達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

清泉女子大学/大杉正明先生
  • 清泉女子大学
  • 大杉正明先生
今回のヒント
知って得する辞書の世界

英語学習のツールと言えば、「辞書」です。良い辞書を「学習の友」としてつき合って行くことが大切ですね。そこで、1)英語の辞書の種類と特徴を知る、2)目的に合った適切な辞書を選ぶ、3)効果的な使い方を覚える、ということが重要です。
まず、1)「英語の辞書の種類と特徴を知る」から始めましょう。最初に質問です。皆さんは「紙の辞書」派ですか、それとも「電子辞書」派ですか。自宅で勉強する時には紙の辞書を使い、外出する時には電子辞書を携帯する、という人が多いかもしれませんね。ただし、ここで理解しておくべきことは、電子辞書の中に入っている辞書コンテンツも「もとは紙の辞書」だということです。電子辞書用に語彙数を減らしたり、内容を縮約したバージョンを入れているものもあるかもしれませんが、基本的には、紙の辞書の内容を電子辞書に入れているわけです。
「英和辞典」と「和英辞典」は長年使っているはずです。今回は「英英辞典」と「英英和辞典」に絞ってご紹介します。

1)「英英辞典」

「英英辞典」には、アメリカ人やイギリス人といった「ネイティブ.スピーカー向きの辞典」と、我々日本人のように外国語として英語を学んでいる「学習者向きの辞典」があります。後者は「定義・解説の英語がわかりやすい」、「イディオムなどの連語表現が示されている」、「役に立つ用例がある」などの特徴があります。当然、こちらの方が日本人向きです。

ネイティブ・スピーカー向き

世界最大の英語辞書:OED(Oxford English Dictionary)
アメリカ英語最大の辞書:Webster’s Third New International

日本人向き

OALD(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
LDOCE(Longman Dictionary of Contemporary English)
どちらも用例が豊富で使いやすい。

「英英辞典」の効用

試しにOxford Advanced Learner’s Dictionary を使って “profession” という語を引いてみましょう。profession をただ「職業」「仕事」と覚えたのでは、不十分だということがわかります。

1.「英語本来の意味がわかる」

profession [C] a type of job that needs special training or skill, especially one that needs high level of education
profession とは「特別な訓練や技能を必要とする仕事、特に高度な教育を必要とする仕事」で、連語の例でも「医者」や「弁護士」などの職業を念頭に置いた語だということがわかります。

2.「よく使う連語がわかる」

medical profession, legal profession, go into a profession

3.「役に立つ用例がある」

She was at the very top of her profession.
このようにして、英語本来の意味が、わかりやすい英語で説明されています。「連語」や「用例」は是非メモしたり、ノートやパソコンなどに「自分の用例集」を作ると、知らぬ間に英語力がつきます。

2)「英英和辞典」

Cambridge Learner’s Dictionary (英英和辞典)、「ワードパワー英英和辞典」、その他。

「英英和辞典」とは何か?

さて、皆さんのなかで「英英和」を使ったことがある方は手を挙げてください。ああ、あまりいないようですね。実は、英文科の学生はおろか教員でも「英英和」の存在を知らない人は珍しくないのです。「英語力をアップするには英英辞典を使うといいよ」とよく言われますが、全部英語では不安だ、と思っている人も少なくないでしょう。そんな人にとってありがたいのがこの「英英和」です。英語の解説の後に文字通り「和」があるのです。ちょっと実際に引いてみましょう。

astronomy noun [U] the scientific study of stars and planets
        天文学        (Cambridge Learner’s Dictionary)
convent 名 C定義 a place where women(nuns) live in a religious community  女性(修道女)が宗教的共同生活をする場→(女子)修道院、(女子)修道会 参 monastery
(ワードパワー英英和辞典)

こうして比較してみると、Cambridge が簡潔に「補助」として日本語を添えているのに対して、ワードパワーでは、英語の定義の日本語訳も加えられています。それぞれC (countable)「加算」、U(uncountable)「不加算」を表示している点も良いですね。ワードパワーでは、最後に参(参照)として monastery((男子)修道院)も挙げています。

どうですか。英語だけの「英英辞典」よりも「安心感」がある分、使いやすいかもしれませんね。まずは「英英和」を使うことで、「英語の定義や解説」に慣れるようにすると良いでしょう。「英英和」って便利で、しかも英語学習に役立つと思いますよ。一度書店で手に取って見てみましょう。実際にいくつかの単語を引いてみると良いですね。

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