モチベーションという雲をつかむような研究内容を前にして研究開発委員会は頭を抱えていた。まず考えたことは、帰国留学生、本校に滞在する長期留学生、姉妹校からの短期研修団を活用することであった。帰国留学生は英語を流暢に話すことができ、異文化体験もしている。帰国留学生が、シアトル研修を控えた国際科1年生に、自分の留学体験を英語で発表することは、国際科生徒の英語学習のモチベーション向上につながり、シアトル研修の準備にもなると考えて彼らに発表の機会を与えた。帰国留学生自身も英語を使って発表ができ、留学生活のまとめにもなり、さらに英語学習に取り組むようになった。留学生には英語で自国の紹介をさせた。留学生は事前に原稿を用意し、Power Point を使用したり、写真を使った。英語圏以外の留学生にも英語が話せれば発表させた。また、本校へはシアトル、オーストラリア、中国から隔年短期研修団が訪れる。その機会を、英語を使ってコミュニケーションする機会とした。事前にe-mailで相手校に質問内容を聞いて、調べ学習をして答えを用意したり、相手校にも発表の準備をしてもらった。短期研修団は5・6名のグループに分かれて英語の授業に参加。本校生徒と文化をテーマに発表し合った。中国の生徒は流暢な英語で発表するので、本校生徒はかなり刺激を受けた。外国の高校生と直接対面して話ができるのであるから、これ以上のモチベーション向上の機会はないと思われる。
海外研修とは、国際科1年生全員のシアトル研修と全校生徒対象の希望者によるオーストラリア姉妹校研修である。SELHi研究では、これらの研修が生徒のモチベーション向上にどの程度効果があり、実際の英語力向上につながっているかを検証する必要があった。ただ、モチベーション向上の測定は困難であり、それは本校SELHi研究の最終目標ではないため、研修後のアンケート実施と感想文の提出だけで、それ以上は追求していない。英語力に関して、シアトル研修団については、現地のコーディネーターの方や先生にお願いして、シアトル到着直後とシアトル出発直前に、同じスピーキングテストを実施していただいたが、その結果スピーキング力が向上していることがわかった。 |