TOEFL Mail Magazine Vol.59 July2007
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生涯英語のすすめ For Life-long English
様々な世代の人々が様々な場で、生涯を通して何らかの形で英語にかかわって仕事をしています。英語は人それぞれ、その場その場で違います。このシリーズでは、英語を使って活躍する方にお話を聞き、その人の生活にどう英語が根付いているかを皆さんにご紹介し、英語の魅力、生涯にわたる楽しさをお伝えしていきます。英語はこんなに楽しいもの、英語は一生つきあえるもの。ぜひ英語を好きになってください。
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第2回
プロ野球チーム、オリックス・バファローズの通訳に聞く! その2

慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 同大学大学院 政策・メディア研究科委員 鈴木 佑治先生

鈴木 佑治
慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 
同大学大学院 政策・メディア研究科委員


今回のインタビュー

オリックス・バファローズ  編成部渉外グループ 武藤 雄太さん

武藤 雄太さん
オリックス・バファローズ  編成部渉外グループ

★☆★ 前回のお話はこちら ★☆★

◆ 大学4年間、毎年インターン体験
鈴木 スポーツマネジメントとはどういう学問ですか?

武藤

スポーツでどうやってお金を儲けるか、を研究します。僕の学部は少し変わっていて、必修で在学中にインターンシップを3回しなくてはいけない。最初のインターンシップは1年生の時、ロンドンのサッカーチームのクリスタルパレスFCというところへ1ヵ月行きました。2年生では、夏休みに日本に帰国して、サッカーJリーグの湘南ベルマーレでやりました。最後は4年生の1学期間をまるまる使ってやる本格的なもので、デトロイト・タイガーズのスプリングトレーニングとシングルAのシーズンをセットにして行きました。実はその前年の3年の講義で、デトロイト・タイガーズのスプリングトレーニングに行ったことがあったのです。
鈴木 すごくうまくできていますね。受け入れ先はどうやって決まるんですか?
武藤 自分で探すんですが、非常に大変でした。
鈴木 大学は世話してくれないんですね。シングルAではどんなことをしたのですか?
武藤 少ない人数で経営しているので、スタッフはシーズンチケットを売りに行ったり、印刷物を作ったり、球場のアナウンスや音楽なんかも手がけます。球場は市の施設なんですが、メジャーリーグのキャンプの時は市の造園局がグラウンドの整備を手伝ってくれるのに、マイナーリーグのシーズンになるとあんまり人を貸してくれない。雨が降ってきたら、僕らが雨よけのタープを敷く。すごく大変で、二度とやりたくないですね。
鈴木 そうでしょうね。あれは、巻いた直径が1メートルもあるから。
武藤 でもこのインターンシップを通して、自分はこれがやりたいな、と思う部分が見えてきました。
鈴木 スポーツマネジメントで身を立てようと思ったわけですね。それから?
武藤 アメリカでは大学を卒業すると、留学生にはOPTのビザが出ます。Optional Practical Trainingといって、インターンシップというかたちなんですが、1年間働くことができるビザです。それを行使するためには、受け入れ先を探さないといけないので、今度はメジャーリーグに行こうと各球団に「インターンでもいいのでやらせてください」と手紙を送りました。そうしたらヒューストン・アストロズから返事が来て、1シーズン働くことができました。
鈴木 どんな手紙を送ったんですか。
武藤 自分の働いた実績と、どういうふうにチームに貢献できるかということを書いた報告書というか企画書のようなものを提出しました。
鈴木 競争率はどれくらいでしたか?
武藤 いや別に何倍っていうのはないです。タイミングなんです。タイミングがたまたま合ったのがアストロズだった。それともうひとつ。僕ら日本人だって、外国人を雇うのはどうかなってやっぱり思うじゃないですか。アメリカでもアジア人はちょっととか、外国人は英語がちょっとって思う人はいっぱいいる。だけど僕の上司はそういうことは関係ナシという考えの人でした。「ほんとに頑張りそうだからちょっと挑戦させてみようかと思った」って後で言われました。
鈴木 普通だったら英語のできるネイティブを雇うでしょうね。
武藤 そのとおりです。
鈴木 あこがれのメジャーリーグはどうでした?
武藤 各部署が分かれていまして、グランドクルーはグランドクルー、広報の人は広報とみんなスペシャリスト。僕はBallpark Entertainmentという部署に所属しました。ここは音楽や映像を使ってスタジアムの演出をする部署です。最初はインターンで入って、終わるときはパートタイマーでした。
鈴木 それで今年オリックスに入ったのですね。即戦力と認められたのはインターンのおかげですね。

◆ 使うために学び、使ったから学べた英語になじむ
武藤 大学時代、インターン先を探すために苦労しましたし、卒論に当たるリサーチペーパーを提出するので鍛えられました。さらにOPT先を探すときも企画書をつくって、と結果的に英語を勉強しました。もちろんインターン先ではすべて英語だし。
鈴木 僕は、学校で英語を勉強するのも重要なことだけど、学校で学ぶのは学力のほんの一部だと思っています。例えば野球をする子は野球のことで英語の勉強ができるんじゃないでしょうか。高校野球という素晴らしいコンテンツがあるんだから、英語でもウェブサイトつくって発信すれば、海外とももっと交流できますよね。好きなことや仕事を通して英語を習得するのがよくて、そうした場は自分でつくれるものですよね。
武藤 大リーグファンだから英語を勉強するっていう人、いますね。英語を使って何かする目的がある。これはいいですよね。僕が思うに、ボール投げしてもどこまで飛ぶかはわからない。あそこまで到達すると思っても、手前で落ちちゃうかもしれない。英語習得の目標を立ててずっと頑張ってても、英語しゃべる前に終わっちゃったりしたらなんのために勉強していたのかわからなくなる。だったらできたところまでを使って、とにかくしゃべったほうがいい。それと、英語も使わないのに勉強するって、試合もしないのに練習だけするようなものでまったく意味がありません。実用的な目的が大切だと思います。
鈴木 それ、面白いポイント!英語を使ってなにかする、それがほんとの目標なんだけど、みんな、その前の英語を勉強するということを目標にしちゃっています。遠い目標まで届けばいいんだけど、その前の英語を勉強するという目標達成の段階にいつまでも留まっている。あるいは脱落しちゃうってよくあります。初めから英語を使うという場に身を置いたほうがいい。それが武藤さんにとっては、野球の世界に身を置くということでした。
武藤 スポーツに関心がありましたね。少なくとも英語の勉強のためにアメリカの大学に行ったわけではなかった。

鈴木の一口コメント
武藤さんは、アメリカの大学でも関心のあるスポーツに真っ向から取り組み、スポーツマネジメントという新分野の勉強をしました。理論を学ぶだけではなく、インターンシップをしながら実践を積まなければなりません。武藤さんは、イギリス、日本、アメリカのサッカーと野球のクラブチームでインターンシップをする機会を得ました。また、卒業後、ヒューストン・アストロズで働く機会を勝ち取りました。この仕事もインターンシップも自分で交渉して得たものです。手紙を書いたり直接会ったりして積極的に自己アッピールをしたと聞きましたが、その活動力が英語力を向上させたと言っても過言ではありません。英語も使わないのに勉強するって、試合もしないのに練習だけするようなものでまったく意味がありません」と述べた武藤さんの顔は輝いていました。次回もお楽しみに。

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