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e-Language in Action〜次世代メディアとプロジェクト発信型英語教育〜
第10回
広島県広島市広島城北幼稚園での発信型英語教育の試み

慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 同大学大学院 政策・メディア研究科委員 鈴木佑治先生
鈴木 佑治
慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 同大学大学院 政策・メディア研究科委員

二見文子 広島城北幼稚園 園長 
前田宏美 広島城北幼稚園 教諭 
長谷部 葉子
慶應義塾大学環境情報学部 訪問講師、鈴木研究室


前回、カタカナ英語を使える英語に変えて英語の語彙表現を勉強する幼児用教材『Switch On』(テキスト2004年、オンライン教材2005年、鈴木佑治、長谷部葉子、山中司著、鈴木佑治研究室発行)について長谷部さんが紹介いたしました。現在、この教材は広島県広島市の広島城北幼稚園(二見文子園長)にて導入実験をさせていただいております。この2月と4月に長谷部さんが同幼稚園を訪れ同幼稚園の先生方と共同で模擬授業をしました。2回とも園児たちにとても好評で、先生方にも喜んでいただきました。今回はその様子について、園長の二見文子先生、教諭の前田宏美先生、そして鈴木研究室より担当者の長谷部さんにそれぞれの立場から報告していただきます。

二見文子氏の報告

二見文子氏イラスト 英語教育を幼稚園に取り入れることについて検討している際、鈴木教授の研究室に伺い、現在導入を始めたプロジェクトに出会いました。保育についてはプロであっても、英語については、素人の私たちができることはなんだろうかと肩に力が入っていましたが、鈴木教授のお話を伺って何とか取り入れることができるかなと思いました。ただ単に英会話を取り入れたり、外国教師に来てもらうだけでは、子供たちの中に根付かないと思っていたからです。普段、子供たちと接している教職員が抵抗なく使える教材であり、又、自分たちに合ったものを作り上げていけるものでなければ意味はありません。子供たちの吸収力にはいつも驚かされます。子供たちの吸収力に負けないように子供たちと一緒に私たちも吸収し学んでいけたらいいなと思います。


前田宏美氏の報告

前田宏美氏イラスト長谷部先生と広島城北幼稚園 黄組(年中組4歳児35名)との出会いは、2006年2月9日でした。葉子先生が登園してくる子供たちに英語で挨拶をするコミュニケーションから始まりました。短い時間でしたが、子供たちは、自然な雰囲気の中でまたたく間に打ち解け、初めて会ったとは思えないほどの親しみを持っていました。そして、指導してもらった教材に興味を持ち楽しんでいました。
 その後、保育園の中で挨拶やクラスの色・男の子女の子を英語で呼びかけてみたり、子供たちの大好きな絵本の英語版と日本語版を見比べながら読み聞かせなどもしていました。また、園の行事の一つであるお誕生日会では、年中組3クラス合同(105名)で英語の歌を全園児(288名)の前で発表しました。この英語を取り入れた保育を通して、子供たちは自然な形で抵抗もなく、耳から入ってきたカタカナ英語を話す楽しさを経験しました。子供たちは、特に英語の歌に興味を持ち、子供たちのほうから朝と帰りには挨拶の歌を希望し、毎日歌っています。3月22日に葉子先生が再び来園されたときにも、子供たちは先生のことを覚えていて「ようこせんせい〜!」と大喜びでした。この英語の保育で英語の楽しさを子供たちと一緒に共感できました。これからも、子供たちと楽しく英語に接していきたいとおもいます。


長谷部葉子氏の報告

長谷部葉子氏この城北幼稚園での英語教育導入の試みは、思い切った二見園長先生のご判断と、先生方の前向きで柔軟な実践力によりはじめて可能になったといえるでしょう。4月までには、幼稚園のオンライン化も進み環境が整うので、ポリコムや、WEBカメラを用いたテレビ会議での遠隔サポート、オンライン上で教材配信も可能になり、今後の展開が大変楽しみです。2月に初めてカタカナ英語のオンライン教材Switch Onを持って幼稚園でワークショップをさせていただいてから、3月に2度目に伺うまでの1ヶ月間の園児の皆さんの変化、英語への順応度合いには目を見張るものがありました。先生方も一緒に子供たちとオンライン教材等を用いて、日常的に少しずつ取り入れて学んでいく体制作りに先生方がどれほどご尽力なさったかがうかがえます。そのような現場での日常的で地道な取り組みがあってこそ、遠隔からのサポート、オンライン教材が生きてくると、まだ始まったばかりですが、今回の現場の取り組みをみて実感しました。とはいえ、忘れてはいけないことは、オンライン上、遠隔サポートのみならず、時には、教室現場でのFACE to FACEのワークショップも必須であると思います。以上を踏まえて、今後の展開を段階的かつ長期的にご報告させていただこうと考えています。


長谷部さんも述べているように、たとえ効果的であると分かっていても、初めてこのような活動を取り入れるにはそれなりの覚悟が必要です。二見先生、前田先生、そして広島城北幼稚園の先生方全員が園児の為に積極的に導入をしたことに敬意を払います。園児たちの輝いた顔そして新しいことばに挑戦しようとする意欲は大人も学ぶべきでしょう。この教材を使うことにより、日ごろ口にするカタカナ英語を元の英語の発音に戻して覚えることが可能になり、それを話すことで園児たちにはとても楽しい経験となっているようです。ただ覚えるのではなく、報告にあるようにそれらの語彙で何らかの意思の疎通をするようになります。まだ模擬授業を2回重ねたばかりですが、今後、これらの英語の表現を覚えた園児たちはそれを使って色々なプロダクション活動をして英語で発信するようになるでしょう。楽しく長く続けることで多くの成果が期待できます。『Switch・On』は英語の学習教材として開発しましたが、ゲームなどを導入することによりそれを使って活動できるようになります。将来は、外国の園児たちとオンラインでつなぎ一緒にゲームや歌や劇などを楽しむ場を作りたいと考えています。本連載につきましてのご意見、ご感想はこちらまでお寄せ下さい。

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