部 景山傑
企業プロフィール
日本電気株式会社 (NEC)
NECグループはIT(情報技術)とネットワーク技術を核に、幅広い事業を通じて、人と地球にやさしい情報社会の実現を目指しています。官公庁や民間企業向けのシステム構築や保守・運用等のITサービス、各種サーバやスーパーコンピュータ等のITシステムや企業ネットワークシステムを構築するために必要な製品群、通信事業者向けの機器やネットワーク制御基盤システム、運用サービスなどを提供しています。また社会基盤を支える産業システムやセキュリティ関連システム、さらには個人や民間企業向けに、携帯電話機やパソコン、インターネット・サービスなどを提供しています。
NECグループでは、クラウドの担い手となる新たな端末やサービスの創出に取り組み、先端技術を活用して誰もが簡単かつ快適に使用できる製品・サービスを追求しています。

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