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獨協大学・飯島優雅先生
  • Criterion
  • 2018.02.20
  • 獨協大学経済学部経営学科 准教授
    全学共通カリキュラム英語部門
  • 飯島優雅先生

獨協大学の飯島優雅先生に教育機関向けライティング指導ツールのCriterion®(クライテリオン)の導入のきっかけや取り組みなどについてお伺いしました。

“ライティング担当教員の負担を軽減しつつ、より質の高い指導と学習経験に繋げたいという観点から、Criterion® を導入”

獨協大学の英語教育の取り組み

編集部:
貴学の英語教育について教えてください。
飯島先生:
本学にはいくつか英語プログラムがありますが、私が担当している全学共通カリキュラムの英語部門(以下、全カリ英語)についてお話しさせていただきますと、対象は外国語学部(ドイツ語学科・フランス語学科)、経済学部(経済学科・経営学科・国際環境経済学科)、法学部(法律学科・国際関係法学科・総合政策学科)の学生で、いわゆる英語を専攻または副専攻としない学科の学生たちに対して、英語教育を行うプログラムです。この全カリ英語には、「一般学術目的の英語(English for General Academic Purposes、以下EGAP)の訓練」と「自律英語学習者の育成と支援」という2つの教育目的があります。1つ目のEGAPの訓練というのは、高校まで勉強してきた英語の知識と技能を土台に、「あらゆる専攻分野に共通する基本的な学術的言語技能」と「英語」を統合して訓練することです。専門分野の勉強や卒業後の仕事など、知的活動に必要な英語運用力を伸ばすことを目指しています。

獨協大学・飯島優雅先生インタビュー

 
必修の科目は学科によって違います。1~2年生のリスニング科目とリーディング科目は8学科共通の必修です。ライティング科目も加えて3スキル、またはスピーキング科目まで含めて4スキルを必修にしている学科もあります。3年生まで必修の学科もあります。学生は入学時、1年次末、2年次末に全学TOEIC® テストを受験しますので、その点数をもとに習熟度別のクラス編成になっています。選択科目には、4スキルをベースにして「英語で学ぶ」内容重視の科目もありますし、TOEFL® テストやTOEICテスト 、IELTSTMの資格英語試験対策科目、発音や文法といった自身の苦手なスキルに焦点を当てた科目もあります。学生の英語に関する目標は様々です。各自が必修科目と選択科目を上手く組み合わせて履修し、学内のリソースを使いこなしながら確実に英語力を伸ばせるよう、学習環境を整えて指導にあたっています。

そのほかにも自律学習の支援の一つに、英語学習サポートルームを用意しています。サポートルームは、個人ベースで自分の目標に合わせて勉強方法を相談できる場所で、専門のアドバイザーが対応しています。相談は無料で、卒業まで何度でも利用することができます。相談内容は、例えば1年生からは「英語だけの授業についていくのが大変です」「自分に合った英語の勉強法を知りたい」などの相談もありますし、上級生からは「留学に必要なTOEFLテストのスコアを取るために、どのように勉強したらいいですか」「就職に向けてTOEICテストスコアをあと100点伸ばしたい」など、具体的な相談を受けることもあります。
編集部:
全カリ英語の到達目標を教えてください。
飯島先生:
いわゆる外部試験の点数ではなく、Dokkyo EGAP Can-do Listで学習到達目標を示しています。このCan-do Listは、「英語で何ができるか」を分かりやすくするために、国際的な英語能力指標を参考に本学の学生に合わせて作られました。内容は5つの言語技能別(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、語彙)で192項目あります。全カリ英語では、入学した時に学生自身が「大学4年間で実際にどのような英語スキルを身に付けるべきか」の具体的なイメージを持つことをとても重要と考え、文部科学省の「大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム」採択事業(2009-2011年度)の1つとして、このCan-do Listを開発しました。それまでEGAP教育について学生や教員によって解釈が若干異なっていたり、学習目標が曖昧になっていたりしたことがありましたが、Can-do Listとして具体化したことで学習内容や目標の共有が容易になりました。

獨協大学・飯島優雅先生インタビュー・英語学習ロードマップ
▲ 英語学習ロードマップ

 
全カリ英語では本学のラーニングマネジメントシステム(LMS)上に、入学から卒業までの英語学習の計画と記録ができる「英語学習ロードマップ」を学生一人ひとりに用意しています。まず学生は、入学後にこの英語学習ロードマップからCan-do Listに入り、英語スキル192項目について自己診断をします。例えばリーディングなら「各段落のトピックセンテンスを見つけることができる」「事実と意見を区別して読むことができる」「文章全体または一部を要約することができる」などについて、Need practiceからExcellentまで5段階に分けて自己評価をします。各学期が終わったときにも再度評価をし、1年生だけでなく、2年生、3年生と継続的に振り返ることができます。Can-do List導入後1000人を対象に行った学生アンケートでは、「大学でどのような英語を勉強するのかイメージが掴めた」という回答を8割の学生から得ました。
編集部:
8割はすごいですね。
飯島先生:
「大学在学中に英語力を高めなさい」と言われても、漠然としすぎていて分からないですよね。Can-do Listを共有することで、学生にとっては明確な学習目標となり、先生方にとっては授業活動をデザインする際の指針となります。

