このコーナーでは、教育関係の皆様に耳よりの、CIEE日本代表部が主催・参加したセミナーやイベント等についてレポートします。
今回は、9月に開催された大学の教職員を対象とした大学主催短期海外研修についてご報告します。
国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
国際交流促進部 平出 暁美
CIEEでは、今年も9月6日に、大学の教職員を対象とした大学主催短期海外研修のこれからを考えるセミナーを開催しました。第4回目となる今年は、獨協大学外国語学部の工藤和宏先生をファシリテーターとして迎え、短期海外研修プログラムの質的効果を高めるために、研修をどのようにとらえ運営すべきかについて、34名の方々にご参加いただき、「ワールド・カフェ」という手法を用いたインタラクティブなセッションを行いました。
今回のセミナーは、工藤先生のご提案により、従来の「講義+ディスカッション」形式ではなく、工藤先生自身がファシリテーター兼講師としてお話しいただく、講義と「ワールド・カフェ」の2部構成で行われました。工藤先生の意見交換を促進させるための、硬すぎない場を和ませる進行のもと、学習者は自分の「物語」を話すことによって、語り手の「レンズ」が変わるとのお話を聞いた後に、参加者自身が「ワールド・カフェ」で触発され、実体験でも楽しめるという面白い構成のセミナーとなりました。
工藤先生のお話しでは、大学主催のプログラムは他の民間企業が提供している海外研修との違いを出すためにも、学生との対話を活かし、学生が自らの経験を積極的に解釈し、自らの成長や将来のキャリアデザインに活かせるような手厚いサポートが必要であるとの見解と、短期海外研修から長期留学への連動、大学の個々のプログラムの位置づけや、帰国後のキャンパス内での国際交流の促進等、大学ができることについて、次の「ワールド・カフェ」で話を深められる話題提供がありました。
「ワールド・カフェ」では、4~5名のグループに分かれ、机の上に置いてある模造紙に話の内容をメモしながら意見交換が行われました。話し合い終了時間になると工藤先生が黙って手を上げて参加者に知らせ、参加者も黙って手を上げてそれに応えます。そして今度はグループのうち1名を残して、他の参加者は別のテーブルに移動し、そこで話し合いを続けます。また一定の時間後には、元のグループに戻り、それぞれのテーブルで話した内容を共有するかたちで情報交換が進みました。そのためたくさんの人と話をし、理解を深めることができたと思います。グループ移動は数回行われ、その度に模造紙にはカラフルなメモや絵が書き足されていきました。模造紙のメモには、「事前・事後研修」、「短期から長期へのきっかけ」、「教員と職員の連携」、「つなげる」、「きっかけ作り」、「保護者対策」、「引率の必要性」等が、共通のキーワードとしてあがっていました。
アンケートは、セミナー全般について94%の方が「参考になった」、また「ワールド・カフェ」による意見交換は97%の方から「良かった」とのご意見をいただき、私たちスタッフも大変嬉しく思いました。来年も短期海外研修をテーマにしたセミナーを継続し、ネットワーキングの機会提供に努めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。