TOEFL メールマガジン

インタビュー

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昨年の「TOEFL®メールマガジン」10周年100号記念アンケートで、「英語を使う企業へのインタビュー」のご要望をいただき、企業における「グローバル人材育成のための英語への取組」や「英語力の重要性」、「英語の利用状況」についてのインタビューをお届けします。

今回は、あらた監査法人 人事担当パートナー澤口雅昭さんとヒューマンキャピタル部門 ディレクター ルース・コウ(Ruth Kung)さんにお話を伺いました。将来、グローバルな舞台で活躍したい方必見です。

あらた監査法人 左:人事担当パートナー(公認会計士/代表社員)澤口雅昭さん 右:ヒューマンキャピタル部門 ディレクター ルース・コウさん

あらた監査法人

左:人事担当パートナー(公認会計士/代表社員)
澤口 雅昭さん

右:ヒューマンキャピタル部門 ディレクター
ルース・コウさん

貴法人について及び業務内容についてお聞かせください。

澤口さん:
あらた監査法人は、世界158カ国にネットワークを持つプライスウォーターハウスクーパースの日本におけるメンバーファームとして、国際標準に沿ったプロフェッショナルサービスを提供しています。財務諸表監査、内部統制監査をはじめとする各種証明業務に加え、財務報告に関するアドバイザリー業務、リスクとコントロールに関する経営課題を総合的にサポートするリスク・コントロール・ソリューションなど、業務別に特化したノウハウを最大限に生かしたサービスを提供しています。私はあらた監査法人の人事全般を管轄する責任者で、ルース・コウはその中の一部である教育担当の責任者をしています。

就業している外国の方の割合はどの程度でしょうか。

澤口さん:
あらた監査法人の外国人スタッフの数は70人強で全体の約4%です。そのうち、海外のPwCから来ているエクスパット(Expatriate、略してExpats)というメンバーが50人強、日本で採用された外国人が約20人 です。人事、経理、ITなどサポート部門も含め、外国人スタッフの数は増加の傾向にあるといえます。また、海外のPwCから出張ベースで日本に来ている外国人も年間を通じて多く、オフィスや共有スペースでみかける外国人は、先ほどお伝えした数字以上に多い、という印象になると思います。

貴法人のWEBサイトに、「全員が国内業務と国際業務の両方を担当する」とございますが、この点についてお聞かせください。

澤口さん:
私たちは、PwCのグローバルネットワークから世界の最新情報や潮流を把握したり、海外拠点と協力してクライアントを支援するなど、国際性を大事にしている監査法人です。ですから、組織においても、国内部門と国際部門を分けておらず、法人全体がグローバル対応できるような体制をとっている点が特色です。「全員が国内業務と国際業務の両方を担当する」ことが前提になっていると言えます。この意味のおいては、基本的に誰もが“英語が話せなければならない”組織ではありますが、採用時に英語のスキルを必須条件にはしていません。英語に関する教育制度も充実していますので、入社後に十分語学能力を磨いていただけると考えています。実際英語の教育に関しては、かなり力を入れています。

キャリアパスにおける英語の重要性についてお聞かせください。

澤口さん:
スタッフの職位が上がるに従って、一緒にプロジェクトを行うパートナーやディレクター、マネージャーなどが外国人となる機会が増えたり、あるいは海外拠点とビジネスのやり取りを行うなど、直接外国人とコミュニケーションをとることが多くなります。ですから、日常業務で英語を使用する機会は職位が上に行くほど増えてきます。また、法人内には外国人が多数おりますので、ビジネス以外でも、イベントでのスピーチや懇親会でのあいさつが英語で行われたりします。私も海外に1年9カ月程駐在しましたが、そこで英語力を養い、今ではルース・コウのような外国人の部下と英語で業務を行っております。
最初は英語がわからないと多少コンプレックスを感じるような職場環境かもしれませんが、「もっと頑張らなければ」と刺激を受けながら育っていける環境だとも言えます。先ほどもお伝えしたように、入社したら英語教育はすぐ始めますし、ある程度職位が上になってくると「インテンシブコース」などの英語プログラムが用意されています。マネージャーやシニアマネージャーになりますと、海外に駐在し英語で業務を行うなど、かなり実践的になります。語学を身につけたいという意欲があればいくらでも上達できる環境だと言えます。 

トレーニングプログラムについて具体的に教えていただけますでしょうか?

