TOEFL Mail Magazine Vol.45
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TOEFLテスト40年を振り返って
〜日本でのTOEFL®テスト40年を振り返って〜

現在180カ国(*1)以上の国で年間約72万人(*2)が受けているTOEFLテスト。そのスコアは全世界の5,000以上の機関に利用されており(*2)、なお増えつつあります。2005年の9月から(日本では2006年5月開始予定)次世代(インターネット版)TOEFLテストが導入されたことを受け、40周年を迎えたTOEFLテストの歴史を、開発の経緯・データ・当時のエピソードなどを交えながら、シリーズで振り返ってみたいと思います。

*1
TOEFL® iBT Tips; ETSより
*2
TOEFL® Information and Registration Bulletin2005-2006(PBT、CBT用)より

最終回:
「次世代(インターネット版)TOEFLテスト(TOEFL iBT)導入」

 1964年にTOEFLテストが始めて実施されて早40年が経ちました。その間、全世界の受験者数はもちろん、実施国・地域数やTOEFLテストスコアを利用する機関も増加してきました。現在までの実施回数は2,000万回以上を数え、また現在の実施国は180カ国以上にのぼります。まさにTOEFLテストは名実共に「国際基準」の英語運用能力テストといえるでしょう。

またこの40年の間、高い信頼性はそのままにTOEFLテストは進化し続け、2005年9月にはついに次世代(インターネット版)TOEFLテスト(TOEFL iBT)が米国で開始されました(日本での導入は2006年5月予定)。「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るテストとして開発されたTOEFL iBTはより実践的であり、真のコミュニケーション能力を測るテストとして注目されています。

TOEFL「テスト」は確かに「テスト」でしかなく、万能ではありません。TOEFLテストの点数だけで測れるものは限られています。しかし、「テスト」がより実際のコミュニケーションに近くなれば、そのための勉強の方向もより正しくなります。TOEFLテストのための勉強をしていくうちに実際に必要なコミュニケーション能力が身についたり、反対にコミュニケーション能力を身につけるために正しい勉強をしていた人が、TOEFLテストを受けたときにきちんと高い点数が取れるようになれば、TOEFLテストという「テスト」の使い道が一段と広がるのではないでしょうか。そのためにTOEFLテストは進化し続けています。
どうか、TOEFLテストの成長を自分の目で確かめてみてください。そしてこれから先も、厳しく、そして温かくTOEFLテストを見守っていただければ幸いです。


当時を振り返って
1.コンピュータ版TOEFLテストの導入から定着へ

日本を含むアジアでは2000年10月からコンピュータ版TOEFLテストが始まったわけだが、コンピュータ版によるETS作成のGMATテストやGREテストなどはすでに日本でも始まっていた。CIEEでも1部屋と小さいながらコンピュータテストセンターを運営していたのである。
しかしGREテストなどと違い、TOEFLテストは受験人口も格段に多い。現在もテストセンターを運営しているトムソン・ラーニンググループの一員のアール・プロメトリック株式会社(当時名はプロメトリック)の指導の下、準備が進められた。コンピュータテストセンターは札幌・仙台・東京(3か所)・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄の9都市11か所に開設された。そのうち東京のテストセンターのひとつはCIEEだった。それまでは日本各地でペーパー版TOEFLテストのための試験会場が開かれていたので、特に大都市から離れた受験者にとっては不便になってしまった感は否めなかった。
5年ほど前と言ってもコンピュータについてはずいぶん社会に浸透していたはずだったが、やはり不安な要素が多かったのだろう。2000年9月にコンピュータ版テストが始まる直前のペーパー版テストは駆け込みが多く、1回あたりの受験者が13,000名ほどと過去最高になった。
こうして始まったコンピュータ版TOEFLテストだったが、従来できなかったキャンセルにおける返金やリスケジュールは、受験者の利便性を向上させたのか、それ以前のペーパー版TOEFLテストの時のような複数回登録がなくなり、No Show(ノーショー:欠席)率はかなり少なくなった。また、最初は30分のエッセイライティングについても強制となってスコアがセクション2に組み込まれるようになったことに戸惑いがあったようだが、受験者もだんだん慣れてきたようだ。手書きも認められるもののキーボードを使用するほうが効率がいいことから、現在その使用率は8割を超えている。

