TOEFL メールマガジン

インタビュー

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昨年の「TOEFL®メールマガジン」10周年100号記念アンケートで、「英語を使う企業へのインタビュー」のご要望をいただき、企業における「グローバル人材育成のための英語への取組」や「英語力の重要性」、「英語の利用状況」についてのインタビューをお届けします。

今回は、株式会社NTTデータ 人事部の藤本洋史さん、広報部の戸田暢彦さんにお話を伺いました。将来、グローバルな舞台で活躍したい方必見です。

株式会社NTTデータ 人事部採用担当 課長 藤本 洋史さん 広報部 課長代理 戸田 暢彦さん

株式会社NTTデータ

右:人事部採用担当 課長 藤本 洋史さん
左:広報部 課長代理 戸田 暢彦さん

貴社について及び業務内容についてお聞かせください。

戸田さん:
私どもはシステムを作っている会社で、一般的にITサービス企業と表現されることもありますが、社会インフラになるようなシステムを数多く手掛けています。具体的には官公庁のシステムや銀行のシステム、クレジットカード決済のシステムといったシステムになります。それ以外にも、企業向けの基幹システムや、さまざまなクラウドサービスを提供しています。ここ3,4年は急激にグローバル展開を進めており、海外のグループ会社を含めNTTグループ全体で5万7千人、そのうち国内グループ会社社員が3万人、海外のグループ会社の社員が2万7千人おります。海外拠点は、アメリカ・ドイツ・イタリア・中国・インドをはじめ35カ国以上にあります。
編集部:
非常に大規模にグローバル展開をされていらっしゃるわけですね。
戸田さん:
はい。これから真のグローバル企業としてNTTデータグループを発展させていく段階なので、世界のシナジーを活かしてどう拡大していくかが課題になっています。ですから今グローバル系の人材を必要としております。

業務における英語の使用頻度はどの程度でしょうか。

藤本さん:
弊社の売上1.2兆円のなかで、約1兆円は国内市場での売上です。ドメスティックな仕事が多いこともあり、基本的に使用する言語は日本語というのが現状ですが、今後目標として掲げるITサービス業界におけるグローバルTOP5企業を実現するためにはさらなるグローバル展開は必須です。ですので、様々な言語、特に英語に関しては必要なスキルとなっています。私たちのお客様は、公共・金融・法人の各分野ともグローバル展開が進んでいます。今までは特に製造業で海外進出される際にIT部門のサポートをすることが多かったのですが、現在は公共のドメスティックな事業のなかで私どもが培ってきたノウハウをお客様と一緒に海外の政府に提案したりします。たとえば、現在は航空路設計のシステムもASEANから受注を受け対応中です。金融分野ですと、クレジットカードや電子マネー決済も含め、弊社のソリューションを海外に展開していくようなビジネスがでてきています。これら、公共、金融分野では現在主に東アジア・東南アジアで積極的に展開していますが、各国の母国語がある一方で、英語は共通言語になっていますからどこの国でビジネスをするにしても英語が必要です。
このように分野を問わず、グローバル展開をやっていますので、そのためにも語学力は必要です。現在売上高1.2兆円のうち、約2000億円が国外の売上で、国外の売上比率は1/6ですが、社員の1/6の人数が英語を話せればいいのかというとそれでは駄目で、社員のだれもが普通に英語を話せるくらいの状況にならないと、グローバルTOP5という目標は達成できないのではないかと思っています。

キャリアパスにおける英語の重要性についてお聞かせください。

藤本さん:
明確な指標は今のところないのですが、今後グローバル展開を拡大していくにあたり必要にはなってくると思っています。

社員教育について、特に英語教育への取組をお聞かせください。(英語研修) 

藤本さん:
自組織内で英語の勉強会を開くなど、組織単位で自発的に勉強会をやっています。たとえば、TOEICテストの点数が上がることを前提に、英会話学校の費用を半分負担する等の取組をしている組織もあります。

貴社の採用制度(特に新卒採用)についてお聞かせください。

藤本さん:
グローバルビジネスを進めていますので、英語力がある・留学経験がある・海外で仕事をしたい学生さんに多くエントリーしていただいています。語学レベルに関する指標については、「問わない」としていますが、やはりTOEFLテストなどの英語のテストの点数や一定期間以上の留学経験等を次の選考のための参考にさせていただくことはあります。
編集部:
他の企業では留学生採用枠を設けているところもありますが、御社についてはいかがでしょうか。
藤本さん:
明確な留学生採用枠は設けておりませんが、毎年2桁ほどの外国人留学生の方を採用しています。もちろん日本人で海外の大学を卒業された方も毎年数名採用しています。

