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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 英語学習の要は英文法 学習目標を明確に

郁文館夢学園
堀切 一徳先生

日本の英語学習は長い間、訳読法が採用されてきました。これではいかんということで、ここ十数年で音声面、コミュニケーション面に重点を置いた方法も採られ、日本の英語教育も様変わりしてきましたが、しかし日本人の英語力は一向に上がってきません。TOEFLテストの平均スコアを見てもそれは明らかです。私が最近、不安を覚えることは学習者がコミュニケーション面に重点を置くあまりに英語の文法を置き去りにしてきたことです。私たちの母国語は言うまでもなく日本語です。英語はいつも使用するわけではない第二言語です。生活に欠かせない言語であれば、毎日話し、聞いているうちに、自然と身に付けられますが、英語はそうはいきません。今日、聞き取った英語、今日読んだ英語は「自然に」正確に理解はできないですね。辞書で各単語の意味を調べ、単語の並び方(語順)を確認して解釈をしなければなりません。それを面倒だと考えて怠ってしまうと全くの勘に基づいた理解になり、正確なものとはほど遠くなります。

それではどうしたら読み聞きした英語が分かるようになるのでしょうか。その答えは英語を理解するルールを自分自身の中に構築すればよいということです。つまり、英文法をしっかりと身につければよいのです。TOEFL PBTなどの英語能力テストにも文法知識を直接問う問題がありました。拙著「TOEFLテスト公式問題で学ぶ英文法」(大津由紀雄/直井一博/堀切一徳)でも触れていますが、英語の基本構造が最も出題されています。基本構造とは語順のことです。英語ではたいていの場合主語があり、その次に動詞が来ます。また英語では動詞にsやedを加えて時制を表し、toやingを加えて不定詞や動名詞として用います。動詞にある要素を付加することで、あるいはそれ自身を変化させることで様々なことを表現するわけです。これらは基本的なことですが、「基本的なこと」=「簡単で大切でないこと」ではありません。それどころかとても大切なことなのです。基本的な英文法を知ることで、英語を自由自在に操ることができるようになるのです。

英文法を学習するあるいは再学習するのによい参考書をいくつかあげておきます。基本から学習するには「総合英語Forest」(墺 タカユキ/石黒昭博監修)がよいと思います。「英文法の疑問」(大津由紀雄)、「英語学習7つの誤解」(大津由紀雄)の2冊は英文法再入門・再学習に適しています。

また私の学校では最近Can Do Listの作成に取り組んでいます。これは指導者と学習者が目標を共有することだと考えています。シラバスで提示すると少しいかめしく思われることも、学習者と学習のゴールを共有することで、より学習内容を身近に感じてもらい、モチベーションを高めてもらいたいのです。例えば、センター試験の長文を時間内で読み切るには1分間に140語以上のスピードで英文を読まなければならないとすれば、「1分間に140語以上のスピードで英語が読めるようになること」が先生と生徒のCan Do Listなのです。英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)あるいは英文法についてそれぞれ具体的にCan Do Listを作って英語学習を進めれば、目標が明確になり、目標への到達具合もすぐにチェックできます。さらにうまくいっている部分とうまくいっていない部分がすぐに明確になります。皆さんもCan Do Listを作ってみてはいかがでしょうか。英検などでもCan Do Listを作成しています。

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