達セミに学ぶ 英語学習のヒント
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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

新潟県立燕中等教育学校 教諭
須貝文弘先生
中学から始めた英語を好きになり、大学は英米文学科に進学したものの、2年次夏に英検2級の二次試験で不合格!それが翌年、無準備で初挑戦のTOEICテストで835点、初TOEFL PBTで580点。ついには交換留学を果たし、現在は公立中高一貫校の教壇に立っています。第1回目の今回は中・高・大学時代に、第2回目(10月号予定)では現在までどのような英語学習をしてきたか、できるだけ多くをご紹介します。キーワードは「反復」。
中学・高校時代(約20年前)
- 1 「ザ・ピーナツ」(スヌーピー)のマンガ本(英訳つき)をひたすら読む。
- そこから教科書には載っていない会話表現を覚えた。
- 2 度胸でAll Englishの環境に身を投じる!
- 週1回、町の英会話教室でアメリカ人によるAll Englishの授業に触れた。
- 3 背伸びをして洋楽を聴く。
- 歌詞の解読をするうちに、語彙も文法も授業の内容を先取りした知識を得た。楽譜があると、音の連結なども覚えやすかった。
- 4 つべこべ言わず、単語、構文を含め教科書は骨の髄までしゃぶり尽くす!
- 中高とも、英語の教科書は英文・日本語訳とも完全暗記した。冠詞が1個抜けていても気付くほど読み込んだ。多分この忍耐力が自分の英語の根幹。
- 5 辞書を通学電車内で黙読。
- 担任が「学生時代に辞書の単語AからJまでは全部覚えた」と言っていたのをヒントに、既習の単語から他の品詞や類義語・対義語を調べるという数珠つなぎを開始、毎日のように往復で1時間の語彙強化。今なら電子辞書のジャンプ機能とヒストリ表示で、もっといい勉強ができる。
- 6 トイレに貼る覚えたい単語リストや、風呂に貼るワン・パラグラフを、音読しながらボールペンで書き写す。
- スペルミスをすると悲惨なので、自然と緊張感が高まり、よく覚えられた。軸が透明なものならインクの減り具合が見え、「あと少しで使い切れる、疲れたけど頑張るか!」という気持ちになれた。
大学時代
- 7 電車内で英字新聞や英語雑誌を読む。
- キオスク等でThe Japan TimesやNewsweekを購入して乗り込む。見栄もあり、1つの記事をいつまでも読んではいられない。速読力と単語類推力、時事英語力が強化された。現在はThe Daily Yomiuriを風呂に浸かりながら15分。
- 8 ペーパーバック輪読会などに参加、名作をPCに音読タイピング。
- 電子書籍全盛の今では全く無意味だが、ヘミングウェイ短編などを好んでセルフ電子化していた。更にはPCのOSを英語版に変更。PC使用中は常に英語で思考するように自分を追い込む。
- 9 レンタルビデオで映画の全台詞を聞き取りPCにタイピング。
- 延滞料金がかかる前にやり終えねばならないので、自分を追い込める。当時DVDは世に存在せず、クローズドキャプションもなく正解がわからないので、ネイティブスピーカーに会う度に「あの映画のあのシーン、なんて言ってる?」と質問。Blues BrothersやForrest Gumpを20回以上観た。テレビの映画は、左右のスピーカーから日英両音声を同時に出し比べながら観た。現在はDVDの字幕・音声切り替えを活用。
- 10 外国人向け都内はとバスツアー(英語ガイド)などに参加。
- 外国人観光客は東京のどこに興味を持ってやってくるのか?英語で説明するにはどういうポイントを押さえればいいのか?楽しみながら学べた。
- 11 初挑戦のホームステイは「現地集合・現地解散」。
- 英検二次不合格をきっかけに「生で英語を使う特訓が必要だ!」と、ゼミの教授による1ヶ月のプログラムに参加。航空運賃をケチって、ニューヨーク州のイサカまで28時間かけて一人旅。英語力だけでなく、企画力・実行力・度胸が鍛えられた。ホストファミリーの奥さんはGREの勉強中で、「人間、一生勉強だな」と勇気をもらった。その後交換留学の機会を得、在学中2回目に受験したTOEFL PBTのスコアは617だった。次の課題は発音・リスニングと語彙力の強化。これは後に、教師になってからも伸び続ける勉強法の模索へと続くのだった。
いかがでしたでしょうか。「苦行」に近い反復練習もありますが、いくつかは学生生活の合間に実践できる勉強法だと思います。読者の皆さんに、一つでも「やってみようかな」と思っていただけるものがあれば幸いです。
次回、英語教師になってからの勉強方法もお楽しみに!
須貝文弘先生によるTOEFLメールマガジン101号「私の英語勉強法 ~教師として11の取り組み~」の寄稿文についてはこちら

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