TOEFL メールマガジン

達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 自分なり「ちゃんと発音」でトレーニングすれば怖いものなし!

上田あゆみ先生

愛媛県立松山南高等学校 教諭
上田あゆみ先生

外国語を習い始めると、「ネイティブみたいに・・・」と思うことがありますよね。ネイティブのような発音で上手に話そうとするばっかりに、何も言えずに終わる。今、英語を何年も勉強してきて、それってとっても無駄なエネルギーの使い方だとわかりました。日本人として自信をもって発音し、話す内容をしっかりもつこと。そのほうが何倍も大切です。

自信をもって英語を発話するために、次のポイントを覚えておいてください。英語の発音は「うまい」「まあまあうまい」などの連続体ではなく、「ちゃんと」発音するかどうかだけが大事です。つまり、thなら舌を前歯の歯先に当てて発音しているか、いないか(参照:『英語授業の心・技・体』靜哲人、研究社)。少なくとも自分の中でちゃんと発音し分けていれば、ネイティブになれなくともそれでオッケーなのです。

私はちゃんと発音してるぞ!と思えば、自信を持って英語を発話できると思います。本当に大事なのは「話したい、聞きとりたい、書いてみたい」内容があることです!あとはトレーニングあるのみ。以下に、英語力アップに効果的で生徒に好評だったトレーニングをご紹介します。

英語力アップのトレーニング① 好きなものを真似る

学ぶは「まねぶ(真似る)」から、と先輩に学びました。つまり、英語も自分にとっての目標やモデルをマニアックにストイックに真似ようとすることから始まります。洋画や洋楽がてっとり早いように思われがちですが、学習教材としては、TOEIC900点越えの私でも(プチ自慢?)なかなか難しい。そこで、まねぶ教材の一番は、高校1年生レベルの教科書。または『英会話・ぜったい・音読』(國弘 正雄編、講談社インターナショナル)、『オバケの英語』(明川哲也、宝島社)などの日本人向け教材だと思います。ここでお勧めのトレーニングは、シャドーイングと音読筆写です。シャドーイングは、音声教材について、影のようにすぐあとからついて音読するという、通訳さんがよく使う練習法です。私は授業でも、自分のトレーニングにも10年以上続けています。音読筆写は、気に入った文を音読しながら書くこと。いつか使うことを想像しながらやってみて。10回音読筆写すれば、もう忘れませんよ!

英語力アップのトレーニング② サイトトランスレーション(サイトラ)

好きなテキストの英文を意味のかたまりごとに分け、前から訳していくトレーニングです。 TOEFLメールマガジン94号で和田玲先生も紹介されていましたが、私もかなりおススメの方法です。文字通り英語はsight、つまり音読せず目で見るだけで、日本語のほうをtranslation、どんどん訳していきます。英文をスラッシュ(/)で区切ってもいいのですが、例えば、

After a few weeks
2、3週間過ごした後
at the center,
施設で
Beni thought differently
ベニの考え方は変わった
about the patients.
患者さんについての。
Like her,
彼女のように
they all had
彼らはみな持っていた
their own opinions and problems.
自分の意見や問題を。

のように、横に対訳がついているものであれば、半分に折ったり、英語を隠して日本語から英語へのサイトラにも挑戦できるので、ペア活動もできます。これをリスニングに応用してリスニングトランスレーションまで到達すれば怖いものなしです。

英語学習はなかなか自分で進歩が見えにくいですが、トレーニングを続けていれば、必ず力がついてきます。今回ご紹介したシャドーイング、音読筆写やサイトラは、私自身も生徒もすでに実践して、英語力アップにつながったトレーニングです。みなさんも自分なり「ちゃんと発音」で毎日続けて、英語の達人になっちゃいましょう!

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