コウさん:
あらた監査法人では英語研修プログラムをかなり前から始めており、海外に駐在するプログラムや海外の大学の英語クラスを受講するプログラムなど、様々なプログラムが既に確立されていますが、PwCメンバーとしての更なるグローバル人材を育成するために、昨年プログラム構成を見直しました。新たに設けたいくつかのプログラムのうちメインのものは「インテンシブコース」です。選抜された約500名のスタッフが、ビジネスにおいて必要とされる英語レベルに達するために、外部機関による12カ月間のトレーニングを受けるという内容です。このプログラムに選抜されなかったスタッフにも、意欲の高い人には、外部機関での英語プログラム受講の補助金制度が用意されています。また、すでに高い英語レベルに達しているスタッフには、海外のPwCで行われる様々な研修への参加や、本人の希望に応じた海外駐在の機会が与えられます。これ以外にも、実務を兼ねた英語での意見交換や会話練習が可能な「English Study Group」というセッションがあります。サステナビリティ、ダイバーシティなど、ビジネスに関連づけたトピックについて、その担当セクションがLunch もしくはBreakfast Timeに有志を対象に開催しています。このように異なったレベルの英語力や様々なニーズに対応した「ビジネスに活きる英語」を学ぶプログラムを運営することで、世界のどこでも仕事ができる人材の育成を担っています。まだ改革して1年ですが、さらに拡大させたいと考えています。

貴法人の採用制度(特に新卒採用)についてお聞かせください。

澤口さん:
2つの制度がありますが、1つは会計士試験合格者を対象とした「定期採用」、もう1つはこれから会計士を目指す学生を対象とした「新卒採用」です。後者は2年間会計士試験合格のために勉強に専念してもらい、合格後に各部門への配属が決まることになります。いずれも、英語力は重視していますが、必要条件にはしていません。英語への取り組み意欲を重視している、と言い換えることができるかと思います。

貴社で働くことの魅力は何でしょうか。

澤口さん:
まずPwCのブランド力です。あらた監査法人を志望される方には、グローバルなネットワークを使って「世界に羽ばたく仕事がしたい」、「世界を相手に仕事をしたい」という志望動機の人は多いです。そして、英語に拒否反応のない人なら大丈夫です。あらた監査法人では、世界に通用する専門家になれる、ということをアピールポイントとしてリクルーティングしています。

採用にあたり、学生に期待することは何でしょうか。

澤口さん:
海外の人たちと互角にわたりあえる、グローバルに通用する人材が必要ですから、視野の広さや積極性を期待します。「ちゃんとした日本人」でなければ、すなわち「日本の特質を理解して日本を語れる人」でないと世界で通用しないと思います。
 

現在の大学について感じることがあればお聞かせください。

澤口さん:
秋入学を検討する大学が出てきましたが、当法人の採用の面では大きな影響はないと今のところ考えています。また、大学の英語教育について申しますと、最近では大学も英語教育には力を入れているとは思いますが、理系等では英語教育に力を入れている印象が薄いような気がします。中、高、大学と英語を勉強しますが、その成果の低さは、海外に行って痛感させられます。

最後にTOEFLメールマガジンの読者にメッセージをお願いします。

澤口さん:
これから社会に出るのであれば、英語は避けて通れません。学生の時に英語を避けるのと積極的に取り組むのとでは、その後何をするにしても世界の見える範囲が全然違うと思います。
大切なことは、なるべく英語に触れる機会を多くすることです。私自身の経験では、英語環境、つまり日本語を使えない環境を日常の中に作り上げるというのが、一番良かったと思っています。もちろん英会話学校も会社の研修として通いましたし、2カ月間アメリカの大学で英語の勉強で缶詰になったり、ラジオで英語もずっと聞いて勉強してきました。しかし、それだけでは英語は十分に上達しないと思います。日本人は、マインドセットを変えていかないと英語が上達しないのではないでしょうか。つまり、英語での実際のコミュニケーションを積極的にとらないと英語も磨かれないと思います。TOEFLテストは以前受験しましたが、こういったテストを英語力のバロメーターにして頑張ればよいと思います。定期健診的に受験し、点数を確認しながらモチベーションをキープしていくことが大切だと思います。
コウさん:
現在の世界ではインターネットが重要なプラットフォームであり、そこでは英語が唯一共通のコミュニケーション言語として人々をつなげるものとなっています。今後、世界のどこにいても、人とつながるには英語が重要であり続けるでしょう。より競争が激しくなるビジネスマーケットにおいて、グローバルな視野で考えることができる市場価値のある人材となるために、英語は重要なカギになると思います。

以上

インタビュー:2012年3月13日
国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
管理部 景山傑

企業プロフィール

あらた監査法人
(英文名称: PricewaterhouseCoopers Aarata)

あらた監査法人は、卓越したプロフェッショナルサービスとしての監査を提供することをミッションとし、世界最大級の会計事務所であるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)の手法と実務を、わが国の市場環境に適した形で提供しています。さらに、国際財務報告基準(IFRS)の導入、財務報告に係る内部統制、また株式公開に関する助言等、幅広い分野でクライントを支援しています。

設立:
2006年6月
人員:
2,108名 (2012年3月31日現在)
所在地:
東京、名古屋、大阪
URL:
http://www.pwc.com/jp/assurance
関連グループ:
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース

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