このコーナーでは俳人 灯声こと中村忠男さんに、世界で最も短い詩の形といわれる「俳句」について、日本語・英語のバイリンガルで俳句の魅力・楽しさを解説いただきます。
中村さんは、世界に発信する文化として日本語・英語両方での俳句作りに取り組まれています。季節感あふれる一句と、季語や句への思いがどう英語になっていくのかを是非お楽しみください。
灯声(中村 忠男氏)プロフィール
1950年生 東京大学法学部卒
1972年 日本航空入社
1978年 ジョージタウン大学大学院国際関係修士
2006年~2010年 日航財団常務理事として俳句事業などに携わる
俳誌「春月」同人
国際俳句交流協会(Haiku International Association)会員
A field of clouds
covering the basin
like a pan lid
(解説)
夏山に登るとよく雲海が見えます。一面の雲が峰から峰までをびっしりと覆い、峰が島のように見えます。岸辺はどうなっているのかと不思議に思います。この句も、山の上から見た雲海の風景で、「盆地に蓋をしてしまった」という機知の表現を使い一面の雲海をとらえたものです。雲海はa field of clouds。蓋は、pan lid (フライパンの蓋)とより具体的にしてみました。