英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。
今回のヒントはこれ:
東京都立戸山高等学校
谷口幸夫 先生
皆さんはアナログ派ですか? それともデジタル派ですか?
数年前に達セミで流行った言葉に、「デジタル・ネイティブ」があります。生まれたときに、すでにパソコンが家庭に存在していた世代を指します。おおよそ40歳以下の方々でしょう。それより年上の、アナログからデジタルに移行した時代を生き抜いて来た世代は「デジタル・イミグラント」で、文字通り「移民(immigrant)」です。さらに、その上の世代は「デジタル・エイリアン(Digital Alian)」と呼ばれます。また、どの世代にもパソコン嫌いの「デジタル・レフュジー(Digital Refugee)」が存在するようですが、皆さんはどこに属しますか?
英語学習には、いくつかの道具が欠かせません。その筆頭格は辞書です。大きく分けて紙辞書派と電子辞書派がいますが、デジタル・ネイティブにとっては、電子辞書を避けては通れません。最近では、画面がカラー化され、とても見やすくなりました。私の高校では、高校入学前に電子辞書を使っていたという生徒は半数を超え、クラスの9割近くが持っています。ちなみに私の高校生の息子は、広辞苑が主でしたが、小学校5年生から電子辞書を使っていました。さすが、ネイティブです。
電子辞書が登場したときから現在に至るまで、電子辞書を紙辞書と同じようにしか使っていない学習者が非常に多いようです。単語の意味を調べて終わり、ということです。せっかくの電子辞書が泣いています。
電子辞書にはたくさんの便利な機能があります。その中でも英語学習に役立つのは、「ジャンプ機能」「検索機能」「音声機能」の3つです。これらの機能を使いこなせば、たとえデジタル移民でも、電子辞書の達人と言えます。今回は「ジャンプ機能」を説明しましょう。
ジャンプ機能を使えば、電子辞書内に搭載されているすべての辞書から他の辞書へ「跳ぶ」ことができます。「広辞苑」から「英和辞典」、そして「英英辞典」のように3段跳びも可能ですし、「英英辞典」から「英英辞典」のように、同じ辞書内でジャンプすることもOK。
たとえば、「DVD」を英和辞典で引いてみると、"digital video disc" や"digital versatile disc"の略語であることがわかります。前者の意味はすぐにわかると思いますが、後者の"versatile"の意味を知らない場合に、《ジャンプ》ボタンを押します。カーソルが画面に現れたら、該当する単語にカーソルを移動して、《決定》ボタンを押し、「英和辞典」を選択して《決定》ボタンを押します。すると、2番目に「用途の広い、多目的な」という意味があることがわかります。
お勧めは、このとき「英英辞典」に跳ぶことです。もし電子辞書に『ロングマン現代英英』が搭載されていれば最高です。『ロングマン』は、決められた2000語ですべての単語を定義しているすぐれものなのです。さきほどの"versatile"の説明を見ると、"having many different uses"というふうに中学生でもわかる定義がなされています。難しいことを易しく言い換えるので、「英英から英英にジャンプする」ということを、日本国中に広めたいと思っています。
このほかにも、日本語の意味の中でわからないことばや表現があるときや、あることばについてもっと知りたいと思ったときは、英和から広辞苑、百科事典などにジャンプすると、英語学習をさらにおもしろくしてくれることでしょう。
2010年、思いっきりジャンプしてみませんか?
◆中学・高校生にお勧め
◆大学受験生・大学生にお勧め