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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 新聞は「情報の宝庫」であり、社会を映す「鏡」であることを意識すると貴重な「テキスト」になります

大槻欣史 先生

仙台市立仙台青陵中等教育学校 教諭
大槻欣史 先生

英字新聞事始(ことはじめ)

私が授業の中で行っている様々な活動の中で、今回はまず、英字新聞をつかった活動を紹介します。初級者向けですので、リーディングが苦手な方などぜひやってみてください。

1.確かにテキストは大事

基本的に「学び」は、テキスト中心に行われるべきです。テキストは「主食」ですから。しかし、それにちょっとした「副菜」を加えると、主食がもっとおいしく感じられ、箸も進みます。その役目を果たすのが「英字新聞」です。「主食+副菜=バランスの取れた食事(学び)」となります。

2.目標を達成するのに手段を選ばず

こんな疑問を持つ方がいらっしゃいます。「インターネットが普及している時代になぜ(紙の)新聞なのですか?」と。では逆に問います。「インターネットを活用した学びをしていますか?」と。けんかを売るつもりはありません。私から言わせれば「どちら(何)を使ってもいい」のです。手段やツールが問題なのではありませんから。インターネットは情報量と双方向性、利便性に優れています。一方、新聞は一覧性、詳報性、解説性、記録性などの特徴があります。それらの特性を理解し、うまく使い分けることが重要なのです。

3.新聞のいいところ再考

1)新聞は実社会への「入口」

新聞が「読み手」と「実社会」をつなぐパイプ役になります。生きた情報を知ることで、社会情勢が身近になり、話のネタに困ることもなくなりますし、ネイティブスピーカーが使う表現に自然に触れることができます。

2)新聞と読解力の関係

経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、総合読解力と新聞の閲読頻度に相関関係があることが分かります。新聞を読む頻度が高ければ得点が最も高く、頻度が下がると得点も下がります。この傾向は、日本だけでなく他の国においても同様にみられます。子供の調査と馬鹿にしないで、学び始めの素直な気持ちで取り組むことが英語読解の大事な「一歩」となります。

4.では、始めましょう! 「アイスブレーカー」としての使い方

「英字新聞はハードルが高くてどうも…」という方におすすめなのが、“Newspaper Hunt”という活動です。以下のような質問に対する答を、「新聞(Newspaper)から探す(Hunt)」という非常に単純な活動です。では、やってみましょう! 新聞(日刊紙)を一部ご用意ください。

  • 1. What is the name of your newspaper?
  • 2. What is the date? / What day is that?
  • 3. How much does it cost per day?
  • 4. What was the exchange rate for the Japanese yen yesterday in US dollars?
  • 5. What is this newspaper’s homepage?
  • 6. Look at the index.
    • 1) What page is World news on?
    • 2) What page is Television section on?
  • 7. How many headlines do you count on page 1?
  • 8. What section is on the last page?
  • 9. Find the weather.
    • 1) What page is it on?
    • 2) What was the weather forecast for Tokyo on that day?
  • 10. Find one headline about Japan and copy it down.
  • 11. How many color pictures are there in the newspaper?
  • 12. How many ads do you see in the newspaper?
<ワンポイントアドバイス>
・探した答えをノートに書いても、赤ペンかマーカーで新聞に直接丸をつけてもいい。
・仲間と競争で答えを探したり、日曜日から土曜日までをそろえておけば、天気の変化や為替の変動など動きを実感できる。
・新しい新聞でなくても、誰かが読んだものや、廃棄処分されるものをいただくという手もある。
・アメリカの新聞、イギリスの新聞などバリエーションも楽しめる。

いかがでしたか。皆さんには簡単な活動だったと思います。しかし、気づきましたか。この活動を通して、英字新聞を全ページ見たことになります。全ページですよ。初めて英字新聞を開いた方は、英字新聞の構成を理解できたと思います。何事もまずは全体像を知ることから始まります。(続く)

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