このコーナーでは俳人 灯声こと中村忠男さんに、世界で最も短い詩の形といわれる「俳句」について、日本語・英語のバイリンガルで俳句の魅力・楽しさを解説いただきます。
中村さんは、日航財団の常務理事として勤められるかたわら、世界に発信する文化として日本語・英語両方での俳句作りに取り組まれています。毎月の中村さんの季節感あふれる一句と、季語や句への思いがどう英語になっていくのかを是非お楽しみください。
灯声(中村 忠男氏)プロフィール
財団法人日航財団 常務理事
1950年生。東京大学法学部卒
1972年日本航空入社
2007年より現職
ジョージタウン大学大学院国際関係修士(1978年)
俳誌「春月」同人
A row of backpacks
laid on a baggage rack on the train
a balmy Indian summer
(解説)
電車の網棚にリュックが並んでいる様子から、小春日だなあと感じている句です。「小春」、「小春日」は、初冬の晴れて穏やかな日のことです。11~12月の初め頃は、気候が安定してそういう日が多いですね。春の季語ではありませんのでご注意ください。英語ではIndian summer といいます。ただし、アメリカではこの言葉を使いますが、気候は地域によってかなり違いますので、英語国ならどこでも通じるというものでもないようです。余談ですが筆者は、小春日和(こはるびより)というと、山口百恵の歌った「秋桜」(注:コスモスのこと)の曲を思い出します。日本の秋らしいきれいな曲、歌詞でした。