
発信力を育成するにあたって、英語の4技能を統合することはもちろん不可欠ですが、何を発信していくのかということについては英語科だけの取り組みでは限界があります。そこで、学校設定教科「インテグレーション」を中心に他教科との連携を図ったことには大いに成果があったと考えています。「インテグレーション」は、異なる教科担当の教師が協働で学年目標に沿った授業計画を作成して行う教科で、体験学習や外部講師の授業を盛り込み、生徒の調査・研究、問題解決の思考、共同作業によるコミュニケーション能力、プレゼンテーションなどに必要な表現力の育成を目標としています。この教科で掘り下げ、深めたテーマを取り込み、アウトプットにつなげることで、発信に対する生徒のモティベーションは大変向上しました。つまり、いくら英語の力があっても発信したいと思うものを持たなければ何も表現できませんが、自分たちの興味・関心があることについてリサーチし、分析し、考える経験をした生徒は、つたない英語であっても意欲的に表現しようとします。言葉として表現する活動を通して、生徒は英語力を伸ばしていきました。
高校3年生で、「平和な社会を築くために」というテーマのもとそれぞれの進路希望に沿った観点から、パワーポイントを使いながらプレゼンテーションをさせています。その過程で、生徒は「ニュースや新聞の見方が変った。」と言いますし、休み時間になっても日本語で議論を続けていたりすることもあります。これらは英語の授業だけでは得られない成果だと感じています。
パフォーマンス活動を授業の中に取り込むとき、どうしても時間確保が問題になってきます。それを解決するために、教科内インテグレーションにも取り組みました。一つ一つの科目を別々のものとして捉えるのではなく、科目の壁を越えてインプットからアウトプットへの流れをつくる指導を心掛けました。例えば、英語Tで扱ったテーマについてスピーチを書かせOCTでパフォーマンスの評価をしたり、あるいはリーディングで扱ったテーマについてライティングでエッセイを書かせたりして、効果的にインプットを発信に発展させるよう連携しました。これには大いにメリットがありましたが、連携のためにはかなり頻繁に打ち合わせを行う必要がありますので、規模の大きな学校においては難しい面があるかもしれません。 |