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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • reading strategy-速く正確に読む方法(カンを磨こう)

東京純心女子中学高校
荒井惠子(あらい けいこ)先生

一生懸命単語を覚え、文法を勉強しているのに、長文読解のスコアが伸びない。そんな生徒のために東京純心では高校1年から、reading strategyを紹介しています。普通は高3で教えるのですが、テクストの内容が難しくなってから学ぶより、内容が易しい高1から徐々にしみこませていくことにし、いつでも取り出して参考にできるよう冊子にもまとめました。ここでどんなストラテジーかご紹介します。一言で言うと、「勘を磨け!」。

「読む」ってどういうこと?

「読む」とは書き手が何を伝えたいか「掴み取る」ことです。その方法がreading strategy、速く正確に「読む」作戦です。

Strategy (1) かたまりで読もう! phrase reading

速く読むにはいちいち日本語に訳さず、英語の語順のまま頭に入れていく、直読直解。意味をかたまりごとに確認しながら、頭に入れていくやり方を練習します。みなさんも高校の授業で、意味の切れ目にスラッシュを入れていったでしょう。コンマの後、長い主語の後、長い前置詞句の後、to不定詞の前、that節の前、関係詞の前、等々、でしたよね。

Strategy (2) 文全体を予測しよう! prediction

初めて降りた駅。さあ、どんな街?そんなとき、ただやみくもに歩き回ったりしないで、まず駅前の案内板や看板を見て、当りをつけるでしょう。「バス停は駅の近くにある」というよう な常識も働かせますよね。ただのヤマカンではなくて、根拠にもとづいた論理的な推論。これがpredictionです。英文も同じ。以下の順序で全体の見当をつけてから読みましょう。正確に速く読む近道です。

(1)題、副題
タイトルはテクストの看板。副題は案内板。先ずこれを見て内容を予測する。
(2)絵・写真・グラフ
一目でわかるのはこれらのビジュアル系。ちゃんと読み取れれば情報量は半端じゃない。テクストのイメージがだんだん鮮明になってくるでしょう。
(3)注
注では、語句の意味や、重要表現などが紹介されている。つまりpredictionのヒント。
(4)質問
質問はポイントを教えてくれる大事なヒント。しかもたいていはテクストの順番通りにたずねてくれるから、流れもわかる。質問を読んで、その答えを探しながらテクストを読みましょう。
(5)流し読み
もし、(1)~(4)の情報量が極端に少なかったら、流し読みで概要が予測できます。これは論説文に有効です。なぜなら、英文の論説文(essay)は必ずサンドイッチスタイルになっているから。つまり、introduction(導入)とconclusion(結論)というパンがsupporting body(詳しい説明)という具をはさんでいる形になっています。上下のパンには同じ内容、主張がまとめられています。だからパンの部分をしっかり読む。

(1)タイトル (2)最初の段落 (3)残りの段落の最初の文 (4)最後の段落 の順に読んでいけば、概要がわかります。

*パンや具はそれぞれ段落(paragraph)をあらわす。

  

私のクラスは 教科書の新しい課に入る前、予習で、(1)~(5)の手順で全体を予測してくることになっています。

Strategy(3) 語句の意味も論理的に予測しよう!

わからない語句がでてきても、すぐ辞書をひかずに先ず前後の文脈から品詞と意味を推測します。日頃から論理的に推測するstrategyを身につけておくと、テストのときに役立ちます。ヒントは(1)言い換えを表す表現や同格 (2)同意語や反意語の関係 (3)具体例等々文中にあります。

これらのstrategy を自然に使えるようになれば、将棋の羽生名人のような鋭い直感力で素早く正確に英文が読み取れることでしょう。ただし、語彙力と文法力は必須です。

アメリカでは、小学校から勉強の仕方(learning strategies)を教え込みます。帰国生によると、このreading strategy特にprediction(論理的な推論による予測)が、大学での勉強に一番役に立ったそうです。この小文がTOEFLテストと、その先にある皆さんの大学生活や仕事でお役に立てたなら幸いです。

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