インタビュー
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昨年の「TOEFL®メールマガジン」10周年100号記念アンケートで、「英語を使う企業へのインタビュー」のご要望をいただき、企業における「グローバル人材育成のための英語への取組」や「英語力の重要性」、「英語の利用状況」についてのインタビューをお届けします。
今回は、大成建設株式会社 人事部の塩入徹弥さんにお話を伺いました。将来、グローバルスタンダードな舞台で活躍したい方必見です。

大成建設株式会社
管理本部 人事部
人材いきいき推進室長
塩入 徹弥さん
貴社について及び業務内容についてお聞かせください。
- 塩入さん:
- 建築・土木工事などの建設事業がメインですが、その他にもエンジニアリング、都市開発事業、不動産や最近は環境ビジネスにも注力しています。
- 編集部:
- 貴社には海外事業所が世界各地におありですね。
- 塩入さん:
- そうですね。現在、UAE(アラブ首長国連合)・カタール・台湾・インドネシアなどを中心に海外活動拠点を置いています。
業務における英語の使用頻度はどの程度でしょうか。
- 塩入さん:
- 海外現地でのコミュニケーションは基本的に英語です。しかしながら国によっては、その国の言葉や世界中から集うワーカーの国の言葉等、英語以外の言語も使いながらコミュニケーションを図っています。
キャリアパスにおける英語の重要性についてお聞かせください。
- 塩入さん:
- 全ての社員が英語を使うわけではありませんので、英語ができないとキャリアパスにマイナスになることはありません。ただ、業務で英語が必要となる部門においては、当然語学の能力はパフォーマンスを上げるうえで重要なスキルとなりますので、そこに配属された社員は専門的な英語の学習をさせています。またその他にも選抜した社員を海外の大学等に留学させたりもしています。
- 編集部:
- なるほど。そうしますと、昇進のレベルに応じて英語の試験で何点以上取らなければいけない、といったことは決めてらっしゃらないわけですね?
- 塩入さん:
- はい。ただし、今お話しした部門の社員には、一定の英語能力の基準を定め、国内にいる間に、そのラインをクリアするように学習をさせています。
- 編集部:
- 貴社の中で外国人スタッフはどのくらいいらっしゃいますでしょうか。
- 塩入さん:
人数としてはまだ少ないのですが、外国人スタッフもいます。主に日本の大学に留学した人々なので日本語も喋れることから、社内でのコミュニケーションは主に日本語で行われています。
社員教育について、特に英語教育への取り組みをお聞かせください。(英語研修)
- 塩入さん:
- 海外に赴く社員については外部講師による集中的な教育カリキュラムを組んでいますが、今後、海外に派遣する社員に対しても新たな教育システムを導入しようと計画しています。また他にも、全体的な英語能力の向上にも取り組みたいとも考えています。ただ、全体的といっても社員全員が海外で仕事をするわけではありませんから、全社員を対象にする訳ではありません。英語の能力の高い社員の母集団を増やし、その中から適性を見て海外に派遣していく必要があると考えています。
- その際、語学は勉強してすぐ結果が出るものではなく、上達を実感するまでにはそれなりに時間がかかることから、ある程度の語学能力のある社員を選抜して集中的に学習させることになると思います。
貴社の採用制度(特に新卒採用)についてお聞かせください。
- 塩入さん:
- 通常の採用活動の他、日本の大学に留学している外国籍の学生を対象にした採用セミナーを開催したり、通年採用も実施し、海外大学に留学している邦人学生に柔軟な対応を行うなど、国内外で活躍できる人材の採用に積極的に取り組んでいます。
貴社で働くことの魅力は何でしょうか。
- 塩入さん:
- やはりものづくりの喜びを実感できることですね。当社には「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念があります。手がける仕事は大小様々な建造物ですが、完成させた建造物を人々が利用する中で、快適さや便利さ、また安心・安全など感じてもらうことで、私どもの仕事がまさに人がいきいきとする環境、社会づくりに貢献していることを実感することができます。また、プロジェクトを完成させるまでの過程は自然が相手だったりして簡単ではありませんし、数年で終わらないような工期の長い工事も沢山あります。だからこそ完成した暁の喜びはひとしおなのだと思います。
採用にあたり、学生に期待することは何でしょうか。
- 塩入さん:
- 今日は英語の話題がメインなので、その点で期待することをお話しますと、英語で意思疎通が図れる程度にはその能力は高めておいて欲しいと思います。これからのビジネスは日本にいるだけでは難しい時代になってきました。英語はビジネスの世界で一番使われている言語です。契約関係などの専門的な内容だと、通訳やその道のプロに任さなければなりませんが、通常のビジネスパートナーとの関係においては、意思疎通するのに、いちいち通訳を介すよりも直接1対1でコミュニケーションが取れるほうが、スピード感も違いますし、相手との距離感を縮めやすくなると思います。やって損をすることは絶対ありませんから、ぜひ頑張ってもらいたいですね。
- 語学は上達するまで時間が掛かります。会社に入り仕事しながら勉強を続けることは容易なことではありませんから、是非学生の間に出来るだけ、能力を高めておいて欲しいですね。
秋入学を検討する大学がでてきましたが、そのことについてはどう思われますか。
- 塩入さん:
秋入学までの間及び卒業後の入社までの間の費用負担の問題等があり、現段階ではその是非について判断できません。大学と官民が一体となって検討を進めるべき課題であると思います。
最後にTOEFLメールマガジンの読者にメッセージをお願いします。
- 塩入さん:
少子高齢化はこれからも進んでいきます。我々が享受してきた豊かさ、活力といったものが、今のままでは徐々に衰退していくのではないかと危惧しています。それを打破するには、新しいものに積極的チャレンジしていかなければならないと思います。海外に出ていくのはその最たるものです。企業も継続して発展していくためには海外に進出せざるをえませんし、そうなると今よりももっと英語が必要になってくると思います。読者の皆さんも英語の必要性を感じたらすぐにでも、勉強に取り組んでほしいと思います。頭が柔軟なうちに学習した方が費用対効果の面でも優れていることは疑いの余地のないところですし、また、英語ができるようになると、自身で直接広く情報を集め、その中から自分で正しいと思うことを選択できるメリットもあります。私も今まで日本のマスメディアを通じて耳にしていた事と海外の新聞を読んで直接知った事のニュアンスが違ったという経験が幾度もありました。- 自分で物事を判断することができるようにするためにも、世界の公用語である英語の学習の重要性を感じています。ぜひ積極的に取り組み、皆さんが世界を舞台に活躍されますことをお祈りしております。
以上
インタビュー:2012年3月9日
国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
管理部 景山傑
企業プロフィール
大成建設株式会社
- 会社名:大成建設株式会社
- 創業 :1873年(明治6年)10月
- 従業員数:8,192人(2011年12月現在)
- オフィスビルやレジャー施設、空港などさまざまな建造物の設計・施工、エンジニアリング、都市開発、環境、不動産など幅広く事業を展開。建設業界のリーディングカンパニーとして、日本国内はもちろん世界中で「地図に残る仕事。」を手掛けている。

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