TOEFL メールマガジン

体験レポート

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今回は、アメリカの大学院に留学するためにTOEFL iBTを受験し、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でM.A.(TESOL)を取得した和久井ふみさんに体験レポートをご寄稿いただきました。ぜひご参考にしてください。また、TOEFLメールマガジンでは、体験談等のご寄稿を随時募集しています!

和久井 ふみ(わくい ふみ)

(略歴)
1997年フェリス女学院大学文学部英文学科卒
2007年2月から8月までESL、9月から大学院に入学
2009年5月 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校にてM.A.(TESOL)取得

(TOEFLテストスコア推移)
2006年3月 TOEFL CBT 203
2007年5月 TOEFL iBT 77
2007年6月 TOEFL iBT 86

TOEFLテスト受験の動機

アメリカへ大学院留学するためにTOEFLテストを受験しました。大学が求める最低限のスコアはTOEFL CBT 213(TOEFL iBT80)であり、少し足りなかったものの仕事が4月から繁忙期に入ってしまったため、2006年の夏にそのまま出願しました。運よく条件付き合格(*1)を得られ、2007年2月に渡米し大学付属のESLに入学しました。そこに通いながらTOEFL iBTを受験し、その年の9月に大学院に入学しました。

TOEFLテスト対策 

日本では仕事が忙しかったため、毎朝仕事に行く前に1日30分から1時間、TOEFLテストの問題集(Listening、ReadingとGrammar)をやるので精一杯でした。これを3カ月間続けTOEFL CBTを受験しましたが、実際これだけでは英語力は上っておらず、TOEFL CBTの問題を確認するのに意味があっただけだと思います。

アメリカでは、その頃すでにTOEFL CBTの実施は終了しており、TOEFL iBTしか受験できませんでした。TOEFL CBTであと10点スコアを上げればよかったのですが、文法とReading中心の英語教育を受けてきた私にとって、文法のセクションがなくなり、代わりにSpeakingとWritingセクションが加わったTOEFL iBTでTOEFL CBTと同レベルと言われるスコアを取ることは難しいように思えました。自分に何が足りないのかを考え出したらあまりにも多く、その負担の大きさに潰されてしまいそうでした。そこで、自分に足りないものへの対策方法の中で、取り組めばより早く効果が出そうで、かつ自分が確実にできると心から思えることを2つ選び、それを集中してやっていくことにしました。

対策1.Speaking

私が選んだ1つ目は、Speakingの練習です。ほとんど手をつけたことがない学習領域でしたので、スコアを上げられる余地が最も大きいと思いました。英語を話すとき、頭の中で英文を組み立てる作業とそれに合わせて口を動かす作業を一緒にするわけですが、これはReadingやListeningと違う運用能力が必要であり、なかなかうまくできませんでした。時間をかけて英文を作ることはなんとかできるものの、会話をしているときには間に合わないことを、実際に英語を使う中で実感していました。新しい表現や単語を覚えることも大事なことだと思ったのですが、まずはInput済みの英語の知識で表現をする練習をすることにしました。

運用能力をあげるべく、ESLのクラスで使用していた教材(*2)のCD-ROMを使いindependent問題を何度も行いました。うまく言えなかったものは時間をかけて英文を考え直し、きれいに言えるまで何度も口頭で言い直しました。この練習のときに、英文を紙に書き、それを読みたくなりましたが、TOEFL iBTの本番を考え、それはせずにあくまでも口頭のみで練習しました。これにより、今まで学校で学んだ文法の知識がある程度使えるレベルにまで自分の中に定着していき、日本語を介さず英語を英語で理解することが増えていったと思います。また、自分が言いたい適切な単語を探し出す時間も短くなっていきました。さらに、英語処理能力が向上していったので、前よりも英語の読み書きが早くなり、Listeningの理解度も高くなっていき、結果的にはIntegrated問題への対策にもなったと思います。

対策2.文脈を押さえる~メモの活用

私が取り組んだことの2つ目は、ListeningやSpeaking・WritingのIntegrated問題の時に細部はあまり気にせず、その英文の文脈をしっかり押さえることに集中したことです。これを基にわからない箇所は推測をすることで意味を補足し、その文脈と合わないものは解答しないようにしました。日本語を読んだり聞いたりするとき、日本語を文字や音からその順番のまま理解するだけではなく、知らない単語や聞き取れなかった箇所について、私たちは状況などから推測することで理解を補足していると思うのですが、それを英語でもやるようにしました。

