◆ 大学4年間、毎年インターン体験 |
鈴木: |
スポーツマネジメントとはどういう学問ですか? |
武藤: |
スポーツでどうやってお金を儲けるか、を研究します。僕の学部は少し変わっていて、必修で在学中にインターンシップを3回しなくてはいけない。最初のインターンシップは1年生の時、ロンドンのサッカーチームのクリスタルパレスFCというところへ1ヵ月行きました。2年生では、夏休みに日本に帰国して、サッカーJリーグの湘南ベルマーレでやりました。最後は4年生の1学期間をまるまる使ってやる本格的なもので、デトロイト・タイガーズのスプリングトレーニングとシングルAのシーズンをセットにして行きました。実はその前年の3年の講義で、デトロイト・タイガーズのスプリングトレーニングに行ったことがあったのです。 |
鈴木: |
すごくうまくできていますね。受け入れ先はどうやって決まるんですか? |
武藤: |
自分で探すんですが、非常に大変でした。 |
鈴木: |
大学は世話してくれないんですね。シングルAではどんなことをしたのですか? |
武藤: |
少ない人数で経営しているので、スタッフはシーズンチケットを売りに行ったり、印刷物を作ったり、球場のアナウンスや音楽なんかも手がけます。球場は市の施設なんですが、メジャーリーグのキャンプの時は市の造園局がグラウンドの整備を手伝ってくれるのに、マイナーリーグのシーズンになるとあんまり人を貸してくれない。雨が降ってきたら、僕らが雨よけのタープを敷く。すごく大変で、二度とやりたくないですね。 |
鈴木: |
そうでしょうね。あれは、巻いた直径が1メートルもあるから。 |
武藤: |
でもこのインターンシップを通して、自分はこれがやりたいな、と思う部分が見えてきました。 |
鈴木: |
スポーツマネジメントで身を立てようと思ったわけですね。それから? |
武藤: |
アメリカでは大学を卒業すると、留学生にはOPTのビザが出ます。Optional Practical Trainingといって、インターンシップというかたちなんですが、1年間働くことができるビザです。それを行使するためには、受け入れ先を探さないといけないので、今度はメジャーリーグに行こうと各球団に「インターンでもいいのでやらせてください」と手紙を送りました。そうしたらヒューストン・アストロズから返事が来て、1シーズン働くことができました。 |
鈴木: |
どんな手紙を送ったんですか。 |
武藤: |
自分の働いた実績と、どういうふうにチームに貢献できるかということを書いた報告書というか企画書のようなものを提出しました。 |
鈴木: |
競争率はどれくらいでしたか? |
武藤: |
いや別に何倍っていうのはないです。タイミングなんです。タイミングがたまたま合ったのがアストロズだった。それともうひとつ。僕ら日本人だって、外国人を雇うのはどうかなってやっぱり思うじゃないですか。アメリカでもアジア人はちょっととか、外国人は英語がちょっとって思う人はいっぱいいる。だけど僕の上司はそういうことは関係ナシという考えの人でした。「ほんとに頑張りそうだからちょっと挑戦させてみようかと思った」って後で言われました。 |
鈴木: |
普通だったら英語のできるネイティブを雇うでしょうね。 |
武藤: |
そのとおりです。 |
鈴木: |
あこがれのメジャーリーグはどうでした? |
武藤: |
各部署が分かれていまして、グランドクルーはグランドクルー、広報の人は広報とみんなスペシャリスト。僕はBallpark Entertainmentという部署に所属しました。ここは音楽や映像を使ってスタジアムの演出をする部署です。最初はインターンで入って、終わるときはパートタイマーでした。 |
鈴木: |
それで今年オリックスに入ったのですね。即戦力と認められたのはインターンのおかげですね。 |