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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • シャドウイングでリスニング力アップ

北海道千歳高等学校
高椋勇一 先生

リスニング力を向上させるために、シャドウイングはとても効果的な活動だと思います。シャドウイングとは、耳から聞こえてくる英文に、影のように遅れずに声を出してついていく活動です。

シャドウイングに向けて

シャドウイングはタスクレベルの非常に高い活動です。どんな英文でもシャドウイングができればいいのですが、最初はなかなかそうはいきません。そこで、いくつかのスモールステップを作り、それらを乗り越えることによってシャドウイングに繋がるようにしてみてはどうでしょうか。

授業風景

【授業風景】

用意するもの → [1]教科書ガイドなど対訳のついたテキスト[2]音声CD

ステップ(1) 英文の内容を確認する
対訳を読んで英文の内容を把握する。
ステップ(2) 読めない単語をなくす
音声CDや電子辞書で単語の発音を確認し、全ての単語を発音できるようにする。
ステップ(3) チャンク毎に音読
チャンク毎に流暢に読めるまで、繰り返し音読します。チャンクとは「意味のまとまり」のことを表します。前置詞と名詞のまとまり、接続詞と文のまとまりなどがチャンクに相当します。また音声CDを聞いていて、ポーズがおかれたり息継ぎをしているところもチャンクの切れ目と考えられます。
ステップ(4) センテンス毎に音読
チャンク毎にスムーズに音読ができるようになったら、センテンス単位で音読の練習をします。チャンクのリズムを意識しながら、英文を読みましょう。
ステップ(5) 速読み
次に読むスピードを上げる練習をします。自分の読めるスピードより速く読まれる英文は聞き取ることができません。イントネーションを気にせず、とにかく速く読んでみましょう。その際に「意味のまとまりを意識すること」を忘れないでください。チャンクを処理するスピードを上げるというイメージで、速読みを行ってください。
ステップ(6) シャドウイング
ここまできたら、ひたすらシャドウイングをしましょう。まだキツいという方は、英文を見ながらシャドウイングをしてみましょう。文字情報があるので比較的容易にできると思います。
ステップ(7) ステップアップ
同じ文章を何度もシャドウイングすることは、いわば基礎固めです。野球でいえば素振りです。基礎固めをしながら、ニュースやラジオなど生の英語にトライして実戦力をつけましょう。また、podcastにも多くの英語の素材がありますので、自分の興味のある分野の英文で練習するのもいいかと思います。

上記の流れで実際の授業を行ってみると、まず、自分自身のリスニング力に変化を感じました。実際にとある英語試験でリスニングのスコアも上がりました。また、生徒からもリスニングができるようになったとの声も聞こえるようになりました。ただ注意しなくてはならない点が一つあります。すぐに成果を感じないことです。変化を感じるためには、経験上3ヶ月は必要です。筋トレを1回やっただけでマッチョにならないのと同じです。途中で挫折しないで毎日続けるように頑張りましょう。

継続させる秘訣は、まず開始時間を決めることです。例えば9時になったら机に向かって始めます。やる気がなくても必ず始めましょう。やらないと先に進みません。やっているうちに気分ものってきます。やる気は後からついてくるものです。1週間ぐらい経つと、ここで止めたらもったいないと感じるはず。1ヶ月経つと、やらないことに不安を感じるはずです。そして、3ヶ月続けると新しい自分に出会うはずです。

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