TOEFL Mail Magazine Vol.72 November 2008
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達セミに学べ

英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ↓


「エイゴの力、コトバの力」感動を英語で話す!
[達セミに学ぶ 英語学習のヒント]バックナンバーはこちら>>

横浜市立蒔田中学校 竹石 奈津子(たけいし なつこ)先生

ウガンダの女の子と一緒に

ウガンダの女の子と一緒に

 私は2008年夏に、JICA横浜が主催する教師海外研修、アフリカ、ウガンダに参加する機会を得ました。ウガンダはアフリカの真珠と呼ばれるほど美しく、緑あふれる国です。道に生えているバナナを食べれば、人々は飢えて死ぬこともありません。つまり餓死者0の国です。
 私はウガンダの中学校で日本文化に関する授業をしてきました。使用言語は英語です。もともとイギリスの植民地だったウガンダの公用語は英語なのです。現地のコトバはありますが、60近くある部族の言葉をまとめるには英語がやはり便利です。文字という文化がもともとなかった国なので、新聞は英語で書かれています。教科書もすべて英語です。

 教室は掃除がされておらず、ごみが落ちています。電気もありません。机は3人がけのところを7人くらいでギュウギュウに座っています。黒板は石を単に黒く塗ったようなもので、チョークののりも良くありません。後ろの席に座る生徒はあまり見えていないでしょう。私はそんな窮屈な状態の生徒に、「この教室に必要なものはなんですか?」とたずねました。尋ねながらも、こんなこと聞いたら、嫌な思いがするかしら。失礼かしら。と不安でした。しかし、生徒たちは、そんなことなど気にせず、はい!はい!と勢いよく手をあげてくれました。当てると、もじもじしながら“fresh air”とか“ sun shine” など自然に関するものがあげられました。
 なるほど、確かにこの暗い教室では新鮮な空気にふれたくなるよなぁ。と納得しました。
「他にあるかな?」と聞くと、“ignorance” と答えてくれた少女がいました。
私は、はっとして、脳にがつんと響き続きました。「ignorance= 知らないこと」そうだ、学ぶというときに必要なことは、知らないことを知る喜びなのだ。まさにウガンダのソクラテス少女の答えでした。「知らないことを知る喜び。」「知らない自分を謙虚に認めること。」これは英語学習者の私たちにとって忘れてはいけないことだと思います。

はじめての歌遊びを一緒に

はじめての歌遊びを一緒に

 授業では、アフリカから帰ってからこんな話を子どもたちにしました。「“はだ色”、これは英語でなんと言えばよいのでしょうか。」実はこれは、アフリカに行く前に受けた研修で講師の先生から問われた質問です。私も答えられません。そもそも肌の色は1つと決まっていないからです。日本語で「はだいろ」と言っているときはおかしさに気づかないけど、英語で言おうと思うと言えない自分に気づきます。気づきとともに知ることが語学を学ぶ楽しさです。ちなみに、日本人がイメージするはだ色を英語で言うのであれば、“pale orange”になります。生徒はなるほどぉと感じた様子でした。

 私が心がけていることは、心に響くものや良い教材に出会ったら、どんどんアウトプットすることです。生徒にもアウトプットの必要性を教え、生徒対生徒の会話になってもいいのでできるだけアウトプットの機会を設けるようにしています。そのときはできるだけ席をたたせたり、声の調子を変えさせたりして、できるだけリアルに表現させるようにしています。疑似体験をすることで、丸暗記よりも定着が良い結果を生みます。教室に笑顔が生まれます。ふだん日本語を話すときは声が小さく目立たない生徒がいきなり大きな声で笑顔で上手になりきっていたときは、英語の持つ力に驚かされたものです。
 私自身は、好きなDVDのサブタイトルを読みながら役者になりきって家で口真似をしながら勉強しています。

小学校の図書室に書かれていた文字

小学校の図書室に書かれていた文字

 

 なぜ英語を学ぶのか?"と問われたとき、学ぶ意義を確信をもって答えられる人は少ないでしょう。しかし、私は夢や希望、志のでかさ、こういったものを英語を通して教えていくことも英語教師として可能だと思います。たとえば、単純なことですが、 canを教えるときに、I can swim in the pool. より We can change the world. という例文に出会ったほうが、より心に響きます。コトバには力があります。コトバであるエイゴには力があります。そんなパワーを感じながら、感動しながら学習することで、より英語学習が英語楽習になるでしょう。
 私は、達セミやブログ、英語学習友達にあったときなどにアウトプットするようにしています。すると、不思議なことに、水が流れるように新しい情報や知識が自分に流れてくるのです。情報という川は流れなければ淀むのです。
 騙されたと思って、感動を英語でアウトプットしてみませんか。アウトプットすれば必ずインプットがあります。生きたエイゴは流さなければ流れてこないのです。

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