獨協大学・飯島優雅先生インタビュー・Can-do Listトップ
▲ Dokkyo EGAP Can-do Listスキルカテゴリー

全カリ英語ライティング科目と Criterion®

編集部:
全カリ英語のライティング科目について教えてください。
飯島先生:
ライティングは学科によって必修か選択か異なります。1年生の『Academic Writing I』はパラグラフライティングが中心です。2年生の『Academic Writing II』でエッセイライティングを行います。3年生の『Academic Reading&Writing III』もあります。経済学部国際環境経済学科の3年生は『Selected Topics in Social Sciences』というプロジェクト型科目で、アンケート調査をしてリサーチペーパーを書くところまで行います。

全カリ英語は本学の約8割の学生が履修する大きなプログラムで、例えば2017年度のライティング科目は1年生だけで18クラス、2年生が15クラス、3年生が29クラスあり、約30人の教員が担当しています。クラスによる学習内容のばらつきが出ないよう、ライティング科目のコーディネーター教員が、先生方にCan-do List項目の指導をお願いしたり、それに即した教材や推薦教科書リストを準備したりしています。また共通方針として、プロセスアプローチでのライティング指導をお願いしています。ライティングは1回書いて終わりにせず、まずテーマに関する知識やアイデアを出すブレーンストーミングから始まり、アウトライン形式でライティング内容を計画し、そして第1稿、第2稿、校正の段階を経て最終稿を仕上げるプロセスを重視した指導です。

獨協大学・飯島優雅先生インタビュー・エッセイライティング
▲ エッセイライティング Can-do List

 
私個人の授業に関して申しますと、例えばエッセイライティングの授業の場合、3~4週間に1つのエッセイを仕上げるペースで進めています。学生は各自授業中に作成したアウトラインや原稿をLMSにアップロードして、ピアフィードバックのコメントを交換したり、私からのアドバイスを読んだりできる仕組みです。授業外学習として、教科書の練習問題に答え、資料収集や原稿を書き上げることもありますが、宿題の成果は可視化できるようにLMSに掲載してもらいます。ライティングは孤独な作業になりがちですが、こうしてクラスメイトが書いたものやライティングのプロセスをモデルとして見ることで不安が軽減したり、刺激になったりするので、教室だけでなくオンライン空間も学習スペースとして活用しています。

ただ、1クラス約30人弱の学生一人ひとりのすべての課題原稿をチェックして返して書き直しさせて再チェックして、というのは時間的に大変厳しいのが現状です。1人の教員が複数のライティング科目を担当することもよくあります。そこでライティング担当教員の負担を軽減しつつ、より質の高い指導と学習経験に繋げたいという観点から、2013年度に全カリ英語で Criterion® を導入しました。導入当初は1・2年生の上位7クラスだけの利用でしたが、段階的に増やし、2016年度から約70クラスで利用可能にしました。

獨協大学・飯島優雅先生

Criterion® の利用方法

編集部:
瞬時に採点やフィードバックを出すことができるCriterionを授業ではどのように使用しているのですか?
飯島先生:
Criterionは授業でも宿題でも使用しています。実は全カリ英語のライティング科目では、Criterionの採点機能はあまり使用せず、より設定の自由度が高いText Editor機能を主に使っています。課題の最終稿を仕上げる直前の校正サポートツールとしての利用です。Text Editor機能ではスコアは出ませんが、それぞれのクラスで出される異なるトピックでも校正は基本的に一緒なので、どの先生にも利用していただけますし、様々なスタイルのライティングで活用できます。

先生方には、学生に1学期に4~5回、年間で8~10回、Criterionでのライティング課題の校正を促すようお願いしています。コンピュータ教室ではない授業の場合は、宿題としてCriterionを使用します。
編集部:
学生さんがCriterion上で書く語数はどのぐらいですか。
飯島先生:
学生の習熟度や課題の内容にもよりますが、1年生のパラグラフライティングですと、英語で文章を書くことに慣れていない場合は200語弱程度からスタートして、課題ごとに徐々に語数を増やし、1年の終わりには400語近くまで書くクラスもあります。エッセイやリサーチペーパーだとさらに長くなり、約1,500語書くクラスもあります。

後編(3月20日更新予定)は「第15回 Criterion導入校 | 獨協大学 飯島優雅先生 ―後編―」をお送りいたします。お楽しみに!

獨協大学・飯島優雅先生
  • 獨協大学経済学部経営学科 准教授
    飯島優雅先生プロフィール
  • 国際基督教大学教養学部語学科を卒業後、ニュージーランドVictoria University of Wellingtonにて英語教授法ディプロマ、米国Ohio Universityにて修士号(応用言語学)を取得。米国Colby College 東アジア研究学部講師、城西国際大学語学教育センター研究員、国際基督教大学英語教育課程講師などを経て、2005年に獨協大学に着任。専門領域は、英語教育学、教育工学。研究テーマは、学術目的の英語、外国語カリキュラム・教材開発、コンピュータを活用した協調学習など。
  • 獨協大学
  • 1964(昭和39)年、第三次吉田茂内閣の文部大臣を務めた天野貞祐博士を初代学長として埼玉県草加市に設立された私立大学。起源は1883(明治16)年設立の獨逸学協会学校。外国語・経済・国際教養・法律の4学部と大学院、研究所等の付属機関を擁する。「大学は学問を通じての人間形成の場である」という建学理念のもと、伝統である外国語教育を重視し、国際化・複雑化する社会に自ら考え、柔軟に対応できる人材を輩出している。
    Webサイト:http://www.dokkyo.ac.jp/
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