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俳句で一息 Haiku Time

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このコーナーでは俳人 灯声こと中村忠男さんに、世界で最も短い詩の形といわれる「俳句」について、日本語・英語のバイリンガルで俳句の魅力・楽しさを解説いただきます。
中村さんは、日航財団の常務理事として勤められるかたわら、世界に発信する文化として日本語・英語両方での俳句作りに取り組まれています。毎月の中村さんの季節感あふれる一句と、季語や句への思いがどう英語になっていくのかを是非お楽しみください。

中村 忠男氏 灯声(中村 忠男氏)プロフィール
財団法人日航財団 常務理事
1950年生。東京大学法学部卒
1972年日本航空入社
2007年より現職
ジョージタウン大学大学院国際関係修士(1978年)
俳誌「春月」同人

もうたれも来ぬ校舎かな麦の秋

Wheat field in harvest
the old school building stands empty
the children can no longer come

(解説)

子供の数が減ってきて、あちこちで小学校が統合されています。筆者が以前住んでいた東京西部の区でも、隣の小学校が統合されて閉鎖になりました。地方でも同様と思います。自分や家族が通っていた学校が閉鎖になるのは、寂しいことです。俳句では寂しいという感情は言わずに、その気持を伝えます。麦の秋の中に佇む校舎、3月で廃校になってもうだれも来ない。それしか言っていませんが、寂しいという気持が伝わると思います。麦の秋(麦秋)は初夏(5月)の季語。小春(初冬の季語)とともによく季節を間違えられる言葉です。英語は素直な訳ですが、海外では秋に学校が始まるところが多いので、5月になって寂しがるというのはピンと来ないかもしれませんね。

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