 
2.それでも残ったペーパー版TOEFLテスト

2000年当時、コンピュータ版TOEFLテストセンターが開設されても特に遠隔地としてペーパー版TOEFLテストが残った地域もある。石川(金沢)、高知そして宮崎だ。ここで行われるペーパーテストはSupplementalと呼ばれコンピュータ版TOEFLテストが受けられない受験者のためという補足的な意味を持っていた。
しかし、2002年5月でコンピュータ版TOEFLテストセンターは東京、新横浜、大阪の会場を残して閉鎖される事態になった。これは世界一斉に行われたことで主には経済的理由だったと聞いている。「日本全体の受験者の80%をカバーできる」という触れ込みではあるが、日本は交通費も高いし第一地方に住んでいる受験者がいちいち東京か大阪に出てこなくてはならないのは合理的ではない。かなりETSと交渉して残してもらうように働きかけたが、結果としては4か所が残るのみとなり、その後CIEEが持っていたテストセンターも終了することになった。
そこでまた、ペーパー版TOEFLテストが札幌、仙台、福岡など従来コンピュータ版TOEFLテストセンターがあったところで補完するべく復活し、それ以外にも岩手、鹿児島などでもその後開始された。
こうして受験者はコンピュータ版が主な受験手段というものの、ペーパー版も受験できるようになったのである。それでも、コンピュータ版はほぼ毎日、午前と午後の2セッションのうちどちらかを選択できる便利さは提供されていたので、ペーパー版の実施回数の少なさ、申し込みなどの不便さは受験者にとってかなり不都合であったに違いない。

 
3.時代は未来を見据えて〜「次世代(インターネット版)TOEFLテスト」へ

ETSはもともとTOEFLテストにはスピーキングを加えるべきとの方針のもと、開発を進めていた。しかしながら、2000年のコンピュータ版TOEFLテストの開始には間に合わず暫定的に開始したとも言える。それはなぜか?4技能をそれぞれ測定する必要があること、コンピュータ版テストではライティングは取り入れられたもののスピーキングを含めたアウトプットの技能にも重点を置くべきであることなどの方針があり、よりコミュニカティブな試験として「次世代(インターネット版)TOEFLテスト」が登場した訳である。
現在はプロメトリックが全世界で展開しているテストセンターであるが、集約的でテスト実施回数も多い反面、テストセンターの場所が少なく遠隔地に住む受験者にとって問題があったことは否めない。インターネットによる配信の「次世代(インターネット版)TOEFLテスト」はその不便を克服するべく各地の大学や高校などの教育機関に協力を求めて試験会場を設置することになった。コンピュータ教室にあるPCを使って実施する新TOEFLテストは、大教室で一斉に実施するペーパー版テストとは異なった様相であるのは当然だが、コンピュータ版TOEFLテストに慣れた受験者であれば受け方はさほど変わらないだろう。
テストの構成が変わり受験者には戸惑いもあるかもしれないが、コミュニカティブな英語の4技能を測定できるインターネット版TOEFLテストはまさに「次世代」と呼ぶにふさわしい内容を持っていると言えよう。

 
4.テストの本質は変わらない

TOEFLテストは、ペーパー版からコンピュータ版へ、そしてインターネット版へと変貌を遂げている。しかしながら、テスト作成者ETSの根底に流れる思想は変わっていない。より精度が高い「英語運用能力測定試験」を提供するということだ。もちろん、テストはテスト。一時期の能力を計るに過ぎない。TOEFLテストスコアが2年間しか有効でないことにもその鉄則は現れている。だからこそ、いかにそのスコアが受験者の英語能力の実態を表しているかが重要なのである。

「コミュニケーションが可能」、いわゆるコミュニカティブであることは現代のグローバル社会にとって必然である。したがって学校であれ企業であれ、その能力を求める。そしてその能力を測るもの、それはテスト。たかがテスト、されどテスト。何千人もの研究者を抱えてテストを製作できる世界的な教育機関は唯一ETSだけであろう。テストの実施方法に多くの問題点があることは否めないが、よりよい商品を作っていることは世界に誇っていいと思う。

ETSにとってTOEFLテストは40年を越えた。一口に言っても長い時間だ。CIEEにとってはTOEFLテスト日本事務局として25年。これまた四半世紀。多くの方がTOEFLテストを受け、世界を舞台に活躍している事実は大きい。TOEFLテストを受験する時間は準備する過程も含め、人生のうちのほんのわずかでしかないだろう。しかし、一期一会のたとえにもあるとおり、「だからこそ大切にしたい」のである。今後羽ばたいていくであろう後輩のためにも。

(最終回文責:国際教育交換協議会(CIEE) TOEFL事業部長 高田幸詩朗)
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