英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。
今回のヒントはこれ:
常葉学園短期大学 永倉由里(ながくら ゆり)先生
私で大丈夫かな?と不安を感じながら、英語を教え始めてから随分時間がたちました。振り返ると、「文法重視」から「コミュニケーション重視」へ、「読む書く」から「聞く話す」へ、「受験英語」から「世界で通用する英語」へと英語教育に求められるものも時代とともに変化してきました。そして、ここ数年は、「教え方」から「学び方」に注目が集まっています。しかも、理解できるかできないかということだけではなく、学習者の皆さんの様々な要素・要因にも目が向けられています。一人一人異なる英語に対する気持ち、英語力向上への思い、これまでの学習習慣や興味のある分野、さらには、心情や性格まで研究対象になっています。英語に限らず、「学び」にはアタマと心と身体のコンビネーションが大切だということもわかってきました。誰だって、①楽しくワクワクした気持ちで、②ふむふむなるほどへぇ~そうかと納得しながら、③軽やかに脳を機能させ、④順調に英語量を伸ばし、⑤その進歩を実感できたら、最高ですよね。
そのための秘策をご紹介しましょう!それは、
です。英語学習の目的、性格、日頃の学習法や学習習慣、どんなことがやる気を高めるか、現在の英語力などは一人一人違います。案外、効率の悪い学習法に囚われていることも少なくないと思いますよ。飽きっぽい人が集中力のある人をうらやんでも、根本的な解決にはなりません。飽きっぽい自分自身とどのように付き合い、どのように英語を学ぼうとするのかが、すべて自分自身に返ってきます。
拙著『知ってトクする!英語学習ハンドブック ―上手な「学び方」を身につけましょう!―』(開拓社)は、英語学習者として「自己理解」と「学習法のバージョンアップ」を目標とするトレーニングブックです。得意・不得意があるのはあたり前、英語を学ぶ目的も人それぞれ。現在の自分をやわらかな気持ちで見つめ直し、その上で、これまでより上手な学び方(ストラテジー)を身につければ、グンと学習効果がアップすることを実感できる1冊です。やる気を高め、維持するためのストラテジー、マル暗記に頼らずしっかり理解するためのストラテジー、記憶を助けるストラテジー、臆せずネイティブと話すためのストラテジーなど、シャイな日本人学習者必見のおトクなストラテジーが満載です。
紙幅の関係で、わずかですが具体例をご紹介します。
「環境問題」「電車の窓から見えるもの」「起きてからしたこと(動詞)」など適当に「お題」を決めて、マッピングの要領で単語を書き出していきます。英語が出てこないものは日本語のままメモしておき、あとで英和辞典を引きます。知らない単語を英和辞典で調べたときより、和英辞典で調べた自分が知りたいと思った単語の方が定着しやすいのです。2分などと時間を決めて、できるだけ多くの単語を書き出すようにすると、ゲーム感覚でできます。
ほんの一例を紹介させていただきました。最後に学生の声を聞いてください。