実は私も、この2週間ぐらいリスニングでとても苦労しました。私はイギリスの銀行に口座を持っていたのですが、お金を預けたまま何年もほったらかしにしておいたんです。でも何年もたってしまったので日本円に換えて日本に送金したいと思い銀行に手紙を書きました。するとその5日後くらいに突然大学の研究室に電話がかかってきて、「あなたの口座は休眠状態(inactive)です。」と言われたのです。それから2週間、口座を”active”にするために10回も電話でやり取りしなければなりませんでした。私から見ると故意にさまざまなハードルを課してなるべくお金を移さないようにさせているのかと思うくらい、面倒でした。実はその電話は、イギリスではなくインドのコールセンターからかかってきていたのです。近年では、海外の銀行だけでなく米国の通信販売会社を始め、たくさんの企業がインドにコールセンターを設けています。よく授業で学生に話していたことではありましたが、実際にインドからかかってきたのは初めてでした。
彼らは必要に応じて米国や英国のアクセントの訓練を受け、なるべくインド人のアクセントを消すようにトレーニングを受けていますが、実際には非常に強いアクセントでした。今度の件でいろんなインド人のオペレーターと入れ替り立ち代り話をして、だんだん慣れてきましたが、最初のうちは何を言っているのか理解することが難しかった。ペラペラと速いスピードであのアクセントでずっと話されるのには、本当に苦労しました。
今の時代、特にアジアを中心にした英語のバラエティーに対応しなければいけない機会が増えてきています。これからおそらく、中国でも英語ができる人が画期的に増えて、中国人英語の特徴に慣れる必要もでてくるでしょう。ネイティブスピーカーの英語を聞き取り、理解するのも、もちろん難しい。しかし聞きなれていないアクセントの英語を理解するのはもっと難しいかもしれない。個人の癖も考えると世界中の何十万、何千万の英語のバラエティーに対処しなければならないでしょう。さまざまなアクセントが許容される時代になってきたのですから、我々日本人も以前より発音を気にしすぎず、コミュニケーションができるのではないでしょうか。 |