TOEFL Mail Magazine Vol.64
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癒しのEnglish

このTOEFLメールマガジンを読んでくださっている方々の中には、記事を読みながら「私もこんな体験をした」と思わず叫んでしまう方もいるのではないでしょうか。
編集部では、そんな読者の方々の、英語にまつわるお話を募集しています。今回ご紹介するのは、「学ばなければいけない英語」を、「癒しのEnglish」に変えたエピソードをお持ちの、杼原 均先生のご投稿です。さて、目からうろこが落ちるような留学成功の鍵とは?


A Holistic Approach to English Learning ―癒しのEnglish

杼原 均(トチハラ ヒトシ)
神奈川県横浜市生まれ。京都外国語大学英米語学科卒。

2001年、英国エジンバラ大学にて文部科学省英語教員海外研修(12ヶ月)を経て2005年バーミンガム大学MA (TEFL/TESL)を修了。文部科学省検定教科書、和英辞典の編集に携わる。現在、三重県立飯野高等学校教諭で、「辞書活用」「語彙指導」に力を入れて指導中。英語の原動力として、BBC UK CHANNELSを毎日欠かさず聞いている。

 憧れの英国エジンバラに来て、6ヶ月。この頃になると夢のような胸躍る日々が過ぎ、異国の地のアラが目立ち出す頃だ。「日本なら…なことは無い!」ということが続くと、そのストレスが心に重く積み重なっていく。一方、英語漬けの生活をしていても自分自身の伸びが実感できない。そんな時、キャンパスでたまたま1枚のチラシが目に留まった。
"You and yourself − developing self-esteem part T"
キャンパス掲示板を見ると多種多様な集いの案内が見受けられる。これは大学が主催するランチタイムグループの一つだ。そのチラシにImproving your self-esteem can help your confidence and ability to cope with the challenges of University lifeと書かれていた。「Self-esteem?」自分にとっては馴染みのない言葉であったが、大学に籍のある者なら誰でも参加でき、10人限定とあったので、さっそく申し込みをして参加してみることにした。

 昼休みに1時間程のセッションが5〜6週連続で行われるもので、毎回10ページ程のself-esteem文献を事前に読んで、それをもとにペアー、グループで話し合いをする。そこでの話は絶対口外しないとの約束のもとで自己の内面について語り合った。コーヒーとビスケットはセルフサービスで軽食をつまみながらのセッションで気軽な雰囲気だ。参加者の内訳は、学部生から博士課程生まで、また学部さまざまで、留学生もいて、年齢層も幅広い。

 自分を知るためのTaskに答えていくのだが、英語を通じて自己の内面と対話をすることが、これほど簡単で、癒しの効果があることに驚いた。もちろんヒーリングの講座や日本語の書籍もたくさん出版されているが、英語の方が断然良く効くのである。母語であると無意識に抑制機能が働くのであろうか。英語で自分の心と対話するとストレートに答えが返ってくるのである。

中世の町並みが今も色濃く残るエジンバラのロイヤルマイル  エジンバラフェステバルにて
【中世の町並みが今も色濃く残るエジンバラのロイヤルマイル  エジンバラフェステバルにて】
   Self-esteemとは、よく「自尊心」と訳されているが、 OALD(OXFORD現代英英辞典) には、a feeling of being happy with your own character and abilitiesとある。つまり「自分の性格、能力を誇りに思いそれを活かしていける心構え」ということであろうか。高いセルフエスティームは、良い結果を出す原動力で、生活を活性化させ、生産性を向上させると考えられている。セッションの最後はコーディネーターの声を聞きながら目を閉じて静かに瞑想をする。時間が来るとそれぞれの世界(教室)へ戻っていった。まさに新しい世界に足を踏み入れたという感じがした。そして回を重ねるに連れて、身も心も軽くなっていった。


  留学中は無我夢中で無理をしてしまいがちだ。しかし頑張り過ぎて度を越えてしまうと結果的には、パフォーマンスは低下してしまう。せっかく頑張っても結果が、やり始めた以下のものになれば、誰でも落ち込むだろう。オーバーワークの疲れと、頑張ったのに出来が悪いという自己嫌悪感で二重に苦しむことになる。つまりこの状態になると頑張ってきたほど、失望の度合いも大きいのだ。常に前に進もうとするだけで、立ち止まって自己との対話がなければ、この状態に気がつかず疲れ果ててしまうのである。やる気ばかりが先行してオーバーワークにならないようなバランス感覚こそが成功の鍵なのだ。
 私は以前自分の名前を英語で説明するとき「均」なのでaverageと言っていたが、あまりpositiveな意味はないと英国の友人から聞いた。自分自身も「良くも悪くもない」といった感じで、「人並みに」ものごとをこなすことと考えていた。これは、つまり常に人の目を気にしているということでもある。しかし、これこそが自分自身に誇りや自信を持てないSelf-esteemの低い状態なのだ。そのことに気が付いてから、自分の名前を balancedと説明するようにしている。この繋がりに妙に感動したのを覚えている。

 学校では容赦のない英語での授業、膨大な課題やプレゼンテーションの準備等々。習慣やシステムの違いからくる不便さもストレスの主要因だ。また思い込みによる誤解など数え上げたらきりがない。
 「留学」それは「ストレスの連続でそれらとの戦い」と言っても過言ではない。ストレスに耐えられる精神力をつけるか、ストレスを適宜発散させながら進んでいくか。そんな時に出会ったのがself-esteem講座である。今考えると英語学習の分岐点でもあったように思うのである。 英国留学の一番の収穫は、この講座がきっかけで日々の生活に取り入れているstress managementのスキルだ。そしてそれは、今も生活の一部になっている。以前は、英語は、ただひたすら「学ばなければならない」ものであったが、今では「癒しのEnglish」へと変わっている。

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