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福岡県立香住丘高等学校 |
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このコーナーでは、TOEFLテストの実施運営団体であるETSのプロダクツをご利用いただいている高等学校・大学での導入事例を、現場の教室からお伝えします。
ETSプロダクツとは、TOEFL-PBT(Paper-Based Testing)テストの過去問題を使った「団体向けTOEFLテストプログラム:TOEFLテストITP」や、インターネットに接続できる環境があればどこからでもアクセスができ、短時間で採点とフィードバックを自動で行う、ライティングの授業には欠かせない「オンライン・ライティング自動評価ツール:Criterion」など、現在日本国内のみならず世界の教育現場の皆様に多くご利用
・ご活用いただいているETS開発のテスト・教材です。
今回はCriterionを導入されている福岡県立香住丘高等学校からのレポートです。
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学校の特徴------------- |
福岡市東区にある開校21年目の県立高等学校。開校時福岡県で最初の普通科英語コースが設置され、当初より福岡県の英語教育推進校としての期待が寄せられた。平成6年度に英語科に発展し、より専門性の高い英語教育の研究と推進に寄与してきた。平成15年度に文部科学省よりスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)に指定された。海外経験等のない生徒が多くを占める中で、国際人としての素養を養うとともに、高度なコミュニケーション能力を身につけ、総合的な学力を伸長させている点で、県内外で高い評価を受けている。全国レベルでのエッセイコンテスト・スピーチコンテスト・スキットコンテスト等でも実績をあげている。 |
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SELHi指定を受け、本校では英語のスピーキング・ライティング能力の向上に係る指導方法及び評価方法の研究開発を行っている。特にクリティカルライティングの効果的な指導に係る研究の一環として、平成16年3月よりCriterionを英語科2年生・3年生が使用している。使用しているCriterionトピックの種類はTOEFLである。本稿では、現3年生の指導の経緯を報告したい。
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(1)
1年次第3学期〜2年次第1学期(2004年3月〜2004年7月)
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週1回「総合的な学習の時間」を利用して授業を行った。この時期は操作に慣れることを目的とした。スペルチェッカーを利用し、制限時間は設定しなかった。Criterionが示すScoreの具体例を示してから書き直しに取り組ませるとScoreが上がった。クラス内で高いScoreを出した生徒の作文をクラス全体に提示し、具体的に良い点・改善点を説明した。5月以降は骨子を作り、展開方法を考え、必要な語彙を事前に調べてからタイプする方法を取った。そうすることで、1時間に2回提出が可能になり、初回提出時から高Scoreが出るので、生徒の取り組みも積極さが増した。
Assignment
Topic : Group Member or Leader |
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Score1
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Score2
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Score3
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Score4
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Score5
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3月15日
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19人
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11人
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1人
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4月12日
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11人
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24人
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3人
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1人
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4月19日
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2人
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25人
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9人
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3人
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1人
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4月26日
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3人
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14人
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17人
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4人
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2人
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Assignment
Topic : Change in Your School |
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Score2
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Score3
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Score4
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Score5
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Score6
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5月24日
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14人
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15人
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8人
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1人
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0人
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6月21日
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2人
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10人
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21人
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6人
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1人
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Assignment
Topic : Reasons for Attending College |
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Score2
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Score3
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Score4
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Score5
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Score6
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7月14日
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2人
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19人
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11人
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7人
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1人
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全英連英作文コンテストに全員取り組ませるために、7月は類題に取り組ませた。今回は、事前のスペルチェック等を十分に行ってから提出するように指導し、提出回数を1回に限定した。
全英連英作文コンテストの課題: |
What I
want to Do After I Graduate (301〜600 words)
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(2) 2年次第2学期(2004年9月〜12月) |
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この時期の指導は、1つのトピックに対して提出回数に制限は設けず、授業中だけでなく、自宅からの提出も奨励し、Score5ないし6を出すことを目標とした。
また外国人指導助手によるパラグラフライティングの事前講義を行った。(1)効果的なIntroductionの書き方と基本的なエッセイ全体の構成について、(2)Conclusionの書き方について、(3)Outline
writingについての講義を、それぞれ下記の日程で実施した。さらにoutlineについて外国人指導助手が生徒一人ひとりに面談し個別指導を行った。またScore
5以下の生徒に対しても、外国人指導助手が個別指導にあたった。
Assignment
Topic : Playing and Winning |
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Score2
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Score3
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Score4
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Score5
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Score6
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9月27日
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2人
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10人
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13人
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12人
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2人
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10月4日
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0人
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7人
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11人
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17人
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5人
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効果的なIntroductionの書き方と基本的なエッセイ全体の構成について講義を実施する。 |
10月18日
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1人
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2人
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6人
