TOEFL Mail Magazine Vol.36 CIEEのホームページへ
TOEFLは、エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。
新連載予告!
e-Language in Action

昨年好評を博した連載「日本から発信する英語(全12回)」の著者、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス 環境情報学部の鈴木 佑治教授とプロジェクトメンバーによる、待望の新連載が次号より始まります!
今回は連載スタートに先立ち、鈴木教授とプロジェクトメンバーである長谷部 葉子先生、
山中 司さんに座談会を開いていただきました。

鈴木佑治(すずき・ゆうじ)氏
長谷部葉子(はせべ・ようこ)氏
山中 司(やまなか・つかさ)氏
慶應義塾大学 環境情報学部教授 兼
同大学大学院政策・メディア研究科委員
慶應義塾大学
環境情報学部訪問講師
慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科修士課程(在籍中)
鈴木佑治先生
長谷部葉子先生
山中司氏

鈴木:

次号から始まる新連載の企画をご紹介します。これは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの鈴木佑治研究室(http://www.camille.sfc.keio.ac.jp/)による、プロジェクト発信型の英語プログラムをベースに開発した、幼児、小学校、中学校、高校、大学・大学院、社会人に至るまでのlifelongモデル「e-Language in Action」の実践報告です。今回ご紹介するのは、文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された「次世代メディア・知的社会基盤」(http://www.coe21.sfc.keio.ac.jp/results/detail.jsp?id=3&user_id=38&year=2002)というプロジェクトの中の、英語e-Learningの活動が中心となります。この「e-Language in Action」は多岐にわたるプログラムを扱っておりますので、Language and Culture Exchangeやカタカナ英語など、毎回特定の切り口で私鈴木佑治と、担当のプロジェクトメンバーである長谷部葉子と山中 司で実践活動の報告をいたします。
(e-Language in Actionについては、既に2004年1月から12回にわたる「日本から発信する英語」で理論的な背景を述べたので、それについてはTOEFLメールマガジン・バックナンバーを是非ご参照下さい(現在、準備中です)。

ページトップへ

【今回のプロジェクトの方法】
長谷部:

私は『SWITCH ON』(鈴木佑治、長谷部葉子、山中 司著、慶應義塾大学鈴木佑治研究室発行 2004年)というカタカナ教材を使って、小学校低学年と、小学校中学年から高学年、中学生、高校生、大学生までがどういう形でこの教材を活かしてプロジェクトを進めていけるかを追っていきたいと思っています。その一つのやり方としては、実践の場としてある教室を使い、この5つの段階に分けた学生にカタカナ教材を配布して、それを使って通常のワークショップ授業などを行うフィールドワークがあげられます。またオンライン上でのカタカナプロジェクトの可能性も探っていく予定です。

鈴木:

長谷部さんはこの他にも、SFCや千葉商科大学政策情報学部でLanguage and Culture Exchangeという名称でSFCが開発したプロジェクト発信型の授業をやっており、いろいろ面白い試みが紹介できると思います。

また、私はこのようなプロジェクトを行う時に、先生だけではだめだと思います。受講者の立場である学生が中心になって動かないと結局何もできない。非常に重要なことは、教員が自ら行動するのではなく、学生に場を与え、責任をとることです。私たちが成功したのは、どこの国でもそうですが、現地の学生が率先して動いてくれたからです。私達はそれをすでに実験しましたので、その様子を山中君がまとめてくれます。

山中:

授業は先生が行っているように見えますが、実際に言語を使って何かを生み出すのは学生です。しかし高校や中学校、小学校では、自由なカリキュラムで学習できる要素があっても十分に活かしきれてないところも見受けられます。先生方の中にも、教育現場で具体的にどう教えたらいいか困っている方が多いようです。我々は新しくて面白いことを、子供たちと一緒にできるという手応えを感じているので、私は学生全体をまとめる大学院生TA(ティーチング・アシスタント)の立場からその可能性をご紹介し、ご提案できたらと思います。

