前回、対談形式でお知らせいたしました通り、今回から私の研究室と国内外の幼稚園から大学に至る様々な学校と温めてきた「プロジェクト発信型の英語e-learning」の実践活動を紹介いたします。これらの実践活動は何本かの柱がありその内の一つであるLanguage
& Culture Exchangeですが、トップ・バッターとして2001年に岐阜県岐阜市立の梅林中学校とイギリスのLittle
Lever Schoolとの実践活動を紹介いたします。この実践活動は、2001年度から2002年度にかけては、慶應義塾大学SFC研究所の受託研究CAMILLE(Cognition,
Action, Media in Language and Language Education)の一環として行いました。研究資金を提供していただいた財団法人全国市町村国際文化研修所にはこの場をお借りして心より感謝申し上げます。
この実践活動を担当した中心人物の一人は、現在、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科(SFC)修士課程2年の山中
司君です。山中君は1998年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の総合政策学部に入学し、当時私が担当しておりましたACE
(Action, Communication & English)プログラムと称するプロジェクト発信型英語で自分の関心事である「教育」についてのプロジェクトを立ち上げ、徹底的に追究しました。初めは英語を聞くことも話すことも苦労していましたが、2学期目の終わりにはかなり中身の濃い英文のロング・タームペーパーを書き、きちんと発表をし、討論をしていました。その後は私の担当する専門科目を英語で行うモジュラー英語(現在はコンテンツ英語)を取り一段と進歩をしました。2年次の終了時の2000年には、このメールマガジンを発行しているCIEEが主催する海外体験プログラムの一環で、イギリスで日本語を教えることができるインターンシップがあると聞き、山中君を紹介いたしました。採用されるやイギリスに渡りLittle
Lever School -Specialist Language College-という言語教育に特化した公立中学校で日本語を教え始めたのですが、私どものACEプログラムを日本語教育に応用できると考え採用しました。結果、すこぶる人気になり受講者が増え、1年の契約を2年に延ばしました。
私は、大学3年の時、休学してイギリスでインターンシップの機会を得ました。私の役目は日本語をイギリスの現地の中学生に教え、1年をかけて日本語教育を赴任校で立ち上げるというものでした。鈴木先生からの助言もあり、実際に生きた場で英語を「使う」道を選んだのです。鈴木先生から、このCIEE、Councilプログラムを紹介していただき、若干の給料をもらいながらイギリスで日本語を教えるという挑戦でした。2000年の夏のことでした。
私が日本語教師として赴任したのは、イギリスのイングランド北西、マンチェスターの近くのボルトン市というところにある、Little
Lever School -Specialist Language College- という地元の公立の中学校でした。細かい話は省きますが、つたないながらも英語で一生懸命に日本語を教えました。そもそも日本語教育というものが全くなかった街です。そこはロンドンではありません。何とか日本語、日本人、そして自分を「認知」してもらおうと頑張ったことを覚えています。通常授業のみならず、近郊の小学校や中学校、高校にも出向き、日本語の出張授業をしました。夜は地域の大人の方を対象としたイブニング・クラスも持たせて頂き、ちょっとずつですが、町中の人が日本や日本語に興味を持ってくれるようになりました。その結果、1年契約が2年に延長となり、私も二つ返事でOKしました。
授業にも慣れてきた1年目の最後に、プロジェクトとして私の日本語のクラスで行ったのがLanguage Exchangeプロジェクトでした。これは慶應義塾大学の鈴木佑治研究室のサブゼミとの一環として日本側で立ち上げてもらったものです。同じ中学生を結ぼう、そしてお互いにお互いの言語を教え合おうというものでした。筆者が日本でお世話になった岐阜県の当時岐阜市立梅林中学校教諭でいらした上手留美子先生のクラスにプロジェクト参加を依頼し、上手先生のクラスでは総合学習の時間を使って、英語で自分達のメッセージを発信するプロジェクトを行いました。私のクラスでは習った日本語を使って自分達の好きなことの紹介プロジェクトを行いました。それを、2001年7月に実際にテレビ会議で双方を繋ぎ、交流してみたのです。
ビデオカンファレンスの実施日時・プログラム(既に終了しています)
日時:2001年7月13日(金)
英国側:9:00〜9:50 〔時差8時間(イギリス夏時間)〕 日本側:17:00〜17:50
1.
梅林中学校1年2組の英語によるビートルズメドレー(イギリス側拍手)
2.
英国側、英国の音楽についての日本語を織り交ぜた英語によるプレゼンテーション
3.
日本側、AET(Assistant
English Teacher)のジェームズさんが、日本の生徒に対し、イギリス側のプレゼンテーションを日本語で解説