英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。
今回のヒントはこれ:
津山工業高等専門学校
安木真一先生
英単語を単語集で覚えている人が多いですが、単語は文の中で暗記するのがおすすめです。ここでは誰でも簡単にできる単語の暗記方法を紹介します。
27年間、中学と高校で教鞭を執り、今年から高専に勤務しています。私が生徒から最もよく尋ねられたのは「先生、英語どうやって勉強したらいいですか?」です。その中でも単語の暗記法についてよく質問されました。ここでは簡単に覚えられる英単語の暗記方法を紹介します。
まず、皆さんに知って頂きたいのは、学習法における単語は大きく二つに分けられるということです。一つは受容語彙で、読んだり聞いたりする時に必要とされる単語です。もう一つは発表語彙で、話したり書いたりする時に必要とされる単語です。日本語にあてはめればわかりますが、私たちは受容語彙を発表語彙よりたくさん記憶しています。読んだり聞いたりする時は意味がわかっても、自分では使えない単語はたくさんあると思います。従って英語を学習するときにも受容語彙を発表語彙よりも多く記憶する必要があります。TOEFLテストを受験する際にも聞き、読む力が必要とされます。
今回は、読むための語彙力をどうつけるかについて述べます。書き、話すための語彙をつける方法はTOEFLメールマガジンVOL.85の私の記事をご一読ください。まず日本語訳のある英語教材を選びます。学生や社会人の方はTOEICテスト,TOFELテストの問題集、高校生なら校外模試の問題や大学入試問題集等がよいですが、自分の興味のある対訳本でもよいです。つまり「自分が読んでいる英文のあらゆるものを単語暗記のために使用する」ということです。方法は簡単です。読んでいて意味のわからない単語があれば、その単語に赤ペンでアンダーラインを引きます。そして日本語訳を見て、その単語の本文中での意味を確認し、余白にその英単語と日本語の意味を書きます。
次に本文を1週間後に再度読んでみて、その英単語の本文中での意味が言えれば、その単語の上に鉛筆で○を、言えなければ×をつけます。更に1週間後に、×の単語を前後の内容(意味)確認をしながら読んで意味が言えれば○に変えます。赤ペンのチェックを残しておくのはTOEFLテスト等の試験の前にすべて見直しができるようにしておくためです。これで既製の単語集ではなく、自分の単語集ができます。
どうしても覚えられない単語があれば、昔ながらの単語カードを使いましょう。表に英語、裏に日本語を書き持ち歩きます。1度に持ち歩く枚数は10枚位までにして、覚えたカードは覚えていないカードと替えます。その後本文に戻り本文中での意味がわかればOKです。
今回は受容語彙学習に焦点を絞って学習法を紹介しました。紙と鉛筆があれば、誰でもできる点が味噌です。もし一つだけ受容語彙向上のために電子機器を紹介するとすればアメリカ版のAMAZON Kindleです。パソコンやタブレットでも英語は読めますがKindleの白黒液晶を使用した機種だと目が疲れません。2012年9月現在Kindleはタブレットも合わせるとアメリカで5機種発売されていますが、私は白黒液晶で従来型のKindleを使っています。また東村JAPANより「英辞郎」を購入すれば、ポップアップ機能で英文を読むことが可能になります。英語で小説や英字新聞を読む時にはこれを使っています。大部分の本は基本的には第1章が無料で読めるのもよい点です。紙と鉛筆を使った単語学習にKindleでの多読を組み合わせることで、受容語彙は格段に増え、記憶の定着が可能になります。是非お試しください。
安木先生によるTOEFLメールマガジン85号「リスニング→内容理解→音読→アウトプット順で本文を繰り返そう」のご寄稿文についてはこちら