達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

北海道壮瞥町立壮瞥中学校/大塚謙二先生
  • 北海道壮瞥町立壮瞥中学校
  • 大塚謙二先生
今回のヒント
効率の良い英語学習をするためのコツ

 

外国語学習をする時に大切なことが2つあります。1つめは、外国語学習に必要な基礎的・基本的な知識とは何かを知ることです。そして、2つめは、外国語を理解・表現する時の脳内の情報処理のプロセスです。この2つを理解すると、効率良く英語学習を進められる可能性が高まります。

1.外国語学習に必要な基礎的・基本的な知識とは

生徒達を見ていると、英語が苦手な生徒ほど何を覚えると良いのか分からず、闇雲に色々と暗記して壁にぶつかり諦めてしまいます。でも、何が必須の知識なのかを知っていると、普段の授業や自分の学習で力を入れるべきポイントやコツが分かります。

外国語学習の専門家がよく言う基礎的・基本的知識は『語彙』、『文法』、『音声』です。言葉のやりとりで最優先されることは「意味」ですから、確かにこれらの3つは意味を伝える上で必須アイテムになります。ですから、日々、多くの英文を聞いたり、読んだり、話したり、書いたりする活動を通して語彙力を高め、文法や音声もきちんと覚えて、即座に使える状態のしっかりした基礎的・基本的力をつけたいものです。しっかりした基礎の上にこそ、高い英語力を積み上げることができます。

2.文章まるごと派?文法と語彙の組み合わせ派?

では、英語を表現する時のプロセスを見てみましょう。「ご機嫌いかがですか」と質問するときは “How are you?”、「あなたの誕生日はいつですか」は “When is your birthday?”、この方法は丸ごと覚えた英文を発話する方法です。小学校英語ではこの方法で学んでいるでしょう。利点は、文法を使わず自分が表現したい文の意味を、覚えている英文とマッチングさせて即座にコミュニケーションで使えます。弱点は、大量の英文を覚えなければ会話ができないこと、そして覚えた英文の使用場面が限られており発展性が少ないことです。

一方、文法と語彙を組み合わせて英語を表現する方法を見てみましょう。主に、中学校以上の学校ではこの方法で学ぶことも多いでしょう。「彼は今、学校でテニスをしています」を表現する時は、必要な語彙を現在進行形の文法で組み立てます。利点は前者と比べてコンパクトで限られた語彙と文法で言いたいことをかなり表現することができます。弱点は、脳は計算処理をするのでマッチング処理よりも時間がかかってしまい、即座の対話では脳の負荷が高まります。

しかし、たとえ文法と語彙を組み合わせて発話したとしても、それが正しかった場合、その英文は丸ごと印象深く記憶され自分の英語表現のレパートリーになる可能性が高いでしょう。ですから、これらの2種類のプロセスを大切にし、バランスよく学んでいくことが正確さと流暢さを高める早道となるでしょう。

[参考図書]
A Cognitive Approach to Language Learning』Oxford Applied Linguistics/Peter Skehan

 

北海道壮瞥町立壮瞥中学校/大塚謙二先生
  • 北海道壮瞥町立壮瞥中学校
    大塚謙二先生 プロフィール
  • 北海道教育大学大学院英語教育専攻修了。公立中学校に33年間勤務。英語が苦手な生徒への指導方法を研究。著書は単著共著12冊、ジャパンライム株式会社から英語教育用DVD9枚、中学校教科書サンシャインイングリッシュコース著者、ホームページでは、フリーのプリントやパワーポイント教材がダウンロードできるようにして若い先生たちの応援をしている。
    ホームーページURL:http://hien.qee.jp/ken/
達人セミナーについて
  • 英語教育・達人セミナーについて
  • 英語教育の情報交換のためのネットワークです。
    達人セミナーをはじめとするさまざまな研修会や英語教育についての情報を交換する場所です。
    ※最新のスケジュール等は毎週火曜日発行のメールマガジンでも情報を配信しています。
    メールマガジンを見る >>
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。