達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

秋田県立秋田南高等学校中等部/吉澤孝幸先生
  • 秋田県立秋田南高等学校中等部
  • 吉澤孝幸先生
今回のヒント
メモに基づくスピーキング

即興スピーチのための「橋渡し」

本稿では、即興で話すことができるようになるための橋渡しとして「メモに基づくスピーキング」についてご紹介します。
これまで学校の授業の中で「話すこと」を扱う際に、原稿を書いてそれを読み上げる、または暗唱してそれを発表することをもって言語活動を行う傾向が少なからず見られたのではないでしょうか。教員研修などの場で紹介される「話すこと」についての映像を見ても、事前にかなり練習を重ねた上で発表活動に至った映像が多く見られた記憶があります。外国語の学習ですから、練習をすることも当然必要になりますが、それとは別の場面では、できるだけ日本語を介在する部分を少なくし、限られた時間に伝えようとする内容を構成し、それを適切な言語形式を使って表現することが新学習指導要領の考え方とも軌を一にします。しかし、一足跳びに「即興で話す」段階に到達することは難しいことですので、その橋渡しとなる手段が必要になります。それが、今回ご紹介する「自分の考えを構成するためのメモ」です。メモに基づくスピーキング指導とも表現できますし、メモ式スピーチといっても良いかもしれません。

「メモ」は、あくまでも手段

「メモに基づいたスピーキング」を実践の切り口として紹介すると、「どのような項目でメモをすれば良いのですか」「メモと言っても、うちの生徒は単語すら書けないのですが」といった声が聞かれることがあります。ここで確認すべきことは、メモはあくまでも手段であって、メモの取り方自体が目的ではないということです。単語のつづりが不確かな場合、そのために辞書を引くよりは、記号や絵を描いておくことが良いでしょう。要は、自分で話すための足がかりにさえなれば良いのです。むしろ、前回述べたような「話しの展開」「ロジックパターン」には留意して内容を組み立てる方が重要だと思います。

メモを構成し、自分の考えなどを伝えるステップ

「メモに基づくスピーキング

活用の実際

ここでは、中学生に対して行った「メモに基づくスピーキング」について実際のメモや生徒が自分の話した英語を振り返るために書いた英文をご紹介します。

テーマ1:高校生はアルバイトをするべきか。
メモに基づくスピーキング

テーマ2:“I am a 14-year-old Japanese.”を読んだ感想を述べ合う。
メモに基づくスピーキング

上記題材(アメリカ大使館公式マガジン「アメリカン・ビュー」)を英語にアレンジした英文を読み、自分と題材テーマを関連させながら、限られた時間2分程度で意見をまとめお互いに伝え合う活動を行いました。

メモに基づくスピーキング

項目AからDについては、次のような観点を設けてメモを作成させます。
A:出来事 ➡ B:自分の受け止め方 ➡ C:自分の気持ち ➡ D:自分の行動/影響
これは、ディスコースグラマーの一種と言えますが、パラグラフライティングの観点には沿っていません。人は、ある出来事をどう受け止めるかによって、気持ちが形成され、その気持ちが自分の行動を促すという流れになっています。メモの作成も題材や目的によってさまざまな形態があって良いと思います。大切なのは、「限られた時間」でという点です。1分から2分で考えを形成し、それをどんどん短くしていくことで最終的には、ほぼ即興の状態で自分の考えなどを伝えることができるようになることです。

新学習指導要領においても次のような言語活動が示されており、まさに「メモに基づくスピーキング指導」が取り入れられていることがお分かりいただけると思います。

メモに基づくスピーキング

 

  • 秋田県立秋田南高等学校中等部
    吉澤孝幸先生 プロフィール
  • 「第5回英語教育の在り方に関する有識者会議」にて「言語活動における即興力の育成~メモに基づくスピーキング指導を通して~」と題して
    新指導要領のカギとなる「即興力」について提案。「学習指導要領解説」を執筆(話すこと[やり取り]を担当)
    ・2018年パーマー賞受賞
    ・2014年度 文部科学省「第5回英語教育の在り方に関する有識者会議」オブザーバー
    ・2015~2017年度 文部科学省 コアカリキュラム「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」における調査研究担当者
    ・2016~2017年度 文部科学省「中学校・高等学校における英語教育の抜本的改善のための指導方法等に関する実証研究」企画評価会議委員
    ・2016~2018年度 文部科学省「学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等」の協力者(学習指導要領本体及び解説の執筆)「話すこと[やり取り]」担当
    ・2018年度~ 文部科学省「中学校・高等学校における英語教育の抜本的改善のための指導方法に関する実証研究に係る有識者会議」委員
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