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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 「学習力」は「教授力」、優れた「学習教材」は優れた「教材」だ!!」

与那覇 恵子先生

名桜大学
与那覇 恵子先生

教師にとって大切な「教授力」は、それぞれの人生で培ってきた個性(人間性)+学び続ける努力で磨かれていくものだと思います。私たち教師自身が学び続ける教師でなければ、学ぶ楽しさや発見する喜び、伸び悩む苦しみや挫折感もわからないでしょうし、何より素晴らしい教材にも出会えないでしょう。 ということで、私自身の学習教材にも、又、授業での教材にも成り得ているものは数多くありますが、その幾つかをご紹介します。

私の長年の愛読誌であるCNN English Express(朝日出版)、その中のNews Digestは授業のWarm-up活動としても手頃な短さで、ナチュラルスピード、ゆっくりスピードの両方が聞けるので、英文や訳文の穴埋めでリスニング教材に活用できます。ウォーミングアップ編のニュースは、フレーズで区切られておりポーズ入りなので、フレーズリーディング用の教材として前から訳させる習慣を養成できます。特集記事はタイムリーな社会問題を提起する長めのリーディング教材として時々使用していますが、学者による沖縄の長寿の研究についての記事やロサンゼルスの病院がホームレス患者を道路に放棄しているという記事など、印象深いものがありました。読後に自分の意見を日本語や英語で書かせたりするとクリティカルリーディングの教材となります。CNNの現場のニュースキャスターの生き生きしたしゃべりは、身近な面白い話題とあいまってまさにオーセンティックです。

「一分間に二〇〇語の英文を読めますか?」(デビット・セイン/森川 修)は、時々の投げ入れで使えるリスニング・リーディング教材で、シャドーイングをさせたり、穴埋めリスニングクイズをさせたり、一分間に200語のスピードで読むという目標達成に向けてのチェック機能を果たしています。又、要約力養成のための教材として、限定された文字数で日本語や英語で要約させるのに適切な短さで、興味深い話題が提供されています。所々に織り込まれている英語についての豆知識は、穴埋めクイズで「なぜ英語を勉強するの?」というタイトルのパワーポイントでの教材にして、学期初めの英語学習への動機付けに役立たせています。英語を学習する中国人の数は英語を母国語とする人の数を上回るとか、英語の80%が外来語だとかいうことは驚きです。

さて、英語の基礎となるボキャブラリーの学習には、文脈で覚える方法「新基礎 英単語・熟語」(LSC研究会/金谷 憲 編集)と語幹で覚える方法「英単語スーパー語源記憶術」(小池直巳)が最適と考えていますが、その両方を組み合わせて毎回の授業の初めの10分を使ってのボキャブラリークイズを学生に課しています。英会話レベルの文を音読させながら解答すると、単語力と同時に英会話力(表現力)を養成することができます。

結論、優れた学習教材は沖縄の豚料理よろしく余すところ無くすべてが料理(教材化)できるのです。(笑)

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