文脈を押さえるのに役立ったのがメモです。私の場合、日本語の情報に比べて英語の情報は覚えていられる量が少なかったので、メモをとる練習とそのメモから文脈を確認する練習をしました。例えば大学生活に関する会話文のときは、メモに縦のラインを入れて真中に会話に出てきた小トピックを入れていき、左側に女性、右側に男性が言ったことを小トピック毎にメモしていきました。よく聞き取れなかった箇所は、大きな丸を書いておき、そこが問題になったときには前後のメモから、その内容を推測し解答しました。その他にも図を描いたり、問題の選択肢もヒントにして推測をしていました。

また、このように頭をフル回転させ意識して英語を聞いていくことが、言葉を聞きとる能力の向上につながるのではと思います。Listeningはよく聞く量が大事であると言いますが、電車の中でただ漫然と英語を聞いていた頃に比べて、頭を使って英語を聞いた方が英語をより多く聞き取れるようになっていったと思います。あるとき、メモをとれる量が増えたことにふと気付いた時、なんともいえない嬉しさを感じたのを覚えています。

私が重点的に取り組んだこと以外にも大切なことはあると思います。たとえば、単語を覚えることや文法の勉強です。私の場合は負担が大きいと思ったので、自然に覚えられる範囲で単語は押さえ、文法は文章を読んでいて自分の理解が文脈にあわないときなど、間違えて理解している可能性があるときに参考書で確認する程度にしました。

TOEFL iBTを受験してみての感想

これらの対策後にTOEFL iBTを受けてみて、4時間という長い試験で全力を尽くすには、4時間英語を使い続けることに慣れることと、少しでも精神的な疲労を少なくするためにこのテストの形式に慣れることが必要だと思いました。よって、2回目の受験までの1カ月間は、紙の問題集ではなく、前述のCD-ROMを使ってひたすらパソコンで模擬練習していました。そして勉強するときは、なるべく休憩をとらずにできるだけ長時間続けて勉強し、本番と同様の状況に慣れるようにしました。実際、1カ月後の2回目スコアが10点近く上がったので、この「慣れる」ということがTOEFL iBTには効果があると思います。

入学に必要であるということで受験しましたが、この試験の勉強をすることは自分の留学生活に役立ったと思います。扱われているトピックは留学生活につながっており、出てくる単語や表現は実際の留学生活で使うものが多いと思いました。また、私が苦戦したSpeakingやWritingの勉強は、ディスカッションやレポート提出がメインの大学院の授業では必要なスキルでしたので、大学院に入る前に勉強する時間があって本当によかったと思いました。

もし次に受ける機会があれば、単語をしっかりと覚えてもっと高いスコアを取りたいです。3年前は大学院に入れればよいという目標であったので、最低限の英語レベルで大学院を始めてしまいました。もっと単語力があれば、より多く英語からの情報を得ることができ、私の主張をより自由にわかりやすく英語で表現できたのではと思うのです。また、スコアが高いことで英語へのコンプレックスを少しは払拭でき、勉強により集中できたのではと思います。

これから受験を考えている読者へのメッセージ

私の場合は、渡米していたことがTOEFL iBTのスコアに少なからず影響していると思いますが、必ずしもスコア向上に有利に働くとは限らないと思います。なぜなら、大学・大学院入学を目指していたESLのクラスメイトたちの大半が、TOEFL iBTのスコアを上げることができずにTOEFL Waiver (*3)を利用したり、なかには本国に帰って勉強し直すクラスメイトもいたからです。英語教材が発達した現在、日本でも英語の勉強は十分にできます。大事なのはどこで勉強するかということよりも、どれだけ英語と向き合うかということだと思います。もちろん英語力と学力とは別のものであり、学業の成績は英語力には比例しないということは実感しています。しかし、英語力が高ければ高いほど、学べる範囲が広がるのは確かだと思います。語学を勉強することは辛いことだと思いますが、その先にある充実した留学生活を楽しみにTOEFLテストの勉強に励んでいただけたらと思います。英語は勉強すれば必ず伸ばすことができると思います。

NOTE:

(*1) 条件付き合格(conditional):大学院が、ある条件を満たせば入学を認めてくれるという合格証を出してくれることがある。私の場合は、規定の英語力を満たすことが条件であった。

(*2) ESLで使用していた教材:“Longman Preparation Course for the TOEFL®Test: iBT Student Book with CD-ROM and Answer Key”

(*3) TOEFL Waiver:TOEFLテストのスコアが無くとも、大学が認定した英語学校の修了証があれば大学・大学院入学に必要な英語力があると認める制度。英語力にもよるが、大抵は1年から1年半英語学校に通うことになる。

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