英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。
今回のヒントはこれ:
仙台市立仙台青陵中等教育学校 教諭
大槻欣史 先生
私が授業の中で行っている様々な活動の中で、今回はまず、英字新聞をつかった活動を紹介します。初級者向けですので、リーディングが苦手な方などぜひやってみてください。
基本的に「学び」は、テキスト中心に行われるべきです。テキストは「主食」ですから。しかし、それにちょっとした「副菜」を加えると、主食がもっとおいしく感じられ、箸も進みます。その役目を果たすのが「英字新聞」です。「主食+副菜=バランスの取れた食事(学び)」となります。
こんな疑問を持つ方がいらっしゃいます。「インターネットが普及している時代になぜ(紙の)新聞なのですか?」と。では逆に問います。「インターネットを活用した学びをしていますか?」と。けんかを売るつもりはありません。私から言わせれば「どちら(何)を使ってもいい」のです。手段やツールが問題なのではありませんから。インターネットは情報量と双方向性、利便性に優れています。一方、新聞は一覧性、詳報性、解説性、記録性などの特徴があります。それらの特性を理解し、うまく使い分けることが重要なのです。
新聞が「読み手」と「実社会」をつなぐパイプ役になります。生きた情報を知ることで、社会情勢が身近になり、話のネタに困ることもなくなりますし、ネイティブスピーカーが使う表現に自然に触れることができます。
経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、総合読解力と新聞の閲読頻度に相関関係があることが分かります。新聞を読む頻度が高ければ得点が最も高く、頻度が下がると得点も下がります。この傾向は、日本だけでなく他の国においても同様にみられます。子供の調査と馬鹿にしないで、学び始めの素直な気持ちで取り組むことが英語読解の大事な「一歩」となります。
「英字新聞はハードルが高くてどうも…」という方におすすめなのが、“Newspaper Hunt”という活動です。以下のような質問に対する答を、「新聞(Newspaper)から探す(Hunt)」という非常に単純な活動です。では、やってみましょう! 新聞(日刊紙)を一部ご用意ください。
いかがでしたか。皆さんには簡単な活動だったと思います。しかし、気づきましたか。この活動を通して、英字新聞を全ページ見たことになります。全ページですよ。初めて英字新聞を開いた方は、英字新聞の構成を理解できたと思います。何事もまずは全体像を知ることから始まります。(続く)