1 成果
(1) 生徒の英語力の変容について(GTEC)
全て1年次→2年次→3年次の順(7月実施)
平均スコア:424→493→574
Readingグレード:4→4→5
Listeningグレード:3→4→6
Writingグレード:3→4→5
速読力(wpm):73.7→85.5→104
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English Summer Camp 2007 |
平均スコアの574は、グレード5にあたり、これは「英語圏の2年制大学への留学に挑戦できる最低限レベル」が540で、高3全国平均が453であることから、全国平均を121ポイント上回っており、大きく実践的英語コミュニケーション能力は伸びたといえる。本校の当初の目標スコアが470だったことからも、100ポイント以上の達成度であった。
技能別に見ると、Readingグレード5は「文章全体の趣旨を伝える文がどれであるか判断したり、検索が困難な特定の情報を探し出したりすることがほぼ的確にできる」「適切なスピードで、ほぼ正確に英文を読むことができる」能力がついたことになる。Listeningグレード6は最高レベルのグレードであり「様々な内容を細かいところまで十分に理解できる」「長めの話や会話の流れを理解し、全体にわたって言われていることの意図をくみ取ることができる」「応答も素早く適切に行うことができる」能力がついた。この伸びが特に著しく、自然増加ではないとベネッセも分析している。Writingグレード5は「事例を取り入れながら、課題に沿った話の展開ができている」「接続語句を正しく使って、文章はまとまりよく構成されている」「使われている語句は正確で多様性に富んでいる」能力がついた。
速読力の104wpmについては、センター試験8割得点目標の130wpmにはまだ届いていないが、7月時点での数値であるので、1月までには130まで伸ばす方策が必要である。
(2) 生徒のネゴシエーション能力について
生徒への意識調査による、現在までの変容は以下の通りである。(年度当初→年度末)
(質問項目5段階の各レベルX人数の平均)
*ただし、1年次→2年次での共通アンケートの質問項目及び選択枝の数に変更があり、同一の質問でないものがある。このため、完全に正確とはいえないことを付しておく。
ア 英語でのスピーチ(人前で話すこと)
1年次平均値2.88→3.77
2年次平均値4.59→5.13
3年次平均値5.40→5.57
イ 英語でのプレゼンテーション(人前で発表すること)
1年次平均値1.98→3.38
2年次平均値2.26→4.54
3年次平均値4.74→5.05
ウ 英語でのディスカッション(話し合い)
1年次平均値1.54→1.85
2年次平均値1.46→3.88
3年次平均値3.82→5.04
エ 英語でのディベート(賛成、反対に分かれてする試合形式の討論)
1年次平均値1.29→1.51
2年次平均値1.36→4.25
3年次平均値4.33→4.85
オ 英語でのネゴシエーション(交渉)
1年次平均値1.22→1.34
2年次平均値1.03→2.13
3年次平均値1.98→4.75
*ア〜オとも、2,3年次の質問項目は7段階で共通の質問内容
また、1年次2学期末のShow&Tellスピーチ取り組み評価について、生徒に内面の変化を問うた項目では「良い変化があった」と答えた生徒が75%であった。その中身は「クラスメートへの理解度が増した」と答えた生徒が最も多かった。
カ プレゼンテーションについて
(2年次プレゼンテーションアンケート)(4月→2月)
やったことがないのでわからない 46人→ 2人
スムーズにできる 2人→12人
ある程度スムーズにできる 12人→64人
キ 「オーラル・コミュニケーションI」
2年次の”1 minute talk and reporting”という活動について
授業のはじめにペアで行う。相手の話を傾聴し、要約して返す。「育てるカウンセリング」の構成的グループエンカウンター(SGE)の活動の効果について
2 5つの課題
(1) 数値データの正確な分析について
研究開始時から専門家を探していたが、見つけられなかった。そのためデータ処理に関しては素人仕事となり、有意差があるとまでは断言できなかった。
(2) 文法項目の扱いについて
英語を英語で教える、全文を訳さないという方法は、文法を英語で教えるべきか、日本語で教えるべきか、文法は独立して教えるべきかという議論が盛り上がり、研修会や職員アンケート等を開催し模索した。が少なくとも「英文法の知識を教える」のではなく、「活用の場を与えて生徒に定着を図る」という共通理解は得ることができた。
(3) SELHi以外の科目との連携及び研究
対象生徒以外の生徒の英語力の保証
SELHiの恩恵を直接受けるのは研究対象生徒(全校生徒の1/8)だけであり、残りの7/8の生徒の英語力はどう保証するのか、と指導者からの指摘を受け、全校生徒が受講する必修科目(英語I→英語II→リーディング)についても何度も議論の末、到達目標、シラバス、授業方法、テストの見直しを行った。その結果、全ての考査にリスニングテスト、未読の長文(授業で教わっていないがその課に関連したテーマの英文)、英語での指示文を定期考査問題に導入した。
(4) 生徒向けCAN-DOシートの導入
教員向けのタスクチャート、スキルチャート、到達目標までは作成できたが、生徒向けのCAN-DOチェックシートが完成しなかったが、SELHi終了後の今年度、試作版を導入した。
(5) SELHi研究終了後の成果の継続
SELHi研究指定終了後も、この研究で得られた成果を継続していかなければならない。研究終了後に全て元通りということのないように。 |