1年目の研究が終了した時点で思い切った研究計画のスリム化を行った。このスリム化により、見栄えのする行事・活動・取り組みに振り回されることなく、研究の核心にこだわることができた。また、余分な労力・負担が軽減されたのも言うまでもない。以下は、本校が研究の柱として大切にしたことである。
(1)「英語量」にこだわった授業 |
全英連高知大会で発表した「和訳先渡し授業」から始まった英語量を増やす工夫を3年間の英語授業全体に組み込んだ。その工夫は「同じ英文を何度も繰り返す」と「和訳配布で生まれた余剰時間でさらに多くの英語に触れる」という考え方であり、最終的には「個々の授業で繰り返す」と「カリキュラムを通じて繰り返す」の2つの方法をシラバスに組み込んだ。
たとえば、個々の授業における工夫として同じ英文を何度も繰り返し読まなければならない活動というのがある。具体的な活動は以下のような仕組みやルールに基づいて実践した。 |
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生徒が英文を読む際、原則として全体(課全部)を読まなければならないように仕組む |
A |
同じ英文を知らず知らずのうちに繰り返し何度も読むような活動を仕組む |
B |
内容理解の済んだ英文を繰り返し読むような活動を仕組む |
C |
生徒のWPMから活動時間を設定し、1単位時間に読む英語量を最大限に増やす |
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(2)プロジェクト・チームと公開授業 |
少数の教員でSELHiプロジェクト・チームを立ち上げた。常に計画・実践・検証等の先頭に立ち、全教職員の理解と協力を得ることができるようにチームで呼びかけることを心がけた。研究をスムーズに進めることができた要因の一つであると思う。 年間5〜10回、積極的に公開授業を実施し、授業者以外の視点から学ぶ仕組みを作った。公開授業は、事前に参観者に授業テーマを知らせておいて参観していただくテーマ設定方式へと発展。参観者の視点が絞られ、公開授業後の研究協議会はたとえ短時間であっても非常に有意義で充実したものになった。 |
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(3)「個々の授業」から「3年間の指導システム」の構築 |
以下のように当初の計画@ABは最終的にCDEという3つの指導プログラムにまとまり、年次進行でその学習内容を発展させながらゴールを目指すという3年間の指導システムが完成した。(資料@参照)
個々の授業を3年間の指導システムへと関連付ける、いわば「点」を「線」で結んでいく作業は大仕事だった。理論は言うまでもないが、教員自身が思い描いた生徒像を見失わないことが鍵であったと思う。生徒の英語力が思うように伸張しない、授業展開がうまくいかない、生徒のモティベーションが高まらない、等たくさんの困難な場面があった。しかし、どんな時も「皆さんには・・・・できる英語力を身につけてほしいのです!」と生徒たちに教員の熱い思いを繰り返し伝えた。 |
■当初の計画■ |
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1年次のうちに高校英語のベーススキルを確立する |
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A |
2年次に英語使用場面・使用量を確保することでその定着を図る |
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B |
3年次には目的を持って英語を使える人材を育成する |
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■最終的な指導プログラム■ |
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C |
英語量を確保する増量コアプログラム |
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D |
英語を通じて技能のスキル向上を目指す英語スキル養成プログラム |
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E |
グローバル・エデュケーションの考え方に基づいて地球市民育成を目指す地球市民育成プログラム |
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