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21人
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10人
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16名score
upした。Conclusionの書き方についての講義を実施する。 |
Assignment
Topic : Experience or Books |
11月1日・8日 Outline
writingについての講義を実施する。 |
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Score2
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Score3
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Score4
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Score5
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Score6
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12月6日
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0人
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1人
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9人
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21人
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9人
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12月13日
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0人
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0人
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1人
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24人
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15人
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(3) 3年次第1学期(2005年4月〜7月) |
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3年次では「英語表現」(2単位)のうち1時間を使い、Criterionを利用した。第1学期の始めにコースアウトラインをしめし、事前に生徒に使用するトピックを知らせた。提出は自宅利用を含め、5回を限度とし、制限時間を35分とした。また、スペルチェッカーをはずし、文法ミスは可能な限り生徒に訂正させた。この時期になると、最初からScore
5を出す生徒が大半であり、4以下は1割前後であった。Score 5ないし6を出した生徒は、外国人指導助手や日本人教師からフィードバックをもらい、表現の自然さ、Coherencyに関して指導を受けた。
Assignment Topic1
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Younger People Teaching Older People
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Assignment Topic2
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Money and Success
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Assignment Topic3
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Dorm Roommate
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Assignment Topic4
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Living Longer
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Assignment Topic5
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Hiring Employees
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Assignment Topic6
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Resources Disappearing
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Assignment Topic7
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Changes in the 21st Century
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Assignment Topic8
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Money on Technology
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1年半のCriterion利用を通して、教師が感じたCriterionの有用性は次のとおりである。
(1)
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1クラス一斉にライティングの指導ができること。 |
(2)
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生徒にパラグラフライティングのBasic Formatを確立させることができたこと。 |
(3)
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多くのトピックを利用したことで、生徒がエッセイを書くことに抵抗感がなく、書くことに慣れた
こと。 |
(4)
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GTECのライティングセクション等様々なテストスコアのアップにつながったこと。 |
(5)
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様々なエッセイコンテストに応募する際も類似したCriterionのトピックを利用したことで、効率的なエッセイ指導ができたこと。 |
(6)
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英検準1級の2次面接において、自分の意見を述べる設問がCriterionのトピックの内容と
類似しており、ライティング指導がスピーキングの指導にも役だったこと。 |
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英語科3年生を対象にCriterionの有用性について、次のようなアンケート調査を実施した。( )内は、回答率である。
Criterionに関する学習調査
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Criterionを約1年半使いましたが、皆さんの意見を聞かせてください。
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Criterionを使って英文ライティングを行いましたが、良かったと思われるものに○をつけてください。(いくつ選んでもかまいません) |
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(1)
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自分のペースでライティングができる。(20%) |
(2)
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コンピュータを利用するので、訂正が容易にできる。(70%) |
(3)
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提出すると即座にスコアが出てくる。(95%) |
(4)
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コンピュータから、即座にスペルミスや文法ミスを指摘される。(87.5%) |
(5)
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何度も提出できる。(40%) |
(6)
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学校の授業内だけでなく、自宅からでも提出できる。(70%) |
(7)
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ALTの先生から、ライティングの講義を受けたり、提出した英文エッセイに対して個人的に指導が受けられる。(10%) |
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2.
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Criterionと手書きのライティングを比べて、それぞれ優れていると思われる点を書いてください。 |
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(1)
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Criterionが優れていると思われる点。 |
(2)
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手書きが優れていると思われる点。 |
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3.
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Criterionを使って得られた有益な結果に○をつけてください。(いくつ選んでもかまいません) |
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(1)
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英文ライティングに抵抗感なく取り組めるようになった。(62.5%) |
(2)
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英文ライティングのスピードが増した。(65%) |
(3)
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パラグラフライティングがうまくできるようになり、頭の中で起承転結を考える事ができるようになった。(70%) |
(4)
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英検準1級のライティングの準備に効果的であった。(32.5%) |
(5)
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GTECのライティングスコアが伸びた。(25%) |
(6)
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英検準1級の面接に役立った。(12.5%) |
(7)
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英文ライティングだけでなく、日本語でも論理的に思考できるようになった。(27.5%) |
(8)
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特に役にたったという実感はない。(5%) |
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以上の結果で明らかのように、生徒はCriterionをライティング能力向上に有用であると感じている。特に、Criterionの利点として、「訂正が容易にできる」(70%)、「提出すると即座にスコアが出てくる」(95%)、「コンピュータから、即座にスペルミスや文法ミスを指摘される」(87.5%)、「学校の授業内だけでなく、自宅からでも提出できる」(70%)等コンピュータを利用した利点が有効であると考えている。またCriterionを利用した有益な結果として、「英文ライティングに抵抗感なく取り組めるようになった」(62.5%)、「英文ライティングのスピードが増した」(65%)、「パラグラフライティングがうまくできるようになり、頭の中で起承転結を考える事ができるようになった」(70%)等パラグラフライティングが上達したという結果を重視していることがわかる。また、この結果は、ライティングの能力差や総合的な学力の差で生徒をグループに分けても、同様の結果を生じ、ほぼ全員の生徒が有用性を認める結果となった。
アンケート項目の2番目にあるCriterionと比較して手書きのライティングの有用性に関しての生徒の意見は、ほぼ全員が手書きの方が単語のスペルを正確に覚えるということであった。また、Criterionは内容に関する評価がないと指摘する回答もあった。
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約1年半Criterionを利用したが、クラス全体に対して、一斉にパラグラフライティングの指導が行えることに関しては有効な手段であることは間違いない。しかし、内容の指導や、文体に関する指導などは教師の指導を補完して行わなければならない。さらに効果的にCriterionを利用するためには、高校3年間にわたるライティング指導全体についてさらに研究する必要がある。
(ご寄稿:同校英語科 永末 温子先生)
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