普通のカリキュラムで実施したため、英語授業外で生徒が自主的に英語に接する機会を増やす努力もした。横断的・総合的学習で実施する国際教育との連携、1・2年におけるリーディングマラソンに取り組ませるために500冊程度の小さな英語図書室の開設、ALT・帰国生たちとの会話を楽しむ週1回のイングリッシュ・サロン、ラジオ講座の活用、外部講師による英語での講演会、エッセイコンテスト・スピーチコンテストへの積極的な参加、夏休みに実施するアクティビティ講座(English
in Action)、英国語学・多文化理解研修等々。
ここでは、国際教育とSELHiとの連携を紹介する。本校では、2005年1月、日本政府が提案し国連総会で採択された国際的学習テーマ「持続可能な開発のための教育」(Education
for Sustainable Development)に基づき、横断的・総合的学習での取り組みを発展させた国際教育を進めている。また、この横断的・総合的学習には全ての教科の教員が参加し、文字通り横断的学習を実践している。
文科省・ユネスコ日本委員会・ユネスコアジア文化センター(ACCU)・本学の特別研究経費から支援を得て、2004年7月の「附高祭(文化祭)」に中国の人民大学附属高校・韓国の上黨(サンダン)高等学校・タイRajabhat
Institute Thepsatri附属高等学校・フィリピン教員養成大学附属高等学校から16名の先生と生徒を招き、2005年1・3月には、本校生がタイ・フィリピンを訪問、同年11月には韓国サンダン高校から10名の先生と生徒が来訪し、ユネスコ協同学校(ASPnet)の理念を共通の基盤とした「学びあい」と「協同研究」の相互交流を進めている。この3月には、安藤スポーツ・食文化振興財団の支援を得て、本校の12名の生徒と4名の教員が中国人民大学附属中等学校を訪問し、7月には、人民大学附属中等学校の同数の生徒と先生が本校の附高祭(文化祭)に合わせて来訪した。これらの日常化した国際交流は、SELHiの目標である「英語が使える日本人の育成」の実践の場にもなっている。
生徒たちは、パワーポイントを使用しながら環境問題・平和の問題・人権問題・各国の文化などについて英語で発表し合い、ディスカッションを始めた。単なる自己紹介型・日常会話型の国際交流ではなく、国連が提唱する「持続可能な開発のための教育」の理念に基づく共通の学習・研究基盤があるため、事前に各国の生徒たちは学習し、英語で発表するための十分なる準備をして交流する。専門的な用語もお互いに学習した結果として相互に理解が可能となる。事前の英文レポートの交換・ビデオレターの交換などの準備作業も英語を使う機会となる。SELHiと国際教育が連携するようになって、全ての教員がSELHiの試みにも関係するようになった。普通のカリキュラムという限られた英語の時間を、横断的・総合的学習と連携させることによって実質的に大きく拡大させることができた。生徒たちにとっても英語を使う実践の場を得ることは、その後の英語学習への大きな動機付けになった。英語学習から興味を失いかけていた生徒が復帰する場面も多々見られた。