鈴木 もっと具体的には、私の代わりに小学校や中学校でのプロジェクトで行動する大学生・大学院生がNGOやNPOのような組織を作って、サポーティング・システムや教材作りをしていくことを考えた方がよいですね。

山中: 子供たちの力は本当に素晴らしいです。幼児でも高校生でも、自主的に協力しようと努力し、本当にオリジナリティーに富んだものを考えます。特に小学生は、型にはまっておらず、英語そのものは習っていなくてもいろんな子が非常に面白いことをします。子供の立場で考えてみても、話したいのは自分達と年の近いお兄さんやお姉さんだと思います。なかなか教育現場に入る機会のない大学生とも、一緒にプロジェクトを行うと、双方の距離が近くなり、よりよい効果が上がると思います。

鈴木 そうですね。教員の仕事は「場を与える」ことで、一番重要なのは「学生自身が動くこと」でしょうね。特に幼児、小学校については私達の研究室でもノウハウが蓄積されてきたので、小学校や幼稚園の先生方と一緒に行うプロジェクトが今後もできると思います。長谷部さんは、自分でも学校を経営しながら、長く実践活動を続けてきたので、おそらく質問も来るのではないですか?

長谷部: 実際にどのようなことが問題になっているのか具体的に教えていただけると、問題を抱えていたり疑問を持った先生方の立場に立ったアドバイスやサポートができるでしょう。例えばこんなことができるんじゃないか、どういう形の活動を行えば学校のカリキュラムに定着するか等々、学校における自主的な教育の取り組みのサポートをさせていただけると思います。先生方、生徒さんと双方向的なやりとりをさせていただけると、私共にも非常に貴重な取り組みとなります。

鈴木

この新企画は双方向的であるべきで、私たちだけではできません。ぜひ今回の連載の場を借りて、読者のみなさんと双方的に情報交換をすることができればよいと思います。質問をいただければ答えますし、私たちももしかすると質問を投げ返すかもしれません。そのときには、ぜひ楽しんでご自由にお答えいただきたいと思います。そうなればこのTOEFL®メールマガジン自体も非常に新しい、双方向的な次世代のマガジンになるのではないかと思います。

ページトップへ

【プロジェクトの評価システム】
鈴木 評価システムについてはどうですか?このようなプロジェクトをどう評価するかは非常に難しいでしょうが、何かいい提案はありますか?

山中: 「評価をする」という時、どうしても我々は「測定をする」ことにこだわりがちですが、測定だけが評価ではないのではないでしょうか。自由さや生産的であるといったもっと「質的なもの」の評価もされるべきであり、また多くの人が興味を持っています。評価の対象も増えつつあり、これからは学生評価だけでなく、先生やプログラム、理念の評価が重要になってくるでしょう。難しい課題ですが、一緒に議論をしながら考えていきたいです。

長谷部: 私はSFCや千葉商科大学政策情報学部でのプロジェクトでは、モチベーションの違いに注目しました。プロジェクトに取り組む前後で、履修者の言語に取り組む姿勢がどのように変化したか、また言語は「使うもの・発信型である」という認識がどのように行動に表れたか、それを大きな評価としました。

鈴木

例えば海外留学する学生の評価に関して言えば、相手校の担当者に「この学生は欲しい!」と言ってもらえるような基準があればいいわけです。そういう新しい評価システムをすでに我々は作り始めています。TOEFLテスト等の能力測定試験も必要です。これと合わせて、いい評価システムを作っていきたいと思います。この点についてもこの連載で紹介していきます。それでは、以上3人、お手伝いをしてくださる学生さん、それから協力して下さっている学校の先生方と一緒に次号より連載していきますのでお楽しみに。

カタカナ英語:
実教室を使い、この5つの段階に分けた学生にカタカナ教材を配布して、それを使って通常のワークショップ授業などを行なうフィールドワーク
オンライン上でのカタカナプロジェクトの可能性 など

ページトップへ

上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。 最新情報は関連のウェブページよりご確認ください。
©2005, CIEE All Rights Reserved.