国語科との連携(問答ゲーム、再現ゲーム、要約活動)により、育成したかった力は次のとおりである。
問答ゲーム(1年次 ):問いに対してすぐに答えるという力(及び態度育成)
再現ゲーム(2年次 ):聞いた内容から取捨選択して要旨を取り出してまとめる力
要約活動(3年次 ):「単純な置き換え」、「部分的な言い換え」ではなく、
自分の言葉で言い換えをすることを原則として
文章を要約する力
次の図のように、両教科において、各活動をスパイラルに行い、論理的に話す力を育成していった。
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国語科との連携 活動図
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なお、それぞれの指導方法については次のとおりである。
(1) 1学年 問答ゲーム
国語科の授業において日本語で行った問答ゲーム(例「休日に行くとしたら山か海か?」)を、共通のテーマと指導順序に従い英語科では英語で行った。「自分のことについて即答できる力の育成」という観点から、準備した原稿を暗記して話すのではなく、問答ゲームを通じて、即興で応えることに重点をおいた。即興で、もしくはメモを見ながら、頭の中で応答する内容を瞬時にまとめて応えさせるという訓練を通じて、理由も含めて即答できる力を育成した。なお、指導方法は次のとおりである。
*指導手順
(1)起立してペアでじゃんけんで話す順番を決める。(20秒)
(2)トピックを板書する。(20秒)
(3)肯定側が話す。(40秒)
(4)否定側が話す。(40秒)
(5)5名程度を指名して答えさせて、フィードバックする。(5分)
(6)個人でノートに整理(3分)
*留意点
(1)ペアワークの際はじゃんけんまたは列で最初の発言者を決め、次の発言者が出来るだけ即答に近い状況を作るために、肯定・否定を指定したり、次の発言者は最初の発言者の反対の立場を指定するなどの工夫をする。
(2)全体でフィードバックする際には黒板にマッピングして、一言だけで終わらせないように、必ず具体例を話させるように工夫する。
(3)振り返りのために、個人でノートに整理させる時には、言えなかった表現を質問させたり、模範例を板書する。時間短縮のため、フィードバックと並行してノート整理させる。
(2) 2学年 再現ゲーム
国語科では、教師の読む文章を聞いて、キーワードをメモし、それを見て文章で再現する「再現ゲーム」を実施した。英語科でも同様の手法を用いて、ある英文を聞かせて、そのキーワードをメモし、それをもとに口頭で英文を再現する活動を実施した。「要点を瞬時に掴んでまとめる力の育成」という観点から、再現ゲームを通じて、必要な情報を取捨選択することに重点をおいた。なお、指導方法は次のとおりである。
*指導手順
国語の授業での手法
(1) 教員が読む内容を聞きメモを取る。
(2) そのメモをもとに口頭で再現する。
(3) 80字〜100字でまとめる。問いと結論という構成にする。評論文分野の要約問題 であることを意識して行う。
英語の授業での手法
(1) 未習の英検準2級程度の文章、あるいは既習した教科書の内容をCDで聞く。
(2) 英文を聞きながらキーワードをメモする。
(3) そのメモをもとに口頭で本文の再生を行う。
(4) ペアで交互に再生する。その後、自分の聞き逃した部分や相手の使ったよい表 現をメモさせる。
(3) 3学年 要約活動
国語科では、4000字程度の文章を読んで、30分で600字程度の要約を書かせた。英語科では、全クラスにおいて、500語程度の英文を読んで、トピックセンテンスを抜き出し、自分の言葉で英語要約させる活動を行った。以下を両教科で、共通の評価規準とした。
*評価規準
(1)トピックセンテンスがある。
(2)具体例が削られている。
(3)言い換えがなされている。
レベル1 単純な置き換え、部分的な言い換えがなされている。
レベル2 内容を理解し噛み砕いて、自分の表現で内容を表している。
(4)語数が守られている。
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