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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 「先生、どうしたら新しい単語を覚えられますか?」
  • 「そうだな~、最低3回その言葉に出会うことだね。そうすれば覚えられますよ!」

岐阜大学 教育学部
巽 徹(たつみ とおる)先生

英語表現との出会い3段階!

このアドバイスは、私が英国で英国人の学生たちに日本語を教えていたときの決まり文句です。「本当に3回で身につくのか?」と問われると本当はあんまり根拠はありません。ただ、英国で日本語を学ぶ彼らは日本語に出会うチャンスが滅多にないので、出会う回数を「3回」くらいに抑えておかないとやる気が出ないだろうという教育的配慮(?) から「3回出会えば…」と学生を励ましていました。自分の英語学習の経験を思い出してみてもたったの「3回」の出会いではやはり難しいだろうなと思います。それでも、ある単語や表現が身につくまでには、その言葉との「出会い」が大切であったことは確かです。しかも、その出会いには次のような「3段階」があったのではないかと考えます。

  • 【第1段階】「この言葉見たこともない、何これ?」
  • 【第2段階】「どこかで見たような気がするな、でも意味はわからない。」
  • 【第3段階】「確かに前に見たことがある、しかも、意味まで確認した記憶がある。でも今は意味がわからない。う~ん、悔しい!」

皆さんはどうでしょうか?

単語や表現が身につくまでの過程のイメージ

もちろん個人差もありますから、以前に何度も出会っているのに「お初にお目にかかります!」と感じることもあるでしょう。また、運転免許を取る時のように同じ段階をしばらく繰り返さないと次の段階に進まないこともあるかもしれません。おまけに、しばらく会わないうちに下の段階へ逆戻りすることもあるかもしれません。しかし、出会いが多ければ多いほど少しずつ上の段階へ登っていくということは経験上正しいような気がします。

また、出会いにも二種類あるようで、同じ文章を何度も読み込み出会いのチャンスを増やすという方法もあれば、さまざまな異なるテキストや文脈での出会いを重ねていくという方法もあるかと思います。私の場合は、後者の方がどうも性にあっているようで、異なった場面、文脈で出会うことで段階が進んで、その単語や表現が身についていくような気がしています。

英語表現との出会い3段階!

いろいろな表現との「出会い」の可能性を高める方法としてお勧めなのが「英語を読むこと」です。あまりにもありきたりの方法かも知れませんが、色々と読んでいるうちに「出会い」のチャンスが増すことは確かです。それにはまず、読んで「楽しい」「面白い」読み物に出会う必要があります。その基準は個人で異なりますから、ここでは、私の読み物選びの例をご紹介します。

私は一冊の本をがっちり読むのではなく、ちょっとずつ面白そうな話題だけをつまみ食いしたいタイプです。そんな私にぴったりな読み物が「英字新聞」。中でも「お気に入り」は英国の大衆紙Daily Mailです。「見出し」と「写真」から面白そうな記事を読みます。読み始めてつまらなかったり、内容がわからなかったら、すぐに違う記事に乗り換えです。決して自分の英語力のなさに失望したり、背景知識の不足を反省してはいけません。「この記事を書いた人が不親切だ!」くらいの気持ちで、自分に合わない記事を捨てていくのがよいでしょう。

紙版の英字新聞が手に入らない場合は電子版が便利です。電子版であれば興味のある話題をカテゴリー別に検索したり、キーワードで記事を検索したりすることもできます。

最後に、私の授業で新聞記事を読んだ学生たちが見つけてきた面白記事をいくつか紹介します。何から読もうか迷っている方は、このあたりから取り掛かってみてはいかがでしょうか?

電子版Daily Mailのページ:
カテゴリーやキーワード入力により様々な記事を読むことができる。
http://www.dailymail.co.uk/home/index.html
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学生による「世界まる見え!仰天ニュース」の例(見出しの日本語訳は筆者)

*Daily Mailのページの右上の検索窓に下記英字見出しを入力して検索してみよう!

  • “Skydiving collie falls 165ft from a clifftop and lives to bark again”「愛犬奇跡の生還‐50mダイブ‐」
  • “Twins with 2 mums” 「二人の母を持つ双子の姉妹」
  • “This is your captain. Get ready to jump on the hijacker when we land”「パイロットの機転が救ったハイジャック事件」
  • “The airline diet ”「エアライン・ダイエット」

巽徹先生によるTOEFLメールマガジン107号「6分間の英語学習 | 達セミに学ぶ 英語学習のヒント」の寄稿文についてはこちら

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