◆ プロ野球もコミュニティワークを |
鈴木: |
武藤さんはこれから日本の球界でどういう活動をしていきたいですか? |
武藤: |
そうですね。僕は英語で雇ってもらってるし、まだ入ったばかりで右も左もわからないのにこういうことを言うのもなんですが、プロ野球というフィールドでお金を儲けるサイドから言えば、まだまだやらなきゃならないことがいっぱいあるように思います。よくファンサービスって言うけど、何がファンサービスなのかなとか。アメリカでは税金で建てたスタジアムがたくさんあります。アメリカ人はスポーツが好きだから、税金でスタジアム建設をしてもマジョリティーの人たちは文句を言わない。ビジネスサイドがそれくらいスポーツ好きな人たちを増やす努力をしていけば、日本のプロ野球界はもっともっと活発になっていくんじゃないかと思うんです。 |
鈴木: |
僕は今63歳なんですけど、2年前から近所の野球チームに入れてもらい、毎週金曜日の練習試合に出してもらっています。僕は野球は中学でちょっとやっただけなんですけど、みんなは中学、高校、なかには大学まで野球をやっていた人ばっかりでしかも若い人たちです。みんな野球大好きで、金曜日の夜になると近くの市営球場に駆けつけて来ます。僕も毎週2回バッティングセンターに行き、7ゲーム打ち込みます。135〜140キロの球も打ちますよ。今までホームラン90本。ホームラン券でバット数本、グローブ、ジャケットなどもらいました。でも、実戦ではうまくいきません。 |
武藤: |
それはすごい。 |
鈴木: |
日本のプロ野球のファンサービスってだいたい少年チームが対象でしょう。もちろん少年野球を指導することは、それはそれで重要ですけど…。 |
武藤: |
オリックスにもコミュニティ部門っていうのがあるんですが、やはり子ども中心です。 |
鈴木: |
年寄りにも教えてほしい!だってこれからは高齢化ですよ。アメリカでは、夏になるとあちこちの公園にボールが置いてあって老若男女が集まりすぐチームができたものです。バーベキューやりながらDaylight saving timeの8時、9時までソフトボールや野球に興じる。冬になるとフットボールやバスケットになる。あれはCommunity Workに相当貢献していると思います。プロ野球選手だって現役を退いたらそれっきりというのはもったいないですね。プロの人が来て教えてくれるなら僕はお金払ってもいい。プロの球を近くで見てみたいし、プロ野球界が引退選手を中心に野球を教えるなどしてコミュニティづくりに貢献したら、いいビジネスモデルができると思います。 |
武藤: |
ほんとにそうですね。ただ、それもやっぱりスタジアムが問題だと思います。自前のスタジアムがあれば、OBの人をパッと集めて地域の方達をお招きできるけど、今は場所を借りなくてはならない。 |
鈴木: |
シニアの人は時間的余裕もあるし、草野球に興ずる30代、40代、50代の人もプロの人が教えてくれるといったら喜んで来ますよ。僕は“Life-long English”を提唱していますが“Life-long baseball”を考えてほしいですね。そうしたら、シニアチームがアメリカに旅行しながらアメリカのシニアチームと野球ができます。 |
武藤: |
そういえばアメリカにはファンタジーキャンプというシニア対象のプログラムがありました。スプリングトレーニングの1〜2週間前におじさん達を200人ぐらい集めて、往年の名選手が10人ぐらい来て4、5日指導するんです。で、その後チームに振り分けて試合をする。そういうのを日本でもできるようになったら面白いですよね。 |
鈴木: |
野球だけじゃないですよ。毎日どういう運動をしたらいいか、どういうランニングをしたらいいか、スポーツ界を全部総合して…。僕はとてもいいと思います。 |
武藤: |
そうですね。英語の勉強と同じで、体を鍛えるだけが目標の人と、体を鍛えてやりたいスポーツがある人とでは、やっぱり違ってきますよね。 |