貴社で働くことの魅力は何でしょうか。

藤本さん:
私たちの仕事は基本的に「システム」という、形がないものを作っていくわけです。ITを使ってゼロからシステムを作っていきますので、そういった意味で創造性や、見えない世界に一歩踏み出すチャレンジ精神が必要です。そしてチームで仕事をしていきますので、仲間とともに、世の中にないものを生み出していく、さらには社会のインフラとなるような、人々の暮らしにとって重要なしくみを作っていくことができることも魅力といえます。国内外問わず様々なシーンで仕事もできますし、形がないものだからこそ自分で道を切り開き、自分でアイディアをだし、そのアイディアに賛同してもらい成し遂げていくことは、とてもやりがいがあると思います。あと、NTTグループ、NTTデータグループというブランド力も様々なことにチャレンジできる基盤としては魅力の一つだと思います。

採用にあたり、学生に期待することは何でしょうか。

藤本さん:
自ら行動する、熱意を持って行動することです。熱意があれば道は開けるし、その道に一歩踏み込むチャレンジ精神の源となります。夢を持って夢をあきらめず、その夢を当社で実現してほしいですね。夢をITで実現することでいろいろな可能性が広がっていきます。その可能性、自分のアイディアを皆で共有し皆で夢を実現していこうというところは、学生の方々にお話しています。

最近の学生さんを見て感じることはありますか?

藤本さん:
ゆとり世代から抜けた感もあり“何を考えているかわからない”、といった学生が少なくなってきたと思います。むしろ自分で信念を持って行動をする学生が増えてきていますが、就職がゴールと考える学生がやはり多いような気がします。“内定=ゴール”としていて、いざ働くという時には燃え尽きてしまっていることもあります。企業側からするとそこから立ち上げていくのはとても大変です。教育の中で「働く」とはどういうことなのか、各大学、高校でキャリアコーチングは始まっていますが、やはり、内定から入社までの1年間を有意義に過ごしてほしいですね。4月の入社時には『内定の時とは別人になっていないか?』と感じる人がたまにいますので、内定後の時間の使い方が大事だと学生を見ていて思います。

現在の大学での英語教育について感じることがあればお聞かせください。

藤本さん:
我々の世代は、留学というのはハードルが高いものでしたが、今在学中の多くの学生の皆さんが留学を経験されていて、すごいなと思います。学生をサポートする大学や様々な支援団体も素晴らしいと思うのですが、一方で「留学して何を学んできたの?」と思うところがあります。海外に行ったことで満足してしまうのではなく、そこで課題を見つけて今後にどう生かしていくかというところまで、結びつけてほしいですね。その意味で、留学後のケアや留学の次のサポートというものが必要なのではないでしょうか?せっかく留学したのにそれで終わってしまってはもったいないですよね。たとえば、留学後定期的にTOEFLテストを受けさせるとか、そういったテストで基準点を取らないと単位を認めないとかそういった仕組みがもっと必要なのではないでしょうか?

秋入学を検討する大学がでてきましたが、そのことについてはどう思われますか。

藤本さん:
我々も今後の状況に注目しておりますが、留学生の方や海外大学にバチェラーで行って日本でマスターを取る方も秋入学となるということで、多種多様な人材を採用させていただく立場としては、素晴らしいことだと思いますし、秋採用について前向きに検討していきたいと思っています。ただし、課題も様々あります。国内の大学が足並みを揃えないと二極化してしまうとか、企業側でも例えば当社は4月入社しかありませんので入社式を年に2回やらなければならなくなります。良い人材を取るという意味では歓迎したいところですが、企業の中の制度や研修などの人材育成といった面では検討すべき課題がありますので、大学も国も含めてみんなでルールを作り、みんなで足並みを揃えなければ、せっかくのいいアイディアもうまく活用できないのではないでしょうか?

最後にTOEFLメールマガジンの読者にメッセージをお願いします。

藤本さん:
学生の皆さんが、英語を勉強しよう英語に触れたいと思うことは素晴らしいことですし、是非その歩みを止めないでほしいです。これから留学や英語の勉強を通して是非チャレンジをし、一歩前に踏み出してください。しかし、留学をすることや試験で高得点を取ることがゴールなのではなく、学んだことを伸ばし活かしていかなければいけません。留学をしてそこで何を感じて、自分に足りないこと自分として意識が変わったことを、きちんと把握し今後に活かしてください。もちろん自分の長所はさらに磨きをかけてほしいですね。あと、英語の勉強を継続していくことも大切ですから、学んだ英語を使っていくような環境を自分で作り、英語の環境に自分の身を置く努力もしてください。それは全て自分の糧になると思いますので、頑張ってチャレンジしてください。

以上

インタビュー:2012年3月28日
国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
管理部 景山傑

企業プロフィール

株式会社NTTデータ

NTTデータは、情報技術で、世界中の新しい「しくみ」や「価値」を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献することを目指しています。お客様の「変革パートナー」として、提案からシステムづくり、その先の活用に至るまで、トータルにご提供することが私たちの使命です。現在は、世界35カ国以上で、グローバルな視野と、地域ごとのきめ細やかな対応力をもって、お客様の変革をサポートしています。

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