TOEFL Mail Magazine Vol.60
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様々な世代の人々が様々な場で、生涯を通して何らかの形で英語にかかわって仕事をしています。英語は人それぞれ、その場その場で違います。このシリーズでは、英語を使って活躍する方にお話を聞き、その人の生活にどう英語が根付いているかを皆さんにご紹介し、英語の魅力、生涯にわたる楽しさをお伝えしていきます。英語はこんなに楽しいもの、英語は一生つきあえるもの。ぜひ英語を好きになってください。
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第3回
プロ野球チーム、オリックス・バファローズの通訳に聞く! その3

鈴木 佑治先生

鈴木 佑治
慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 
同大学大学院 政策・メディア研究科委員


今回のインタビュー今回のインタビュー

オリックス・バファローズ  編成部渉外グループ/武藤 雄太さん

武藤 雄太さん
オリックス・バファローズ  編成部渉外グループ

★☆★ 第1回のお話   第2回のお話 ★☆★

 プロ野球もコミュニティワークを
鈴木 武藤さんはこれから日本の球界でどういう活動をしていきたいですか?

武藤

そうですね。僕は英語で雇ってもらってるし、まだ入ったばかりで右も左もわからないのにこういうことを言うのもなんですが、プロ野球というフィールドでお金を儲けるサイドから言えば、まだまだやらなきゃならないことがいっぱいあるように思います。よくファンサービスって言うけど、何がファンサービスなのかなとか。アメリカでは税金で建てたスタジアムがたくさんあります。アメリカ人はスポーツが好きだから、税金でスタジアム建設をしてもマジョリティーの人たちは文句を言わない。ビジネスサイドがそれくらいスポーツ好きな人たちを増やす努力をしていけば、日本のプロ野球界はもっともっと活発になっていくんじゃないかと思うんです。
鈴木 僕は今63歳なんですけど、2年前から近所の野球チームに入れてもらい、毎週金曜日の練習試合に出してもらっています。僕は野球は中学でちょっとやっただけなんですけど、みんなは中学、高校、なかには大学まで野球をやっていた人ばっかりでしかも若い人たちです。みんな野球大好きで、金曜日の夜になると近くの市営球場に駆けつけて来ます。僕も毎週2回バッティングセンターに行き、7ゲーム打ち込みます。135〜140キロの球も打ちますよ。今までホームラン90本。ホームラン券でバット数本、グローブ、ジャケットなどもらいました。でも、実戦ではうまくいきません。
武藤 それはすごい。
鈴木 日本のプロ野球のファンサービスってだいたい少年チームが対象でしょう。もちろん少年野球を指導することは、それはそれで重要ですけど…。
武藤 オリックスにもコミュニティ部門っていうのがあるんですが、やはり子ども中心です。
鈴木 年寄りにも教えてほしい!だってこれからは高齢化ですよ。アメリカでは、夏になるとあちこちの公園にボールが置いてあって老若男女が集まりすぐチームができたものです。バーベキューやりながらDaylight saving timeの8時、9時までソフトボールや野球に興じる。冬になるとフットボールやバスケットになる。あれはCommunity Workに相当貢献していると思います。プロ野球選手だって現役を退いたらそれっきりというのはもったいないですね。プロの人が来て教えてくれるなら僕はお金払ってもいい。プロの球を近くで見てみたいし、プロ野球界が引退選手を中心に野球を教えるなどしてコミュニティづくりに貢献したら、いいビジネスモデルができると思います。
武藤 ほんとにそうですね。ただ、それもやっぱりスタジアムが問題だと思います。自前のスタジアムがあれば、OBの人をパッと集めて地域の方達をお招きできるけど、今は場所を借りなくてはならない。
鈴木 シニアの人は時間的余裕もあるし、草野球に興ずる30代、40代、50代の人もプロの人が教えてくれるといったら喜んで来ますよ。僕は“Life-long English”を提唱していますが“Life-long baseball”を考えてほしいですね。そうしたら、シニアチームがアメリカに旅行しながらアメリカのシニアチームと野球ができます。
武藤 そういえばアメリカにはファンタジーキャンプというシニア対象のプログラムがありました。スプリングトレーニングの1〜2週間前におじさん達を200人ぐらい集めて、往年の名選手が10人ぐらい来て4、5日指導するんです。で、その後チームに振り分けて試合をする。そういうのを日本でもできるようになったら面白いですよね。
鈴木 野球だけじゃないですよ。毎日どういう運動をしたらいいか、どういうランニングをしたらいいか、スポーツ界を全部総合して…。僕はとてもいいと思います。
武藤 そうですね。英語の勉強と同じで、体を鍛えるだけが目標の人と、体を鍛えてやりたいスポーツがある人とでは、やっぱり違ってきますよね。

 野球少年は野球から英語を学ぼう
鈴木 最後に、これは僕の武藤さんへの要望なんですけど、今まで見てきたアメリカの野球事情を、英語と日本語でかいてください。いい英語の教材になると思います。
武藤 面白いかもしれません。
鈴木 僕は、野球好きの野球少年・少女には野球をベースにした英語学習を考えています。「よくナイターっていうけど、本場ではナイトゲームって言うんだよ」って教えたら、みんな喜んですぐ覚えちゃいます。野球でスチールって言葉を使うけど、この語は日常会話でも、“Don’t steal others’ ideas!”などと使われたりします。スポーツ、音楽などの趣味にはそのまま英語でも使えるカタカナ語がありますね。それを英語のスペルと発音に直し、更に他の状況に使えるようにすればよいのです。中学、高校、小学校の義務教育、大学も含め、そういうコンテンツをうまく利用したらどうでしょうか。
武藤 確かに、英語をそういう風に教わったら楽しかったかも。
鈴木 それと、野球少年に夢を持たせてあげたい。早稲田の斉藤君のように一流の野球選手になる道もあるけどそれだけじゃない。武藤さんのように甲子園には行かなかったけど、野球に関わったからこういうことになった。
武藤 それは今まで考えてもみないことでした。好きな野球に関わって、英語を使って仕事をしてるってことは、すごく幸せなことだと思ってましたけど。
鈴木 野球をやったことが、それだけで終わっちゃもったいないですよね。武藤さんの経験はいろんなセクションに生かせると思います。期待しています。
武藤 ありがとうございます。

鈴木の一口コメント
スポーツは最もグローバル化が進んだ分野です。日本発の柔道、空手、合気道などは世界中に愛好家がいますし、野球、サッカー(英国ではフットボールと言わないと怒られますよ)、ラグビー、バスケットボール、テニス、ゴルフ、バレーボール等など、日本で盛んなスポーツは外国から渡来したものです。それぞれのスポーツは国際大会もあり、海外との交流が盛んです。武藤さんのような人材はこれから益々重要な役割を果たします。スポーツ選手の為の英語クラスなど、スポーツを教えながら英語も勉強できたらよいですね。スポーツだけではなくマネッジメントも入れると需要がありそうです。今後の活躍を期待します。

 

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